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田中手帳、「手帳×SDGs」で企業手帳の復活へ

サステナブルな手帳「記す手帳botanicalシリーズ」- 極限まで脱プラ素材活用

 田中手帳(株)(本社/大阪市住之江区、田中尚寛社長)は、SDGsが身近となり、地球規模の環境問題への取り組みが企業の義務となりつつある中、地道ながらも明確な一歩を踏み出していくため「普段使いのものを変えていく」ことを提言している。普段使いのものが変われば、未来は変わるというのが同社の考え方だ。そんな同社が80年の歴史を持つ手帳製本会社として、渾身の技術と理想で作り上げたのが、昨秋に発売したサステナブルな手帳「記す手帳botanicalシリーズ」だ。田中社長は「贈答用の企業手帳を復活させる契機になれば...」としており、「手帳×SDGs」による需要創出に期待する。


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記す手帳botanicalシリーズ

 同社は8年前、オリジナル手帳「カク手帳」シリーズを開発。数多くのユーザーに愛用されてきたが、8周年を迎えた昨年、「記す手帳」として生まれ変わった。これについて田中社長は、「決して書くことの素晴らしさや可能性を否定するものではない。記すことにより、将来・未来像を切り開いてもらうことに重きを置きたいと考えた」と説明する。新たなロゴは、カレンダー部分の角張ったイメージのアイコンであるとともに、記すことは未来に向かってつながっていくというエンドレスを表現している。

 そして、そのシリーズの新ラインアップとして昨秋に誕生したのが、使いやすさはそのままであるとともに、極限までプラスチック素材を省いたサステナブルな手帳「記す手帳botanicalシリーズ」である。

 同手帳は、FSC認証を受けた紙を使用しているほか、インキはベジタブルオイルインキを活用している。4種類を用意しており、(1)ダイワフィールドFは、古紙100%配合。全対比で約0.02%芝を混抄したFSC認証紙(2)グムンドカシミア-FSは、コットン(綿)50%以上配合、FSCパルプ配合のFSC認証紙(3)グムンドバイオサイクル-FSクロロフィルは、牧草50%配合、染料不使用、FSCミックス70%の森林認証紙(4)グムンドバイオサイクルーFSカビナスは、麻約50%配合、FSCミックス70%の森林認証紙-をラインアップしている。

 田中社長は、「手触りや匂いで自然を感じることができるようになっている。2023年の手帳からは、目に優しい紙を使用したラインアップも発売する予定である」と話しており、地球環境だけでなく、手帳を使う人にも優しい手帳として品質改良を続けていく。

「手帳×防災」によるSDGsの取り組みも

 印刷・関連業界のSDGsでは環境保全の取り組みが多いが、同社ではそれに加えて「手帳×防災」による「明日の安心・安全のために手帳にもっとできること」をテーマにSDGs関連事業を推進している。

 近年、激甚化する災害に対してのデジタルを介した防災・減災の情報提供ツールは日進月歩で高機能化しており、生活者の安全を高めているが、その一方で、発災時の通信障害・停電によりデジタル機器が使えなくなるということも現実に発生している。

 そこで同社は手帳製本会社の技術を活かし、災害発生時に活用できる「防災コミュニケーションブック」ならびに「救助コミュニケーションブック」を開発。田中社長は「地震や台風などの災害時には、情報を入手して蓄え、伝達するためのツールが大切だが、スマートフォンなどの電子機器は災害時に無限に使用できるとは限らない。電波はつながらず、電気もないというとき、私たちを支える力を持つのが手帳である。必要な情報を簡単に書くことができ、携帯しやすく、得た情報を的確に伝えることもできる」と手帳にしかない優位性を強調する。

 さらに、「手帳に記された災害の体験は被災した人々の肉声であり、風化することのない記録として後世に語り継がれていく。そして、その声の累積こそが防災の原点となり、人々の明日を守るために役立てられるものと信じている」(田中社長)とも。手帳製本会社として、そんな手帳の特徴を活かしながら、これからの暮らしをさらに安全に安心に変えていくために、防災に貢献する企業としての活動に取り組んでいきたいとしている。

「自然災害伝承碑スタンプラリー」プロジェクトを推進

 地震や津波、洪水など昔から様々な自然災害に見舞われてきた我が国では、被害の状況や得られた教訓を後世まで遺そうと被災地に石碑やモニュメントを建立してきた。それが全国各地に存在する「自然災害伝承碑」である。しかし、その貴重な情報や教訓も、平常時はなかなか関心が向かないのも事実である。そこで国では、自然災害伝承碑のデータを整理して国土地理院ホームページで情報提供を開始するなど、自然災害伝承碑の活用を広く促している。

 同社ではこの動きに賛同し、手帳製本会社として何ができるかを考え、「自然災害伝承碑スタンプラリー」プロジェクトを立ち上げた。全国各地の自然災害伝承碑を巡り、楽しみながら先人の遺した教訓に触れ、防災への認識を新たにする体験を提供するもので、同プロジェクトは2025年に開催される大阪・関西万博の「TEAM EXPO 2025 共創チャレンジ」にも採択された。今後、同社スタッフにより構成されたチーム「Lobal」が外部協力者との多様なネットワーク連携を図りながら進めていく。「『防災』と『手帳』をつなぐ新しい発想をもとに、様々な業界・人と協働し、安全・安心な未来づくりに取り組んでいきたい」(田中社長)。

 同社は今後も、「手帳」の普段使いを変えることで、社会に貢献できる企業を目指していく。

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