勝田断裁機&押し抜き機でカード加工
精度向上と効率化を実現〜納期短縮と外注コスト削減、製造キャパ向上
小さなサイズの断裁が楽に、カードの「角」も正確に揃うように
同社は当初、断裁機の導入のみ検討していたようだが、勝田製作所が押し抜き機も取り扱っていることを知り、同じメーカーで統一することにより、機械の相性やメンテナンスのしやすさ、導入後のサポート体制を考慮して一括での導入を決めたという。
ボードゲーム製造において、カードの生産は欠かせない工程である。同社ではこれまでも社内で製造を行いながら、繁忙期には協力会社に外注して対応してきたが、近年の業界全体の高齢化や人手不足の影響により、外部の協力会社に頼り続けることが困難になってきたという。「そのため、製造の安定性を確保し、より柔軟に対応できる体制を整える必要があると考え、新たに断裁機と押し抜き機を同時に導入することを決断した」(森川専務)。

断裁機は補正しながら大きな紙のシートを正確なサイズにカットするための機械であり、カード製造の最初の工程を担っている。その一方、押し抜き機は、その断裁された紙をカードの形状に抜き取る工程を担い、ボードゲームのカード製造には欠かせない設備であり、森川専務は「この2つの機械を同時に導入することで、カード製造の一連の工程を社内で完結させることが可能となり、品質の均一化や生産効率の向上を実現できると考えた」と話す。
また、社内での対応比率を高めたことで繁忙期でも安定した生産が可能となり、納期の短縮にもつながった。さらに、外注にかかるコストを削減しながら、製造キャパを強化したことにより、より多くの案件に対応できる体制が整った。
実際に勝田製断裁機を使用するオペレーターは、「正確なサイズのカードを製作するには押し抜き機で抜く前に、断裁機で正確に断裁する必要がある。刷り本が斜めに印刷されていることも少なくないのだが、勝田製断裁機は『トンボマスター』という機能がオプションで搭載されているため、これまでのように職人技術で紙を挟んだりしなくても、バッグゲージが動いて調整してくれる。さらにクランプもガイドに従って操作するだけで簡単に小さなものに交換できるので、カードのような小サイズのものでも正確に断裁できる」と評価する。森川専務は「トンボマスターによる調整機能 は、印刷物のトンボに対して正確な断裁ができるようサポートしてくれるため、仕上がりの精度が安定する。印刷業界では、わずかなズレが製品の品質に大きく影響するため、この機能の精度の高さは非常に助かっている」と付け加える。
また、同社ではこれまで断裁後は角丸機でカードの形状に加工していたが、森川専務は「とくに評価できるポイントとしては、型のセットや調整がしやすい点が挙げられる。作業の効率が向上することで生産性が高まり、安定した品質の製品をスムーズに製造できるようになった。また、精度の面でも優れており、細かなデザインや仕様にも対応できるため、ボードゲームのカード製造において、高い再現性と仕上がりの均一性を実現している」と評価する。

さらに、実際に押し抜き機を使用するオペレーターも「型で抜くため、角も綺麗に抜け、すべて同じサイズに揃う。シンプルな設計のためセッティングも簡単で、1日で約2万枚を抜くことができる」と評価している。
ソフトクランプによる安全性と微調整ハンドルによる断裁精度も評価
そして、今回初めて勝田製断裁機を導入したという同社が評価しているのが、安全性の高さだ。森川専務は「とくにソフトクランプ機能は、紙を押さえる際に過度な圧力がかからないため、紙のダメージを防ぎつつ、作業者の安全性も確保されている。実際に運用する中、安心して作業できるというのは大きな利点だと感じている」と話す。
さらに、微調整ハンドルによって100分の1ミリ単位での調整が可能で、細かな仕上がりの違いにも対応できる点も大きな魅力のようで、森川専務は「当社ではボードゲームのカードなど小さなサイズで精度が求められる製品を扱うため、このような微調整機能は欠かせない。総じて勝田製作所の機械は 操作性の良さ、安全性、そして高い精度という3つの観点で優れており、実際の現場での使いやすさを実感している」と最大限に評価している。
なお、同社は今回、初めて勝田製作所の断裁機を導入したが、選定にあたっては、「他メーカーとも比較検討した結果、勝田製作所の機械が持つ安定した品質と、細やかな調整機能が決め手となった」(森川専務)ようだ。
紙加工技術を進化させながら、ブランド価値のさらなる向上へ
同社は今後も「紙と加工で、ごきげんな生活をつくる!」を理念に掲げ、紙加工技術を進化させながらブランド価値の向上を目指していく。ボードゲームのOEM事業拡大にも注力していく考えた。
ギフト市場への展開を加速させていくとともに、サステナブルな紙製品の開発にも力を入れ、紙の新たな可能性を提案していく。品目や加工のバリエーションもさらに広げていく考えだ。
同社は勝田製作所の断裁機と押し抜き機を同時導入することで、生産性と品質の両立を実現した。ボードゲームのカード製造において高精度な加工を可能にし、外注依存を解消したことは大きな強みと言える。今後も紙の可能性を広げる挑戦を続ける姿勢が、業界の注目を集めそうだ。
