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日栄印刷紙工(大阪)

シリウスビジョン製検版システム導入で過検出を抑制

スムーズな生産体制を構築

「検版渋滞」のないスピーディーな検査を実現

 「S-Scan LNC」の最大の強みは、スキャン時間5秒以内という業界トップクラスの検査スピードである。また、エアー吸着機構を搭載しているため、薄紙のセットも簡単に行える。さらにボタン数回で検査設定が完了するため、誰でも簡単に新規の検査が20〜30秒で行える。同社では現在、2台のオフセット印刷機の刷り出し検査と抜き取り検査に「S-Scan LNC」を活用しているが、同社製造部の尾家弘通副部長は、「検版にかかる時間が少なくなり、検版待ちによる印刷機の停止が軽減された。いわゆる『検版渋滞』による印刷機の停止時間がなくなったため、スムーズな生産が可能になった」と効果について説明する。

 また、平井課長は「これまでは人の目で判断が難しい製品は拡大鏡を使用し、抜き取り検査を行っていたが、どうしても人の目による検査では見落としが出てしまう。品質保証を確実にするとともに、現場の作業負荷軽減にも貢献している」と評価する。「感覚的に、LNCの導入で1日あたりの作業時間が1時間以上は削減できている」(尾家副部長)ということだ。

 さらに、検査品質については「当社は薬品パッケージのような非常に厳しい品質基準を求められる仕事が多いが、針でつついたような細かいキズも検知してくれる」(横田部長)だけでなく、特色を使用する場合も「特色の製版データと印刷物を検査する場合は、印刷物に合わせて製版データの色を変える機能があるので、この機能により特色でも過検出をなくすことができる」(尾家副部長)。

 また、平井課長は「非接触タイプのため、接触タイプのときのようにスキャナにインキが付着するようなこともなく、清掃も不要になった」(平井課長)と、日常的なメンテナンスが容易になったことに加えて、「導入後も数ヵ月に一度は技術の方が様子を見に来てくれるなどアフターもしっかりしているので、何かあった時も安心」と導入後のサポートも高く評価している。また、シリウスビジョンにはリモート接続ソフトウエアを利用した遠隔操作によるメンテナンスサービスがあるため、急を要するトラブルが発生した場合も、新横浜と大阪という距離による時間の心配は不要である。

 横田部長は「導入から半年で、使いこなせていない機能もたくさんあるが、シリウスビジョンにサポートしてもらいながら、さらなる品質向上を図っていきたい」としており、「S-Scan LNC」の機能を最大限に活用しながら品質向上を目指していく考えだ。

メーカーとしての「設計思想」に共感

 同社は今回、初めてシリウスビジョンの検査装置を導入したが、竹田印刷(株)の執行役員も務める宮本社長は「実は過去に、オンデマンド印刷機の検査の案件でシリウスビジョンの方が竹田印刷に来られたことがあるのだが、そのときに聞いた同社の『設計思想』には頷けるものがあり、非常に好印象であった。そのときは導入には至らなかったのだが、今回、このような形で検査装置を導入でき、非常に嬉しく思っている。今後も様々な工程の検査のことで相談していきたい」と大きな信頼を置いている。

 また、宮本社長はシリウスビジョンのAIを活用した技術開発に大きく期待しており、「人手不足が進む中、AIにより安定した検査品質を実現できるシステムのさらなる開発を進めてもらいたい」と話している。


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左から 宮本社長、横田部長、平井課長、尾家副部長

 2023年4月の竹田iPグループのホールディングス化に合わせ、同社はホームページをリニューアルし、将来的な構想として掲げていた「紙工innovation」をホームページ上でも紹介し、その実現に向けての本格的にキックオフした。宮本社長は「私たちの製品を手に取った人々に感動を残せる『紙工innovation』を起こしていきたい」としており、同社は今後、従来からの自社の利点は踏襲しながら、竹田iPグループのグループ企業との連携によるシナジー効果で売上拡大を目指していく考えだ。

 上海、タイ、ベトナムなど、グローバルに展開する竹田iPグループとの連携により実現が可能になる「紙工innovation」とはどのようなものなのか。今後の展開が注目される。

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