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太洋社(岐阜)

PTS導入でプリプレス工程の人手不足を解決

作業工数を80%削減〜作業者を5名から2名体制へ

 「出版の図書館」をテーマに新たな価値創造へ─出版印刷で82年の歴史を誇る(株)太洋社(本社/岐阜県本巣郡北方町北方148-1、大道成則社長)は昨年10月、深刻化する人手不足を背景にエコスリーが提唱する「プレート・トランスポーテーション・システム(PTS)」を導入。2台のCTPから出力される5種類のプレートのパンチおよび版曲げから10種類のスタッカーに自動振り分けするまでを自動化することで、作業者がプレートに触れる回数を80%削減。刷版工程における人員削減や作業時間短縮、プレートトラブルの解消に成功している。

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2台のCTPにPTSを接続


出版+4つの新規事業

 太洋社の創業は大正10年。個人経営で主にアパレル関連会社を手掛け、その後、戦況が激しさを増しつつあった昭和18年に設立。幸いにも戦禍を免れた同社には、県下のみならず愛知、滋賀方面からも電話帳印刷を中心に多くの仕事が舞い込んだ。まさしく戦後復興期とともに飛躍的な成長を遂げた老舗の印刷会社である。

 そんな同社の最大の転機となったのが昭和42年のオフセット輪転印刷機の導入だ。「出版分野に特化した印刷経営に大きく舵を切る」という経営戦略決定のもとで、当時日本では稼働実績が少なかったA縦全判オフセット輪転機を北方工場完成と同時に導入。以来、「出版の太洋社」として「愚直なまでに本を作り続けている会社」として知られる。

 検定教科書の印刷も手掛けるなど、教育書、参考書、社史、辞書といった学参物を得意とする同社だが、とくに教学社が発行する大学・学部別の大学入試過去問題集、いわゆる「赤本」の印刷でも知られ、その45%近くのシェアを握る事業は、売上全体のおよそ23%を占めているという。

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大道社長

 一方、社長就任9年目を迎える大道社長は、「このまま印刷だけでは立ちゆかなくなる」と印刷経営の先行きに危機感を募らせている。そこで4年前から経営コンサルティング会社の助言を受け、印刷業の延長線上で2事業、その他で2事業、計4事業を新たに立ち上げた。

 まず、印刷関連では企画営業部を設立し、岐阜県の全42市町村を対象にPRやイベント支援の事業を開始。さらに企業や学校、病院などの周年イベント事業が2つ目の新規事業である。

 一方、印刷に関連しないものとしては、令和3年にアグリ事業を開始。岐阜県郡上市和良町で椎茸とキクラゲを栽培しているという。もうひとつは小学生を対象としたプログラミング教室の開設。いずれも地域に密着した新規事業として経営の多角化に着手している。

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