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柏村印刷(島根)

「HP Indigo 12000 HD デジタル印刷機」導入

新たな印刷領域に進出〜激変する顧客ニーズにデジタルで対応

 柏村印刷(株)(本社/島根県浜田市、柏村英男社長)は、「HP Indigo 12000 HD デジタル印刷機」を導入し、今年6月より稼働を開始した。創業から108年という歴史の中で、活版印刷からオフセット印刷へと進化してきた同社の印刷ビジネスは、今回のHP Indigoソリューションの導入により、デジタル印刷という新たな領域に進出していくこととなる。今回、同社の柏村社長にHP Indigo 12000 HD デジタル印刷機を導入した経緯や導入後の成果、そして今後の事業戦略などについてうかがった。

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柏村 社長

 柏村印刷は、紙商を営む一方で活版印刷も手がける印刷会社として1912年に創業。以来、108年間にわたり印刷業務を展開してきた。1955年には、高品質・高生産性を目的にオフセット印刷部門を立ち上げ、活版印刷からオフセット印刷への転身を図り、現在では、B2オフセット輪転機2台のほか、菊全8色枚葉オフセット印刷機などの最新設備を有している。

 さらに近年では、印刷業務から事業領域を拡げ、Web制作や、地元・島根県の特産を多くの人に指定いただくためのネット通販、人材派遣業など多角的にサービスを広げ、浜田市に留まらず島根、山陰、また中国地方全域にビジネスマーケットを広げ広島・大阪、東京にも支店を置き活動を展開している。

 印刷物の主な受注品目としては、チラシなどの商業印刷物が中心となっているが、同社の大きな特徴の1つが取引先の種別だ。

 「当社の売上比率に占める官公需の割合は、約20%で、残りの80%は、民間企業との取引先となっている。この辺の地方性を考えると非常に珍しいかもしれない。これは先代である父の時代から、積極的に最新設備を導入し、『守りの姿勢』ではなく、『将来を見据えた経営』を推し進めたことで民間企業との取引が増えた要因と考えている」

 この「将来の見据えた経営」の理念は、現社長である柏村社長にも継承されており、先代の時代から現在まで、5度のM&Aを実行している。20年前に若干39歳で経営のトップに就任した柏村社長も、その中で3度のM&Aに着手し、企業基盤の強化を図っている。

 また、DTP環境の整備にも早くから取り組み、従来のアナログ作業の体制から一気にPCなどを活用したデジタルによる前工程の効率化を実現した。この取り組みは、顧客への提案力の向上にもつながり、その結果、印刷物の受注にも大きな効果をもたらした。

紙媒体減少の要因は顧客ニーズの変化

 オフ輪と枚葉機を有する同社であるが、ここ数年は、オフ輪市場が減少傾向にあるという。一見すると「ペーパーレス化」による紙媒体の減少と思われるが、柏村社長の見解は、その考えとは少し異なっている。

 「お客様の売り方が変化したことが大きな要因と言える。従来のように店舗で商品を販売する形態ではなく、ネット販売やSNSなどを活用したプロモーションなど、お客様自体が商品の売り方を変えてきている。その環境下でチラシを印刷し、不特定多数に配布しても、お客様が満足する成果を得ることはできない」

 加えて柏村社長は、従来型の大量印刷では、リアルタイムによる情報伝達に限界があると指摘する。

 「キャンペーン告知などの販促ツールは、概ね1ヵ月前から制作を開始する。しかし、その間にもお客様が売りたい商品、さらには実際に購入する消費者のニーズは変化していく。結果として印刷物が配布された時には掲載されている商品への興味がなくなり、販促ツールとして費用対効果を生み出すことはできない」

 つまり、従来ビジネスモデルであった広範囲かつ大量に配布する、といった販促ツールの制作ではなく、発注者側の意向、つまり売りたい商品を売りたいタイミングでプロモーションすることが求められている。

 この課題の解決策として柏村社長は、デジタル印刷機の導入を検討することとなる。

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