日研化学研究所、環境配慮型製品「NIKKEN〈GEAR・SHIFT〉SERIES」
使いやすさと法令適用を両立〜2023年のPRTR法改正に対応
2023年4月、PRTR法が改正され、国に届出が必要な特定化学物質の種類が増加する。(株)日研化学研究所(本社/名古屋市中区、牛田寛治社長)は、この法令にいち早く対応し、新基準のPRTR法非該当の環境配慮型製品として、「NIKKEN

印刷業界においても環境問題が叫ばれるようになって久しい。同社にも印刷資材メーカーとして、環境問題にどのように対応していくのかという問い合わせは10年ほど前から増えていたようだ。
そんな中、同社は外部の認証基準が必要との観点から2009年に「エコアクション21」を認証取得。さらに、社員には環境社会検定試験「eco検定」の資格取得を推奨しており、ほぼ全社員が合格している。これにより、社員一人一人の環境保全への知識やモラルを高めるとともに、ステークホルダーの要求にさらに高いレベルで対応できる企業を実現している。
同社・執行役員の下畑智裕企画室長は、自社の環境への取り組みについて「当社では、地球資源が無限でないことを認識し、持続可能な社会の構築には何が必要かを考え、印刷材料の製造販売を通じて環境保全に配慮した製品設計・販売活動を継続的に行うことを企業活動の重要課題としている」と話す。具体的には、環境配慮型製品の開発とその製品を市場に提案することに加えて、その企業活動における廃棄物の削減、再利用、省電力化、省資源化を推進している。また、環境関連法令、条例、業界の自主規制等を積極的に遵守し、その取り組みを環境マネジメントシステムの構造で取りまとめ、前述の「エコアクション21」など、外部の審査を受けて継続的に管理している。
そして、ここ数年で持続的な社会の構築というSDGsの認識が広がってきたことから、同社は2年ほど前からその準備に取り組み、さらに2023年4月のPRTR法改正も見据え、環境配慮型製品「NIKKEN
開発・製造・販売までのプロセスにSDGsの課題と目標を当てはめると3、9、12に該当
環境配慮型製品の開発には、最新の法令に適応させながらも、その製品クオリティを保つという非常に難しい課題を突き付けられる。これは、印刷資材メーカーに横たわる共通の課題である。しかし、下畑企画室長は「その難問に立ち向かうことが当社の環境理念であり、開発メーカーとしてのプライドでもある」と強調する。同社には、「技術の日研」として印刷業界と共に歩んできた自負がある。
新たに誕生した「NIKKEN
同シリーズには、開発・製造・販売までのプロセスにSDGsの課題と目標を当てはめ、その要素を含めている。3・9・12に該当しており、「3.すべての人に健康と福祉を」には「人、環境への低リスク製品の開発」、「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」には「ノンシアン、脱IPAでよりクリーンな製品づくり」、「12.つくる責任 つかう責任」では「廃棄物の適正な管理とその情報開示」を、それぞれの課題に対する目標にしている。
「これまで同様の使用感」で最新の環境法令に適応させた新3製品
既存製品を最新の法令に合わせて改良した「NIKKEN

まず、環境負荷低減型UVインキ洗浄剤「ニッケンUVクリーナーG1」は、さらにリスクの低い洗浄作業を実現するため、次世代のUVインキ洗浄剤として開発。環境対応型でありながら、洗浄性や乾燥性とともにコストパフォーマンスにも優れた製品となっている。
また、UVインキ用環境対応型色替え専用補助剤「カラーキャッチEX」は、色替え洗浄における洗浄補助剤にローラーのメンテナンス機能を付与した製品。洗浄前のインキに馴染ませることで色替え洗浄が効果的に行え、仕上げ洗浄ではローラーの微細孔に残っているインキ成分や紙粉などを除去するUVインキと油性インキ兼用のマルチ機能洗浄補助剤。
そして、今年6月末にラインアップに加わったのが、環境負荷低減型アストロ給湿液「アストロシフト807」。オフ輪印刷におけるブランケットパイリングを抑制することで、印刷品質や稼働率の低下を防ぐ。また、ブランケットパイリングによる洗浄回数を減らすことで、ランニングコストや環境負荷の低減にも貢献する。さらに、カルシウムの結晶化防止設計によるグレーズ抑制と水棒へのインキ絡みを軽減する効果も併せ持つことで、より安定した印刷が維持できる給湿液となっている。
これら3製品は、使用感等は既存製品と遜色なく、今までと同じように使用できるように開発した。下畑企画室長は「環境配慮とユーザーの要望を同時に満たすという困難なミッションを全社一丸となって進めた結果として誕生した。『NIKKEN
データ収集、届出などの作業軽減でイニシャルコストも削減
さらに、「NIKKEN
下畑企画室長は「使い慣れているからといってPRTR法に該当した製品を使い続けた場合、通知や報告など、全体のコストが上がってしまうということをメーカーとして提案していきたい」と話している。
同社は今後も、これまで以上に開発型企業であることを再認識し、営業・技術・製造の連動力を向上させて、スピーディーな製品開発を目標にしていく。さらに、カーボンニュートラルの実現に向けて、製品開発の一部にSDGsの課題と目標を取り込み、その成果としてでき上がった製品を「環境配慮型製品シリーズ」として積極的に市場に提案。そして、これをユーザーに選択してもらうことで、持続可能な社会構築の一部になることを目指していく。
