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今野印刷(宮城)

見える化が劇的に進化〜刷版工程の98%以上の自動化達成

デジタルコンテンツファクトリーE2Eと接続 [KP-コネクト プロ導入事例]

 1908年に創立し、企画・制作・印刷・広報支援・販売促進支援・イベント企画など多岐にわたるサービスを提供する今野印刷(株)(本社/宮城県仙台市、橋浦隆一社長)。近年は、データベースマーケティングによる企業支援やBPOに強みを持っており、新規事業にも積極的に取り組んでいる。「令和6年度仙台市地域中核輩出集中支援事業」に選定され、地域経済をけん引する企業として成長を一層期待されている。今回の生産の自動化・見える化への取り組みと効果、今後の展望などについて、橋浦社長、取締役生産事業部長の河内和史氏、生産管理部係長の武藤陽一氏に聞いた。

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左から橋浦社長、河内部長、武藤係長

見える化を起点に常に改革し続ける

 今野印刷は、「紙とデジタルの融合によって社会に必要とされる会社であり続ける」を経営理念に掲げ、常にステークホルダーのニーズを満たす価値を提供してきた。橋浦社長は「常に改革を続けているから、100年以上存続している」と強調する。

 同社の改革の起点は、見える化だ。「設備を連携させて全体の生産効率をどれだけ高めていくかが課題である。見える化によって、案件や工程ごとに損益が分かるようになる。経営側は、利益水準などの数値で、案件の継続を判断したり、顧客に対する価値提供の適否を見極めたりできる」と橋浦社長。

 河内部長は「データをもとにした粗利ランキングを社内共有している。制作、刷版、印刷(オフセット/POD)の各工程、用紙代、製本加工外注費などを案件ごとにまとめ、部門ごとの成績を表示することで、改善活動につなげている」と話し、利益追求の姿勢が、全社員へ波及するよう図っている。

 見える化の取り組みの過程では、「MISへの正しい情報入力の徹底」に苦労した。とくに各工程における「着手」「完了」の記録は、デジタル操作に不慣れな職人もいる中で、徹底するのが困難だったという。しかしその苦労は、小森コーポレーション(以下、KOMORI)が提供しているKP-コネクト プロの導入によって、他社印刷機やPODを含むすべての機械の着完操作が簡略化し、さらに稼働状況・実績が自動で取得できるようになったことで解決。工程ごとにリアルタイムで進行状況が分かるようになり、工程管理の省力化と高度化を同時に実現した。

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PODもiPadで簡単に入力y

面付け作業・RIP作業の自動化率が98%以上に

 「省力化とミスの削減のため、刷版工程の自動化にもこだわって取り組んできた」と語る橋浦社長。KP-コネクト プロと、SCREENグラフィックソリューションズ(以下、SCREEN GA)のデジタルコンテンツファクトリーE2E(以下、DCF)との連携で、ジョブごとに発生する面付け・RIP作業は、単月98%以上の自動化率を達成し、現場の負荷も大幅に削減した。

 「単月で『98%』は究極の状態といえる。100%を目指して、イレギュラーなジョブまで自動化してしまうと、かえってコストパフォーマンスが低下してしまう。SCREEN GAやKOMORIの多大な協力があり実現できた」(橋浦社長)

 さらに河内部長は「きっかけは人材不足の解消であった。面付け作業は専門的で覚えるのに時間がかかる、経験を必要とする工程だが、デジタルを活用して自動化することで誰でもできる作業になった。教えるのも楽になり、多能工化につながると考えている」と話す。

 当初は、JDFを活用するスマートジョブクリエイターを導入したが、そのシステムではMISに詳細な情報を与える必要があり、同じ設定を何十回と繰り返す必要が生じた。

 河内部長は「それではヒューマンエラーが逆に増えてしまう。対して、今回採用した連携では、KP-コネクト プロで予定組み操作をするだけで、手間なく必要なジョブ情報を作成できる。また、その情報をDCFに連携することで面付けなどのテンプレートが自動選択され、EQUIOSでの面付けを完了することができ、工程を大きく削減できました」と効果を語る。実際に、作業時間が大幅に削減され、ヒューマンエラーの数は半分以下になったという。

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KP-コネクト プロで進行管理


刷版の工程数が大幅に減少〜数クリックで版出しが完了

 武藤係長は、自動化された刷版工程を次のように説明する。

 「以前はこの工程を、作業指示書とゲラを見てから準備していました。テンプレートのどのデータを使うのが適切かを判断し、EQUIOSの操作を手動で行っていた。今では私や他の担当者が知見を駆使して手動でやっていたことを、設計した通りに作業できるようになったことが一番大きな効果。現在、予定組みの操作も含め、早ければ3〜5クリックで版が出力できる。また、これまではJDFで規格化されたもの以外の独自面付けはできなかったため、自動化できていたのは全体の6割程度であったが、今はほとんどのジョブをDCFを通して自動化できている感覚で仕事をしている」

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リスロンG40Pアドバンスと印刷部門メンバー

 
 
 自動化の実現には業務の整理が不可欠だった。現場都合での面付け変更の防止や、あらゆるパターンを想定した大量のテンプレート作成など、苦労も多かったが、社内の理解を醸成しつつ、SCREEN GAの協力を得て進めることができたという。

オフセットとデジタルを統合したワークフローをBPOの強みに

 橋浦社長は今後について「目指すのは、各工程のデジタル化にとどまらない、紙出しから製本までの統合ワークフローの実現である。今後、最も力を入れていくBPOにおいては、デジタル印刷機を含めた統合ワークフローの構築が鍵になるだろう。工程間をつなぎ、オフセット印刷とデジタル印刷の連携も可能にするKP-コネクト プロは、当社だけでなくこれからの印刷会社にとって、DXを進める上で中核を担うソフトウエアだと思う。地元・仙台の発展に役立ちつつ、当社としても利益を上げられるような循環を目指していきたい」と展望を述べた。

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