国内段ボール生産量は中期的に微増
全国段ボール工業組合連合会の統計資料によると、2016年の国内段ボール生産量は前年比1.7%増となる139億7,539万平米であった。
段ボール生産は、2008年と2009年には2年連続で前年を割り込む結果となったが、その後、景気回復やネット通販需要の拡大などを要因として再びプラス成長に転じている。2016年は生産ベースで2007年実績をわずかに超え、リーマンショック以前の水準を上回る結果となった。
2016年の段ボール生産量を地域別にみると、関東地区が月産5億852万平米と5億平米台に乗せ、構成比も43.7%を占めた。九州と北海道地区を除く地域では前年比プラスとなったが、とくに東北地区は前年比3.7%増と東日本大震災以降、高い伸びを継続している。
2017年以降も引き続き段ボール需要は増加しており、2017年の国内段ボール生産量は前年比1.4%増の141億6,600万平米になると同連合会は予測している。地域別にみると、ネット通販の拡大を受けて大消費地である関東地区に大型のロジスティクスセンターの建設が相次いでおり、一方、都市圏以外で多くを占める青果物用段ボールは今後、漸減傾向を辿っていくものとみられ、関東地区への集中化はさらに高まっていく可能性があると予測している。
段ボール需要は、近年の度重なる猛暑を背景とした飲料向け段ボール需要の増加やネット通販の拡大による通販・宅配用需要の増加等を主要因として、中期的には微増で推移する見通し。2021年の国内段ボール生産量を2016年比5.0%増の146億7,000万平米と予測している。
しかし、長期的には生産拠点の海外移転や少子高齢化による人口減等の構造的な減少要因の影響から、電気器具や機械器具用など産業向けや加工食品用の段ボール需要の伸びが止まり、国内における生産量は徐々に頭打ちとなっていくと予測している。
製紙メーカーは、主に2017年8月から段ボール原紙の値上げを実施した。段ボールメーカー各社は段ボール製品への価格転嫁(値上げ)を2017年10月からスタートしている。価格転嫁の浸透度合いによっては、段ボール原紙の値上げが段ボールメーカー各社の利益圧迫要因となってくることから、2018年以降、段ボール市場において大手段ボールメーカーへの集約や中小段ボールメーカーの淘汰など、業界再編が進む可能性がある。
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