印刷不良の原因を究明し、印刷機の改良に貢献
Indigo20000×DAC検査装置:履歴管理でフィードバックが容易に
他社システムとの連携で検査装置の効果拡大
そして、同社はDACの検査装置導入と合わせ、従来から使用していたトスバックシステムズの印刷業総合管理システム「ひだりうちわ」と検査装置を連携させることで、品名や条件の入力作業を自動化した。バーコードを使用し、伝票データを検品装置側に持ってくるようにしているため、後追いもでき、トレーサビリティが楽になったようだ。高野課長は「たまにすごく昔のリピートを頼んでくるお客様もいるが、過去のデータを簡単に引っ張り出せるため、そのような場合も安心」と評価する。
また、同社ではIndigo20000だけでなく、グラビア印刷機と巻き替え機にDACのグラビア印刷検査装置「Crossover」を設置しているが、グラビア印刷用の検査装置はさらに進んでおり、円周までの情報が入っていくため、円周設定が不要になり、さらに使いやすくなっているようだ。「とにかく、使いやすいんですよ」(高野課長)。

また、検査用のPDFはエスコグラフィックスの「オートメーションエンジン」で作成している。このソフトでは、Indigo20000に設置しているバリアブル印刷検査装置のPDFを書き出しているが、データを作成し、そのデータをデジタル印刷機に送る際に、検査用のデータも一緒に作成し、検査装置で取得するワークフローを構築している。ネットワークでつないでいるため、どこでも共有して履歴を閲覧できるという。
目視では検出不可能な欠陥を検出
「これを見つけるか?とツッコミを入れたくなるような欠陥までも、検出してくれる」。高野課長は、DAC検査装置の検査品質についてこのように驚きを表現する。
バリアブル印刷検査装置に搭載されている「Cocoセンサー」は、スキャナタイプのラインカメラ。通常のレンズを通すカメラの場合、局面のため、真ん中と端で収差が出たり、ピントが若干変わる可能性がある。その点、Cocoセンサーはスキャナであるため真ん中も端も同じ精度で撮像できるため、検査精度も均一で、バラツキなく検査できる。
高野課長は「デジタル印刷に版はないが、例えるなら『版キズ』のように、マスターデータに問題が生じることがある。その場合、通常は良品と判断してしまうが、DACの検査装置はそのようなハンコのキズによる欠陥も検出してくれる」と、従来の「目検」では不可能であった欠陥を検出できる検査品質に脱帽の様子である。
さらに高野課長が高く評価するのは、簡単な操作性に加え、サーバでの履歴管理によりオペレーターのスキル向上にもつながったことだ。
「最近は職人といってもパソコンやコンピュータも使用する。履歴などの情報を提供すれば、それを見ながら現場で汲み取り、どんどん改善していく。検査装置の導入は現場の進歩にもつながった」(高野課長)
AI検査のさらなる向上に期待
DACでは、ディープラーニングを使用して自動欠陥分類分析作業のサポート、また、欠陥検出が不鮮明で判別しづらい画像を超解像度拡大するなど、AIを活用した技術をすでに開発しており、グラビア検査装置に先行的に搭載している。高野課長は今後、自社の「Crossover」にもこのAI機能を搭載することを前向きに検討しているという。
「現在の検査装置でも色別の欠陥分析などは行えるが、AI機能を搭載すれば、検査装置側目線の分析でなく、現場環境の見直しにも貢献できる『お客様目線』での分析ができると担当者から聞いており、大変楽しみにしている」(高野課長)
高野課長は「将来的には検査機はすべてAIになるのではないか」と予測しており、DACのすべての検査装置へのAI搭載に期待する。「品管からもすごく好評」(高野課長)と絶賛するDAC検査装置を活用し、今後もあらゆる課題解決と技術向上を実現していく考えである。
