「断裁機は製本・後加工の『肝』」[勝田製断裁機導入]
フィンガーセンサー搭載機を選択〜安全配慮は生産性向上に
3台の断裁機を中綴じライン、無線綴じラインに組み込んで活用
同社では、無線綴じライン、中綴じラインをそれぞれニアライン接続となるように配置しており、これにより印刷物の移動の手間を省き、生産効率を高めている。
このため、3台の勝田断裁機についても、無線ライン専用、中綴じライン専用と化粧裁ち専用に分けて使用している。オペレーターも可能な限り、無線綴じと中綴じで専任の慣れた担当者が作業することで生産性を高めている。ちなみに他社メーカーの断裁機については、段ボールや板紙の専用機として活用しているようだ。

これらの断裁機を使用する際、同社ではフィンガーセンサー搭載機も含めて勝田製作所製の紙を押さえる「コツ」(まもるくん)を使用しているが、同社ではこれをオペレーターの身長や手の大きさなどに応じて使いやすいサイズ、形の製作を依頼。水野課長は「これにより、オペレーターはさらに快適な断裁作業を行えるようになった」と評価する。
また、水野課長は「勝田断裁機は力を入れなくても『アテ』の部分をパワステのように動かすことができる(送りパルスハンドル操作)。他社製に比べると動きもスムーズで、作業を早くできるように感じる」と話す。
さらに、断裁刃を交換する際もタッチパネルのモニターに作業手順が表示されるため「熟練工でなくても、作業手順に従うだけで断裁刃の交換ができる」とその使いやすさを評価している。
環境配慮の紙を推奨しながら本の価値をPR
同社は徹底した環境基準を達成した「グリーンプリンティング認定工場」である。コロナ禍は印刷業界全体に甚大な打撃を与えたが、岡社長は「当社ではコロナよりもむしろ、環境保全に対する世間の意識に危機感を抱いている」としており、FSC認証紙や環境対応インキなどを利用した印刷物をクライアントに提案しながら地球環境保全に貢献していく考えだ。
「環境負荷の少ない紙の価値を訴えていきながら、付加価値の高い冊子などをクライアントに提案していきたい。当社はDTPから製本・後加工までを一貫生産することを強みとしているが、印刷物に付加価値を与えられるのは『後加工』の部分であり、クライアントが付加価値を感じるのもその部分である。一貫生産できる当社の強みの意味合いをもう一度、改めて考えながら後加工に力を入れていきたい」(岡社長)
岡社長の言葉のとおり、断裁機は主役というよりはむしろ裏方。しかしその重要性は説明するまでもなく、後加工の重要な役割を担っている。後加工にさらに力を入れていく同社にとって、勝田断裁機を選択した判断に間違いはなかったようだ。
