2017年度「SONORA Plate Green Leaf賞」受賞
当初の懸念事項をすべてクリア
アスコンは、年間通し枚数7億超という生産量を誇り、チラシ対応のB縦半裁輪転機4台と菊全8色両面機2台を擁する府中工場(広島県府中市)がその中核を担っている。
SONORA XJのテストは、仮運用を含めて2016年8月から約2ヵ月間行われた。まず標準カラーチャートを使ったテスト印刷を枚葉機と輪転機で各2回ずつ実施。結果はスムーズな機上現像で、損紙の増加もなかった。心配していたドットゲインの太りもなく、印刷品質も安定していたため、実際の仕事で試用しながら耐刷性を確認していった。そして、当初最低基準としていた20万通しの印刷実績も達成でき、9月に枚葉機で、10月に輪転機で刷版をSONORA XJへと完全に切り替えた。テスト期間同様、実際の仕事でもその刷り出しの早さは現像有りプレートと遜色なく、印刷品質も問題なかった。


工場長の檀浦道征氏は、品質について「当初、ポジタイプの刷版を使っていたので、ネガタイプのSONORAの再現性を心配していた。しかし、『現像』という不安定要素がなくなったことで品質は非常に安定。平網の再現性や写真品質なども向上している」。また、インキの着肉性が高いため水を絞れる。そのためインキ乾燥時間が短縮され、輪転機ではガスの使用量削減、枚葉機では作業の効率化といったメリットに繋がっている。
一方、視認性については当初、「現像有りプレートと比べて見にくい」と戸惑うオペレータもいたが、実際見えないことはないため、すぐに慣れたという。版面を良く確認するようになり、小さな傷にも事前に気がつくようなった。
さらに耐傷性については、今まで以上に刷版の取り扱いが丁寧になり、品質保持の面では逆にメリットだったという。
現在では月平均1万3,000版を使い、輪転機では56万通しという耐刷性能も達成している。
コスト削減効果は年間約200万円
SONORAを全面採用する以前は、週に一度日曜日の夜に3時間かけて現像機の水替え作業を行い、また月に一度は2人がかりで5〜6時間かけてローラ洗浄を含む徹底した清掃作業が必要だった。こうしたメンテナンスの手間と時間が一切なくなったことで、生産性向上とコスト削減が図れている。
現像処理工程がなくなって、製版部門ではトータル1.5人分の業務改善が図れ、その人員を他の業務に振り分けることができている。会社全体で見ると人員の適性配置によって、生産効率の向上、生産性の向上にも確実につながっている。
さらに年間1万2,000リットルという現像液の購入費、廃液処理費などを考慮するとコストは年間で約200万円削減されている。
