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シミズ印刷紙工(石川)

「KBD MOLLシステム」で生産効率が大幅に向上

手内職作業を自動化、両面テープ貼り機能、変形箱対応など評価

 下請け専門企業の(有)シミズ印刷紙工(本社/石川県白山市、清水啓多社長)は2024年1月、フィニッシングソリューション「KBD MOLLシステム」を同社設備の陣列に加え、モノづくり企業として競争力強化を図った。従来は手内職で行っていた美容品の箱貼り作業を自動化し、生産効率と品質の大幅な向上を実現。両面テープ貼りや変形箱の自動化も可能となり、従来の手内職より作業性が大幅に向上した。さらに(株)光文堂の技術サポートにより、導入後のセッティングやメンテナンスも円滑に行われており、現場からも高い評価を得ている。同社は今後、MOLLシステムを活用した製品展開をさらに強化し、多様な加工ニーズに応える体制を整える方針だ。

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MOLLシステムの前で清水社長

 同社は1989年に創業し、今年で36年目を迎える。現社長の清水啓多氏が2代目として16年前に代表に就任した。印刷から抜き、箔押し、貼り、内職まで一貫して手掛ける下請専門企業であり、清水社長は「印刷については、ラベルからF段まで幅広く対応できる」と自社の強みを話す。少数精鋭のオペレーターが製品作りにこだわり、高品質な加工を実現している点が評価されている。

 また、同社は石川県紙器工業組合に加盟しており、30年以上前から「金沢ペーパーショー」に組合として出展。モノづくりにこだわる企業として、紙製品の魅力を広く伝える活動を続けている。清水社長は「ものづくりマイスター」の認定も受けており、「安心して仕事を依頼してもらえる会社を目指したい」(清水社長)。印刷会社だけでなく、同業の紙器加工企業からの依頼も多く、信頼を集めているようだ。

省スペース、低価格、ホットメルト使用などで優位性

 同社が「KBD MOLLシステム」の導入を検討し始めたのは、東京オリンピックが開催された2021年頃にさかのぼる。当時、同社ではインバウンド需要の高まりにより、大量の美容品の箱を手内職で生産していた。しかし、受注量の増加により手作業では対応が追い付かなくなり、機械による生産への転換を考え始めたという。

 「コロナ前からインバウンド向けの美容品の箱を作っていたが、1年を通じて内職部門がその商品で埋まっている状態だった。東京オリンピックでさらに需要が増えると考え、内職では対応しきれないと判断し、MOLLシステムの導入を検討した」と清水社長は当時を振り返る。

 導入を決める決定打となったのは、アメリカでのテスト結果だった。清水社長は「製品をアメリカのMOLLに送り、MOLLシステムで貼った商品を確認してもらった。結果、非常にきれいに仕上がっており、傷もまったくなかった。これなら手貼りよりも品質も安定するし、効率も良いと判断した」と話す。

 さらに、MOLLシステムは、通常のサックマシンよりもコンパクトで、価格面でも導入しやすかったことも大きな決め手になった。サックマシンの場合、貼り工程でマット紙に傷がつく可能性があるが、MOLLシステムはホットメルトを使用するため傷がつかず、仕上がりが非常に美しいという。

 「ホットメルトを使用することで、サックマシンのようにボンドで圧着する必要がなく、製品の傷や汚れがなくなり、きれいに仕上がる。さらに価格も安く、設置スペースも小さいため、当社のような小規模企業でも導入しやすかった」と清水社長は語る。

手内職での1日仕事が一時間で作業可能に

 「KBD MOLLシステム」の導入により、同社の生産体制は大きく変化した。これまで手内職で1日がかりだった美容品の箱貼り作業が、1時間程度で完了するようになったという。

 「MOLLシステムでは、両面テープ貼り→4ヵ所貼り→90度回転→サイド貼りの4工程をワンパスで行える。これにより、内職作業だと1日かかっていた作業が、1時間ほどで仕上がるようになった」と清水社長は説明する。

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手内職では一日がかりの仕事を1時間でできるようになった

 さらに、サックマシンでは対応できない台形や変形箱の貼り加工も自動化できるようになったことも大きな成果だ。「例えば2月のバレンタイン用の特殊な形状の箱も、MOLLシステムで問題なく貼ることができた。これまでは手内職でないとできなかった加工を自動化できたことは、当社にとって提案できる製品の幅が大きく広がったことを意味する」と清水社長は自信を見せる。

 そして、品質面でも大きな成果が出ている。MOLLシステムはすべて手動でカスタマイズが可能なため、製品ごとに最適な設定ができる。

 「サックマシンの場合は、箱貼り作業をしながら両面テープを貼ることはできないが、MOLLシステムならワンパスで対応が可能。作業時間が大幅に短縮されただけでなく、品質も安定し、製品精度が向上した」と清水社長は話す。

手厚いアフターケア、全国の事例を元にしたアドバイスに信頼

 そして、「KBD MOLLシステム」の導入と運用を成功させる上では、光文堂の技術サポートも大きな役割を果たしたようである。

 「当社はまだMOLLシステムの扱いに慣れていない部分も多く、毎回新規の仕事や見積もり時には光文堂の技術スタッフに相談している。セッティング指導にも何度も来てもらっており、アフターケアの手厚さは非常に助かっている」と清水社長は話す。

 また、光文堂は全国に支店を持ち、様々な案件の事例を持っているため、問題が発生した際には的確なアドバイスを受けることができることも大きなメリットである。清水社長は「困ったときはすぐに相談でき、解決の糸口を見つけられるのは心強い」と高く評価する。

提案力を強化し、顧客満足度を高めるフィニッシングソリューション

 同社は今後、「MOLLシステム」を活用した製品展開をさらに強化していく考えだ。

 清水社長は「これまでは内職でしか対応できなかった箱をMOLLシステムで生産できるようになったので、今後はさらに製品ラインナップを拡充していきたい。顧客企業の要望に柔軟に対応し、高品質な製品を安定供給できる体制を整えていきたい」と意欲を語る。

 さらに「モノづくりの企業として、単に製品を作るだけでなく、製品を提案する力も重要と考えている。『この形状ならMOLLで貼れる』という提案力を強化し、顧客満足度をさらに高めていきたい」と清水社長は展望を語る。

 同社は「MOLLシステム」の機能を最大限に活用しながら、信頼できるパートナー企業として、そしてモノづくり企業としての企業価値を高めていく考えだ。

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