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冨士印刷、CSR検定合格者を輩出〜ビジネスにつながる活動を展開

 今年、創立75年を迎える冨士印刷(株)(本社/東京都千代田区、秋元裕社長)は、「社会と共に歩み、印刷文化を通じて社会に貢献する」を経営理念に掲げ、CSRを基軸とした企業活動を実践することで顧客をはじめ取引先や従業員など、すべてのステークホルダーに必要とされる企業として展開している。

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秋元 氏

 同社は2018年9月、日本印刷産業連合会が主催する「印刷産業環境優良工場表彰」において、最高賞である「経済産業大臣賞」の受賞に向け、キックオフを宣言。その目標として2021年9月の表彰での受賞を目指していくことを掲げた。その取り組みの1つとしてCSRを取り入れることとなった。

 CSR活動の責任者である同社・埼玉事業部の秋元健男氏(製造部 部長)は、「経済産業大臣賞受賞に向けて社内に専門チームを発足し、活動を開始した。しかし最上位賞を受賞するには、環境に配慮した生産体制だけでなく、企業自体も健全であることが重要であった」と、その当時を振り返る。

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「経済産業大臣賞」受賞に向けてキックオフ宣言

 印刷工場として環境に配慮した取り組みは、すぐに実行できる。しかし健全な企業としての取り組みは、有効な手段が見つからなかった。試行錯誤を重ね、検討している中、秋元氏は、(株)オルタナが運営する「CSR検定」という制度を知ることになる。健全な企業を構築するためには、社員の意識改革が必要であると考えた秋元氏は、「CSR検定」を自社の改善に最適と判断し、2019年に自身を含む4名で検定を受検。その結果、4名全員が「CSR検定3級」に合格している。

 秋元氏は「検定に合格することが目的ではなく、CSRへの理解を深め、意識を共有することが重要である」と語った上で「例えば掃除をする、という行動に対し『なんで掃除をするの』と思うのではなく、整理整頓をすることで作業がはかどり、また安心・安全な職場環境の構築にもつながる、といった意識を持てるようにする。つまり『気付き』だ。その『気付き』を全社員が共有することがCSR活動の第一歩だと確信している」と説明する。

 実際に、CSRへの取り組み開始以降は、すべての従業員が日々の何気ない行動に対し「何のために行うのか」と考えるようになったという。

 今年1月には「CSR検定2級」合格者も輩出し、検定合格者は5名の体制となっている。同社では、今後もCSR検定合格者を増やしていくことで、より高度な活動を展開していくことを考えている。

 さらに同社は、2019年に、全日本印刷工業組合連合会が制定した「CSR認定制度」において「ワンスター認定」を認証取得。更新期を迎える今年は、さらなるステップアップを目的に上位認定である「ツースター認定」の認証取得に挑戦していく。

 また、「CSRは儲からない」という声をよく聞くが、同社ではビジネスにつなげた展開をすでに実践している。

 同社では、新規ビジネスとして数年前より地元スーパーのギフト関連の仕事を受注している。内容としては、ギフトカタログの企画から印刷、さらには仕入れ先の選定・発注といた事務局運営までを行うもの。流通大手と異なり、中小規模のスーパーでは、ギフトビジネスに人員を増やすことができない。そこで同社は、CSRの考え方の1つである「アウトサイドインアプローチ」、つまり社会の課題解決することで互いの成長につなげていくことを実践した。

 「顧客であるスーパー側は、ギフトビジネスに手間をかけることなく着手でき、また、当社は印刷以外のビジネスまでを手がけることで新規需要の獲得ができる。つまりCSRの概念を具現化することで相互メリットを享受することができる」

 CSR活動のきっかけとなった「印刷産業環境優良工場表彰」は昨年、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から表彰が延期され、今年9月に開催される。そのため、同社が受賞を目指していた2021年度(第20回)は、1年繰り延べの工場募集の予定となっている。しかし、同社では、CSRへの取り組みを緩めることなく、SDGsにまで、その活動の輪を拡げ、すべてのステークホルダーに必要とされる企業として展開することで目標である「経済産業大臣賞」受賞に挑戦していく。

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