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半田中央印刷、環境配慮型の新素材「LIMEX」活用事例

環境×合理性で合成紙のリプレイスへ

 石灰石を主原料とする環境配慮型の新素材「LIMEX(ライメックス)」。プラスチックや紙の代替となり、リサイクルも可能であるため、昨今のSDGsの観点からも業界内外から注目を集めている。プリ・テックグループの半田中央印刷(株)(本社/愛知県半田市潮干町1-21、竹倉幹雄社長)は、2017年末頃から「LIMEX Sheet」の取り扱いを開始。環境に配慮した素材であることだけでなく、コスト、品質、機能などの合理性をアピールし、様々な商品アイテムの受注につなげてきた。今後は新商品のLIMEX Sheet 80μmや、ポスター用の粘着シートタイプを活用し、さらなる拡販につなげていく。


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「UV印刷機との相性が抜群」と竹倉社長

 同社は明治19年、活版機を導入して印刷会社としてスタートし、137年の歴史を有する企業。もともとは襖や障子などの日常用紙の販売を生業としていたようで、竹倉社長は「正確には分からないのだが、江戸時代後期には、すでに家業を始めていたようだ」と話す。

 半田市は、古くは海運や醸造関係の事業で栄えた都市。江戸時代中頃には尾張藩の保護を受けて醸造会社と海運会社が盛んになり、それにともない、ラベルなどの印刷需要が生まれたという歴史的な背景がある。竹倉社長は「当時は絵師がいて意匠制作し、木版や活版、石版で印刷していたようだ」と説明する。

 同社はこれまで、主に販促企画・編集企画とグラフィックデザイン、印刷を事業の中心に据えていたが、昨今は新たにデジタルマーケティングに注力している。「紙媒体だけでは可視化ができないので、オンラインを組み合わせることで成果の可視化を可能にしている」と竹倉社長。Webとしてだけでなく、紙媒体としてのサービスまでを含めているのがポイントだ。

 クライアントの7割は地元・愛知県の企業。ある特定の業界のみ、全国から仕事を受けているようだが、竹倉社長は「印刷業は本質的に、地域貢献型のビジネスモデル」としており、地元の愛知県から印刷物を受注するだけでなく、地域貢献活動を意識したビジネススタイルを展開している。

 また、本業以外にも地域イベントを実施したり、地元の信用金庫やケーブルテレビ会社と協働でクラウドファンディング事業を運営している。それが「自然体」として、CSRやSDGsにつながり、会社の風土形成につながっているようだ。竹倉社長は「行政や団体、地元企業と連携して地域のお役に立てるようにしていきたい」と話している。


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愛知県半田市の本社外観

「国内産」の新素材というフレーズに興味を持ったのが始まり

 竹倉社長は、代表取締役に就任して今年で6年になる。この間、社風として目指してきたことは「フラットな雰囲気」だという。働きやすい環境を目指しているためか、社員の勤続年数も長い。取材に同席していた社員も「営業と制作、生産管理と社長もワンフロアで意思疎通しやすい環境にあるため、意見や考えも言いやすく、自然体で仕事ができる環境」であると話した。竹倉社長は「あまりガツガツとしていない雰囲気」だと表現する。同社では、地域に根差した活動に取り組んできた結果、それが「自然体」でCSRやSDGsにつながっているという。このため、竹倉社長が「LIMEX」の記事を読んで初めて知って興味を持ったときも、「SDGsに貢献できるから」というのは二の次であったという。

 「どこの新聞だったかは覚えていないが、すごく面白そうな素材が出てきたなという印象であった」(竹倉社長)。同社では20年ほど前に、ストーンペーパーを取り扱った経験があるが、表面の状態や印刷機への影響など、使い勝手があまり良くなかった記憶があったという。竹倉社長は「ストーンペーパーは、海外製の素材であったが、LIMEXは国産原料を中心に製造されているというところにも共感し、安心感も感じた。そこでメーカーのTBMに連絡し、テスト用のシートを購入。オフセット印刷機とオンデマンド印刷機の両方でテストを実施した」と振り返る。

 テストの結果、ストーンペーパーと比べて表面性状の良さと安定した品質に驚き、取り扱いをスタートした。

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