稼働効率107.7%アップ、ロス率2.3%削減
非接触スキャナー入力印刷物検査機「コレクトアイ シス」導入
刷り出し・刷了検査に活用、朝のベタ刷りを廃止
品質保証の実施項目見直しで成果
小松印刷(株)(本社/香川県高松市香南町由佐2100-1、小松秀敏社長)は、年間総印刷量125億枚という莫大な印刷物を、グループ企業を含め国内10生産拠点より高品質・短納期・低価格で実現する総合印刷会社。同社グループではクオリティマネジメントシステム(QMS)の実践と継続的な見直しを行うことで、グループ全体での高品質化を促進するとともに、さらなる生産稼働率の向上による高効率生産を目指している。そんな同社は2018年11月、綾川工場(香川県綾歌郡綾川町枌所東1193-23)に(株)ジーティービーの非接触スキャナー入力印刷物検査機「CorrectEye SIS(コレクトアイ シス)」を導入。今年2月から本番運用を開始し、刷り出し・刷了検査の工数削減・時短効果などによる成果が上がり、稼働効率は前年対比105%の導入前目標に対して107.7%、損紙削減や刷本のやり替えなどによるロス率は導入前目標1%に対して2.3%削減となるなど、多大な成果を上げている。


QMSの実践と継続的な見直しで、全生産拠点で高品質な印刷を推進
小松印刷は昭和30年に設立。2018年6月期の売上高は、153億円(グループ計274億円)。従業員数は、603名(グループ計1,279名)。グループ企業を含めた国内10生産拠点には全24台のオフ輪、26台の枚葉機を設備しており、超大ロットの受注にも短納期で生産可能な生産キャパを実現するとともに、全生産拠点において同一品質の印刷が可能であるため、企画・デザインから印刷・製本、そして最終の納品までを配慮した"適地生産"が可能となっている。
約95名が配属する綾川工場には4台のA輪を設備。これらはいずれも平行2回折り、デルタ折りやミシン入れなどの特殊折り仕様が可能で、付加価値の高いカタログやパンフレットの生産が可能となっている。また、本社工場では省力化・省人化を積極的に進めており、自動ラックや包装機などの導入により、製本・加工後の仕分けや梱包、在庫管理などを自動化している。
また、同社では印刷現場としての取り組みとして、会社のバックアップのもと「印刷技能士1級」を37名が取得している。綾川工場では18名が取得しており、執行役員・製造本部 本部長・生産技術部 部長の槇野健夫氏は「基本的に印刷機を回す責任者になる者は取得を条件にしている」として、今後も資格取得者を増やしていく考えだ。また、綾川工場では独自の取り組みとして3種類のインキを使い分けている。槇野役員は「紙質に応じた最適なインキを使用することでより高品質な製品に仕上がるため、全印刷機に三系統の自動供給装置を設備している」としており、資材関係についても、印刷技能士1級取得者の視点から見て最適であると判断したものを使用している。
綾川工場では、非接触スキャナー入力印刷物検査機「コレクトアイ シス」を導入する以前は、印刷前にノンブル・折り・見当・色調・版キズ・ゴミなどをオペレーターの目視検査により約20分の時間をかけてチェック。5,000通しに1回は抜き取り検査、2万通し毎のなぞらえ検査、刷了時にも10分程度のなぞらえ検査を行うなど、検査には多大な時間と労力をかけていたという。
槇野役員は従来の検査体制について「効率が悪いことは承知であったが、そこまでが仕事のくくりであり、品質保証のためには当然のことであるとして、このやり方を長年にわたり続けてきた」と説明する。しかし、それでも人の目による検査には限界があり、印刷・製本後に問題が発覚して刷り直しが発生し、ムダな時間と損紙等による費用が発生するということもあったようだ。それでも「外部流出する前に発見することができて良かったとする認識であった」(槇野役員)という。
しかし「もし、外部流出していたらクライアントの信用を失うことになり、失注にもつながりかねないという不安は常にあった」(槇野役員)ようで、そのような中、四国地方で開催された展示会で見つけたのが「コレクトアイ シス」であったという。槇野役員は「刷り出し時に欠陥を発見できなかった場合、そのまま最後の製本までいってしまうため、『データと刷本を比較できる』というところは非常に魅力的であった」と、初めて「コレクトアイ シス」と出会ったときの感想について振り返っている。
