「働き方改革」に挑戦 - 生産性向上と職場環境改善両立
既設菊全機にTPE製LED-UVと検査装置を搭載
(株)四ヶ所(本社/福岡県福岡市、四ヶ所大輔社長)は今年6月、既設の菊全4色機に東京印刷機材トレーディング(株)(TPE)が提供するLED-UV乾燥装置「Dry-Gシリーズ」とインライン印刷品質(欠点・色調)検査装置「BOTH Σ SENSOR」を後付搭載し、稼働を開始している。「従業員が働きやすい職場環境の整備」に取り組んでいる同社にとって、今回の設備はどのような成果をもたらすのか。今回、同社・四ヶ所社長に導入した背景やその後の稼働状況などについて聞いた。

同社は昭和14年、福岡県甘木市(現、朝倉市)において、石版印刷機による印刷を開業し、第二次世界大戦中は大刀洗飛行場などに製品を納入してきた。戦後は、美術印刷を中心に顧客ニーズに応えることで、情報発信としての役割を果たしてきた。
昭和59年に現在地に工場を拡大移転し、美術印刷の高度化を進め、平成7年には、製版工程の全てデジタル化を確立。近年では、企画デザイン・制作・編集・製版・印刷・加工・製本までを自社でライン化し、ワンストップによるサービス提供を実践している。
平成23年に同社の新リーダーに就任した四ヶ所大輔社長は、「既存ビジネスの改善」という方針を掲げ、その取り組みを開始した。
「売上だけを追求するのではなく、利益を見据えた営業活動、そして従業員が働きやすい職場環境の整備などに注力してきた」
利益を創出する生産体制と快適な職場環境の構築を目的に同社が導入したのが、LED-UV乾燥装置「Dry-Gシリーズ」だ。同社では、補助金を活用して工場全体の省電力化に取り組み、約4割の使用電力削減を達成している。そして、今回の「Dry-Gシリーズ」導入も、その取り組みの1つである。
「環境対応は、企業としての社会的責任といった観点だけでなく、資源の無駄使いを減らすことでコスト削減にもつながっていく。また、Dry-Gシリーズの導入により、乾燥不良などのトラブルも一切ないので、各オペレータは安心して業務を行うことができる」
圧倒的な採用実績が導入の決め手
同社では、菊全枚葉4色機やB3輪転機など、計6台が稼働している。今回、「Dry-Gシリーズ」が搭載されたのは、既設のKOMORI製・菊全枚葉4色機だ。
LED-UV乾燥装置「Dry-Gシリーズ」は、照射部、操作部、冷却装置で構成されるライン型の照射装置。100mmの照射幅により乾燥能力が高く、枚葉印刷機では18,000回転/毎時、オフ輪では、48,000rpm/毎時のスピードに対応。業界最高水準の積算光量を持ち、照射幅を20mmピッチで制御(消灯・点灯)できることで多様な絵柄にも対応が可能となっている。
実は「Dry-Gシリーズ」導入前に、同社は油性印刷のパウダーレス化による環境負荷低減にチャレンジしている。しかし、この取り組みは、四ヶ所社長が思い描いた成果に至らなかったことから断念することとなった。しかし、この取り組みによって同社は、別の成果を上げることができた。それは「水を絞る」印刷だ。
この「水を絞る」印刷技術を確立した同社は、初めてのUV装置であるにもかかわらず、設置後、約1日で通常稼働を開始することができた。
機械選定については、複数のメーカーの製品を比較対象を行い、その結果、TPEが提供する「Dry-Gシリーズ」の導入を決断。その理由について、四ヶ所社長は「光源が強いことはもちろんだが、大きな要因としては、採用実績は豊富なこと」と説明する。
「既設の印刷機を改造して後付する設備なので、その作業に時間がかかると生産に影響がでる。しかし、TPEは、多くのユーザーに対して後付設置した実績があり、安心して任せることができると判断した。実際に設置作業から稼働までに2日はかかる、と言われていたが、実際にはたった1日で稼働を開始することができた。これは知識と実績があるTPEだからできたこと」
導入以前は、油性印刷との仕上がり品質の相違などを懸念していた四ヶ所社長だが、実際の印刷物を見て、まったく問題ないことを確認。LED-UVによる速乾特性は、すぐに同社の生産性向上に貢献していった。また、営業スタッフからもドライダウンが一切ないので、顧客と品質に関する正確な情報を共有できるようになった、などの感想が寄せられているという。
「導入から間もないが、約130%の生産性向上を図ることができたと実感している」
また、LED-UV専用インキを使用することにより、資材コストが上がってしまうが、四ヶ所社長は「インキコストだけで見るとコスト高となるが、トータルコストとして比較すると必ずコストダウンにつながる」と説明する。
さらに同社では、LEDランプの電圧出力を60%に設定し、さらなる省電力運用による稼働を実践している。
