半田中央印刷、環境配慮型の新素材「LIMEX」活用事例
環境×合理性で合成紙のリプレイスへ
UV印刷機との相性は抜群。オンデマンド印刷機にも対応
「LIMEX」の取り扱いを開始して5年。竹倉社長が感じていることは、LIMEXは地元の愛知県よりも、首都圏の方が認知度はかなり進んでいるということだ。同社がこれまでにLIMEXで受注した案件についても、その多くは首都圏からの依頼であるという。竹倉社長は「東京マラソンにおいて、ランナーの給水コップにLIMEXが採用されたことから、とくに東京、神奈川などでは注目を集め、市民権を得られていると感じる」と話す。LIMEXという新素材を推奨し、愛知県の環境対応を促進していくことが、「地域に貢献する」ことをミッションとしている同社の今後の挑戦の1つともなりそうだ。
これまでのLIMEXの実績としては、名刺や卓上カレンダー、地元自治体の市勢要覧、コースター、のし紙、屋外ポスターなど多岐にわたるが、竹倉社長は「とくに卓状カレンダーは毎年定番の販売しやすい商品アイテムとなった。また、LIMEX Sheetについては80μmの製品が昨年より発売された。これは独特の手触りで、ミニサイズのパンフレットなどにも活用できるのではないかと考えている」と話す。
また、実際にLIMEXを新素材として活用したいと考えている印刷会社が気になるのは、各種印刷機との適正、調整の容易さなどだろう。竹倉社長は、「生産現場からは、従来の合成紙よりも水調整などの気を使うことなく、印刷しやすいと聞いている」と説明する。印刷適正は広く、同社ではオフセット油性印刷機とハイブリッドUV印刷機、トナータイプのデジタル印刷機で活用し、用途やロットに応じて使い分けているが、竹倉社長は「とくにハイブリッドUV印刷機との相性は抜群である」と評価している。
素材の特性から印刷時に特有の調整を必要とする場合もあるが、「使い慣れれば製版時にトーンカーブで調整したり、デザイン的に注意すべきことも分かってくるので、ノウハウを積んでいけば問題ない」(竹倉社長)ということだ。
新東通信との協力により、ポスター用の粘着シートタイプ拡販へ
そして、同社のLIMEX活用事例を紹介する上で欠かせないのは、広告会社の(株)新東通信(本社/愛知県名古屋市中区)の協力を得ながら、選挙ポスターの合成紙からLIMEXへのリプレイスを提案してきたことだ。すでにいくつかの案件を実現させている。
今春の統一地方選挙においては、新東通信は広告PR関係で関わりのある愛知県議候補、名古屋市議候補にLIMEXを紹介。賛同を得ることができ、3人の候補から採用を得ることができたという。愛知県内自治体の市議選でも1名の候補採用された。竹倉社長は「LIMEXと当選は直接の関係はないかもしれないが、選挙ポスターでも環境に配慮した新素材を使用しているということを有権者にPRできたのでは」と話す。その他の印刷物にLIMEXを営業ツールとして活用する場合でも、「感度の良い企業や学生」に響いている感触を感じるという。そのため「採用系のツールなどは活用を薦めやすい」(竹倉社長)ようだ。
また、選挙ポスターでの採用ポイントとなったのは、従来の合成紙品と比べて価格的に遜色なかったことだという。環境に配慮していることや機能面も大切であるが、やはりコスト面は採用にあたって重要な問題であり、その両方の基準をクリアして採用されたことは、注目すべきポイントといえるだろう。新東通信は「環境に配慮した新素材への注目度は高いと思われるが、とは言いつつも、従来の合成紙単価と同等以下の価格は求められる。選挙ポスターは公費補助が出るアイテムであるが、候補者は掲示板掲載以外のポスターは自費で賄うため、印刷コストはやはり重要な要素になる」とのコメントを寄せている。
そして、選挙ポスター印刷に求めるニーズとして、昨今よく聞かれるようになったのは、これまではほとんどが合成紙の1本だけしかなかった選択肢が、LIMEXにより新たな選択肢が生まれたということだ。
新東通信のコメントによると、議員候補者側の環境配慮のニーズはすでに高まってはいるが、ただ、どの議員も従来から懇意にしている印刷会社があるため、そこをどのように理解を得ていくかが今後、普及拡大の鍵になるということだが、LIMEX製のポスターには新商品として、裏面が粘着シートになっているタイプが登場した。竹倉社長は「これまではポスターの裏側に両面テープを貼り付けていたのだが、作業性が格段に良くなるため、さらに採用される可能性が高まるのではないか」と話しており、今後のLIMEX製ポスター需要拡大に期待する。
同社はSDGs関連の取り組みとしてこのほか、カーボンニュートラルも推進している。温室効果ガス排出量もスコープ2の基準では監視できているようだが、竹倉社長は「SDGsやサステナブルを意識しすぎることなく、企業も地域を構成する市民の一人として肩肘を張らずに、『自然体』で取り組んでいきたい」と話す。
なお、同社ホームページの「LIMEX」専用ページでは、LIMEX Sheetを小分けして販売しており、竹倉社長は「小規模の印刷会社でも取り組みやすいようにしているので、ぜひ使っていただきたい」としている。同社は今後もLIMEXを活用しながら、地域密着の印刷会社として貢献していく考えだ。