ファイヴツゥジャパン、ホリゾン「紙ファイル作製システム」1号機導入
初の生産設備で競争力強化〜7月末には紙ファイル専門通販サイト開設へ
SP系に強い印刷・製版会社の(株)ファイヴツゥジャパン(本社/東京都中央区、鍛治川和広社長)は、ホリゾンが発売した「紙ファイル作製システム」の第1号機を導入し、紙ファイル事業への挑戦を開始した。見込み客はこれから作るというまったくゼロからのスタートで、鍛治川社長は「外注では差別化が図れない。他社に先んじて紙ファイルの仕事を獲得していくという意志を込め、当社初となる生産設備として導入した」と意気込みを語る。7月初旬に千葉市花見川区の同社・関東工場((株)共進ペイパー&パッケージ関東工場内)に設置。調整作業を完了し、サンプル作成を開始している。

同社は1991年に製版会社として創業。顧客の「思いをカタチ」にする企業として、チラシ・パンフレット、販促品やイベント用のオリジナルグッズを少量から低価格で提供している。1999年にはオンデマンド印刷、デザイン制作を展開し、あらゆる媒体に対応することで多くの実績を上げてきた。
そして2021年には、パッケージの老舗であり、デジタル印刷市場を牽引する(株)共進ペイパー&パッケージのグループ企業となり、生産設備を保有するに至った。鍛治川社長は「共進ペイパー&パッケージの最先端の印刷・後加工設備を保有することにより、これまで以上に顧客へ高い付加価値を提案することが可能になった」と話す。
そして、その設備力を活かして展開するビジネスの中、注力したいと考えているのが、1時間に20〜30ジョブの段取り替えが可能な「スピードマスターXL106」の脅威的な段取り替えの早さを活かした本機校正ビジネスの本格化である。
「メガ台数校正」の本機校正ビジネスを展開
平台校正機で校正出力を行う場合、版と網点という同一のテクノロジーとはいえ、やはり実際に本生産する印刷機ではないため、現場で色調整を行ったり、立ち合いが行われるなどの無駄が発生することは少なくない。このような無駄を排除することが、今回開始する本機校正ビジネスの目的であり、鍛治川社長は「本機で校正して本機で出力するビジネスを展開し、製版会社としての競争力を強化していく」と話す。とくに1つの案件で30台〜40台のジョブが発生する"メガ台数校正"を集めていくことで、圧倒的な差別化を展開していく考えだ。
鍛治川社長は「1年間に数回であっても、世の中には1つの案件で色違いなどにより、30台〜40台の段取り替えが必要な仕事がある。これの校正を平台校正機で行った場合、1台に1時間位の時間がかかるため、丸々2〜3日かけて行うことになってしまう。これを共進ペイパー&パッケージが保有する『スピードマスターXL106』で行うことにより、"メガ台数校正"と呼ばれるこれらの本機校正を2〜3時間で完了させることが可能になる」と説明する。
今後、共進ペイパー&パッケージの受注についても、新規案件については可能な限り「スピードマスターXL106」による本機校正を行っていくということで、グループでシナジー効果を高めていくようだ。
抜き、折り、貼りの一体による「自動化」に魅力
共進ペイパー&パッケージグループでは、持続可能な開発目標であるSDGsに対して「パッケージでハピネスを生み出す」のVisionに基づき、積極的な取り組みを進めている。ファイヴツゥジャパンの紙ファイル作製システムの導入もその取り組みの一環であり、鍛治川社長は「ホリゾンの『紙ファイル作製システム』を活用することにより、クリアファイルに代わる商材として紙製ファイルを提案することができ、SDGsや脱プラにも貢献できる。実際の受注はこれからだが、サンプル作成の引き合いはすでに多く寄せられている。これによりビジネスチャンスを掴んでいきたい」と期待する。

同社が紙ファイルを作製できるいくつかのメーカーの機種の中から、ホリゾンの紙ファイル作製システムを選択した一番の理由は、抜き・折り・貼りの工程が一体化されており「自動化」を実現できるところだ。同システムは、ロータリーダイカットシステムRD-N4055と紙折機AFV-56で構成され、型抜きから折り、糊付けまでの工程をインラインで実現できる。これにより、紙のセッティングをすれば、1時間で2,000枚の紙ファイルを自動で作成することが可能になる。
「共進ペイパー&パッケージグループはスマートファクトリーの実現を目指しており、今後も人の手をできるだけかけずに自動化できる設備投資を行っていく」(鍛治川社長)
将来的にはフェアトレードの紙を使用した紙ファイルの作成へ
「まずは、紙ファイルの存在意義を世に説いていくところから始めていく」(鍛治川社長)。同社は7月中にも紙ファイル専用の通販サイトを立ち上げ、低価格な紙ファイルの提供で紙ファイルの普及に努めていく。5年以内に2〜3億円の売上を目指す。当面はFSC認証紙の紙ファイルのみで展開していくが、将来的にはバナナペーパーなどフェアトレードの紙を使用した紙ファイルにも取り組んでいく考えだ。
「一度採用されれば定期的な発注が期待できる商材のため、将来的な期待感は高い。オリジナルキャラクターなどのクリアファイルは販促物のノベルティとして配られているが、紙ファイルはプラスチックよりも印刷の再現性が高いため、アニメやブランド、スポーツ関係などと相性が良いと考えている。クリアファイルより安く作製できるため、より多く配れるという意味で、ノベルティのニーズに期待している」(鍛治川社長)
共進ペイパー&パッケージグループの売上は現在、約72億円。鍛治川社長は「100億円企業を目指していきたい。その早期実現に向け、SDGs関連商材には今後も注力していきたい」としており、その中でも紙ファイルの将来的な伸び代の大きさに期待している。
