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ユポ・コーポレーション(東京)

創立50周年を節目に今後も新たな価値を創造

藤原英幸社長に聞く|持続可能な開発へ:機能性を付加したユポで社会貢献を

 2019年5月10日、(株)ユポ・コーポレーション(本社/東京都千代田区、藤原英幸社長)は、創立50周年を迎えた。森林伐採など自然環境破壊が大きな社会問題となっていた50年前、木材パルプに代わる原料を使用して開発された合成紙は、様々な技術改良などの苦難を経て、水をほとんど使用せず、またリサイクルが可能な環境に配慮した合成紙「ユポ」として完成した。現在では、印刷産業をはじめ、多くの社会生活シーンでユポが活用されている。今回、同社・藤原社長に、創立から現在までの足跡や、今後、「ユポ」が社会や印刷業界に対し、どのような貢献を行っていくのかをうかがった。

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藤原 社長

 同社は1969年5月10日、石油化学系合成紙の企業化を目的に王子製紙(現・王子ホールディングス)と三菱油化(現・三菱ケミカル)の折半出資により(株)王子油化合成紙研究所として発足したところから始まる。その発足の目的は、合成紙の研究・開発である。

 当時の時代背景としては、紙の原料となる木材パルプは高価であり、その多くは輸入品であった。その代替原料として当時、比較的安価であった原油をベースとした合成紙の研究・開発が始まった。そこには森林伐採による自然環境保護への想いが託されている。

 「木材パルプを使用するよりも安く生産できるだけでなく、樹脂自体はリサイクルが可能であったため、当時は最も環境に配慮した製品として期待が持たれていた」

 木材由来の紙に代わる製品として期待が持たれていた合成紙であるが、1973年に第1次オイルショック、1979年に第2オイルショックと、度重なる原油価格高騰の影響を受け、その研究も岐路に立たされることとなった。

 「原油価格の高騰により、これまでのマスプロダクトを念頭においた開発は、難しいと判断した。そこで新たな方向性として、機能性を高めた付加価値製品の開発に舵を切ることとなった」

 この方針転換こそが、その後のユポ開発の核となっている。開発当初は、木材パルプベースの紙の代替品を開発コンセプトとしていたが、紙とは違う機能、つまり従来の紙にはない、付加価値を兼ね備えた合成紙の開発へと方針を切り替えたことが、ユポ誕生につながっていく。

 以降、同社は、機能性を重視した開発を推し進め、品質改良を行ってきた。1980年代後半には、その努力が実を結び、合成紙が市場に出回るようになっていた。しかし最盛期には、20社ほどあった合成紙開発に携わった企業は、最終的に数社しか生き残らなかったという。

 「開拓精神、自分たちは、何のために合成紙を開発しているのか。それは合成紙という新しい分野を構築し、社会に貢献することが当社のミッションであるからこそ、諦めることなく開発を続けることができたと実感している」

一般インキで両面印刷が可能なユポの開発

 機能性資材として多くの印刷物に活用されているユポ。しかし、「印刷し難い」「品質不良が出やすい」「インキが乾かない」などの意見を持つ印刷会社も少なくない。

 近年、印刷業界では、LED-UVをはじめとする省電力UVシステムの導入が加速し、「印刷し難い」とされていたユポも従来用紙と同様に印刷しやすくなった。だが、普及が進んだとはいえ、省電力UVシステムは、中小印刷会社にとって高額な設備投資であることに変わりはない。また、従来の油性インキよりも省電力UVインキはコスト高になる。そのため、多くの印刷会社では、油性インキを基軸に印刷業務を行っている。当然ながら、これら油性印刷では、ユポは未だ「印刷し難い」資材といえる。

 創立50周年を迎える同社では、この問題を解決する新たなユポの開発を進めている。それは、一般インキ(油性)で両面印刷ができる新たなユポだ。

 「当社の創業当初のミッションの1つは、紙に限りなく近いハンドリングのできる合成紙の開発である。現状は、ノンコート品のユポで一般油性インキを使用できるものは片面印刷対応のスーパーユポのみ。ユポ専用インキを使用してもらえれば、ユポに両面印刷することができるものの、ユポを印刷するために専用インキを購入し、さらにインキ替えなどの作業など、印刷会社にとって負荷をかけることが多い。これまでにも何度か製品開発に挑戦し、その度に断念してきた一般油性インキで両面印刷できるユポであるが、創立50周年という節目の年を迎えるにあたり、改めて開発を進めており、今年度中に正式リリースできればと考えている」

 一般油性インキで両面印刷可能な新たなユポの開発は、最終段階に来ており、同社では、創立50周年イヤーである2019年度内の発売を計画しているという。この新たなユポが完成することで、これまでユポを苦手としていた印刷会社でも、安心して印刷することが可能となる。


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創立50周年記念ロゴマーク


 この他にも同社では、創立50周年を機に新たな価値を持つユポの取り扱いを開始している。その1つは、「オンデマンド印刷対応ユポ」で、同製品は、リコー製のデジタル印刷機に対応するユポで、多品種小ロットというデジタル印刷の強みに、耐久性、耐水性などの特性を付与することで、今までにないアプリケーションへの展開が可能となる。

 また、バイオマス樹脂を配合した「ユポグリーン」は、印刷会社だけでなく、その発注元からの要望を受け、開発された新たな環境対応型のユポ。そして最後は、前述の一般油性インキ・両面印刷対応のユポである。これら製品に共通しているのは、環境配慮だけでなく、その「使いやすさ」の追求だ。

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