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FFGS、期待高まる「最適生産ソリューション」〜プリンタ性能が大前提

「有効性の検証」で新たなフェーズへ

 富士フイルムグラフィックソリューションズ(株)(山田周一郎社長、以下「FFGS」)が展開する「最適生産ソリューション」は、印刷会社の持続的成長に向けた「最適生産環境の構築」を印刷経営の新たなメソッドとしてソリューション化したもの。昨年末時点で80社以上の分析と対話を終えている同社では、その有効性を徹底検証することで、ソリューションの質と信憑性に磨きを掛けている。page2024では、その前提となる「プリンタの技術性能」を訴求していく。そこで今回、デジタルソリューション営業部の鈴木重雄部長と技術二部の早川貴之課長に、活動の現状と技術部が関与する検証作業について伺った。


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デジタルソリューション営業部・鈴木部長(右)と技術二部の早川課長


トレンドのモデル化で「スピード感」

 印刷会社において、とくに外部支払い原価の増加が経営を圧迫する状況にある中で、FFGSが展開する「最適生産ソリューション」への注目と期待が一段と高まっている。同ソリューションは、オフセットとデジタルの共存運用から生み出された「余力」を、再分配するという考え方にもとづいた、印刷経営の新たなメソッドをブランド化したもの。page2022で正式発表してからのおよそ2年間で、その分析依頼は140社以上にのぼり、昨年末時点で80社以上の分析と対話を終えているという。鈴木部長は、「『お客様の持続的成長』のために『生産改革』を軸としたソリューションを提供する我々のアプローチによって、各社平等にある『時間資源』の様々な扱い方に対して一石を投じることに、多くの理解と共感を得ている」と現状を語る。

 そもそも、この「最適生産ソリューション」の概念は、東日本大震災時の混乱からヒントを得ている。当時、仙台エリアの印刷会社では3週間程度、オフセット印刷の稼働が停止。しかし、デジタル印刷機を設備していた印刷会社では事業を継続できたところが多かったことから、ある印刷会社が「生産機としてデジタル印刷機を使う」という仮説のもと、当時の「Color 1000 Press」を導入して検証を行った。これが普及し、「最適生産ソリューション」誕生のきっかけとなったわけだ。「当時は投資の3/4が復興予算で補助されたのでチャレンジする機運もあった」(鈴木部長)。

 現在「最適生産ソリューション」の対象となっているのは売上規模で3億円程度から100億円を超える企業まで様々。地域的には西日本から徐々に東へと広がり、その課題にはあまり地域格差はないという。同社では、この80社以上の分析結果から、例えば、付帯作業時間の平均や印刷機の回転スピードとロットの関係、あるいは損紙平均(1ジョブ当たりの平均は290枚)など、日本全国の商業印刷会社における課題や実態の傾向が掴めてきており、現在ではそのトレンドのモデル化によって印刷会社の問題点を予測、想定しながら対話を進めることで、ひとつの課題であった「スピード感」が同ソリューションに生まれている。

 「当初は対象会社を200社程度と想定していたが、もっと増えていくだろう。営業の経験値に加え、対話の質が上がっていることから分析依頼の確率も上がっている。また、最適生産の案件ではなかったものが、投資判断として根拠を定量的かつ客観的に示すためにこのメソッドを活用するケースも出始めている」(鈴木部長)

「Revoria」の性能があってこそ

 今回、最も重要となる視点は、プロダクションカラープリンタ「Revoria Press PC1120」の性能があってこそ、はじめてデジタルとオフセットの共存が可能になるということ。「『最適生産ソリューション』のゴールは、お客様が『利益を残し、成長すること』である。当然ながら我々もビジネスとして『Revoria Press PC1120』という優れたPOD機を採用いただき、パートナーとして長いお付き合いを維持することを狙いとしている。このソリューションの有用性を裏付ける背景には『Revoria Press PC1120』の抜きん出た品質、生産機としての堅牢性、その保守体制の確立があることを強調したい」(鈴木部長)


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Revoria Press PC1120の技術性能訴求へ

 「最適生産ソリューション」への評価の高まりとともに、「Revoria Press PC1120」の販売台数実績は半期毎に120〜150%の伸びで過去の記録を塗り替えているという。

 さらに、最適生産ソリューションは親和性の高い商業印刷から進められてきたが、ここにきて「Revoria Press PC1120」はシールや紙器パッケージ、同人誌などでもニーズが見え始め、徐々にその対象となる分野を拡大しつつある。

 そして、新たなステージに移行している。それは「徹底した有効性の検証」である。

 これまでコンセプトに賛同した印刷会社を対象に分析を行い、その結果をもとに「Revoria Press PC1120」を使った「デジタル印刷とオフセット印刷の両輪による生産改革」を実施。そして実際、オフセット対比でPOD機がどれだけ効果を生み出し、課題解決に繋がっているのか、そこの実現可能性を徹底的に検証している。

 「現在、西麻布本社にあるショールームの環境を使って検証を行っている。これが我々のノウハウになり、そこで得た情報が新たなソリューションに繋がる。さらに、ここで蓄積される情報やニーズを富士フイルムビジネスイノベーションにフェードバックし、商品開発にも活かしている。商品開発への循環はメーカー直下のFFGSの役割でもあり、引き続き強化していく」(鈴木部長)

マシン性能の見える化とオフセット対比での検証

 ソリューションの有効性検証は、当然ながら技術部が介入して行われる。技術第二部の早川課長は、「最適生産ソリューションには、もれなく『どの仕事がオフセットからデジタルに置き換えられるか』を検討する作業が発生する。そこでFFGSの刷版事業の知識と経験がモノを言う。やはりこのソリューションは、デジタル印刷品質が、オフセット印刷に遜色ないレベルにあるという前提がなければ成立しない。そこをユーザーとともに確認する作業で我々技術部が関与している」と説明する。

 具体的な検証項目としては、連続印刷時の色の安定性や文字品質などがあるが、とくに網点品質は、現在でもこだわりを持つ印刷機長は多い。さらに色味を含め、肌の粒状感や色の転び方といった画質についても、刷版事業を手掛けるFFGSだからこそ、印刷会社の心に響く検証尺度を提示することができると言える。「我々技術部が介入し、これら項目をユーザーとともに検証する場として、今後は現在のショールームに手を加え、もっと印刷会社の実務や成果物をイメージできるようにブラッシュアップしていく」(早川課長)

 一方、最適生産ソリューションの守備範囲は現在、後加工の分野まで広がりを見せている。

 「加工ラインをオフセットとデジタルで共有した方がいいのか、あるいは別ラインにした方がいいのか。『人、モノ、金、時間の余力を如何に生み出すか』というゴールに向けて、『後加工にも改善余地があるはずだ』という目線でインテグレーションできるようなメソッドを整えていく」(鈴木部長)

pageの主役も「Revoria Press」

 page2024では、枚数と色差の推移から見た安定性や文字品質など、最適生産ソリューションの有効性を裏付ける「Revoria Press PC1120」の技術性能をアピールする。

 「通常の文字と白抜きのバランスがとれている点や、0.1ポイントの白抜き罫線の再現性、網点品質など。とくに電子写真方式の場合、感光体ドラムに電荷を均一に与え、如何にムラを抑えられるかが技術の肝になる。肌や金属の粒状感や細線の再現性に加え、面内ムラ補正機能による平網の品質にも注目してほしい」(早川課長)

 また、シール印刷の分野では、偽造防止の観点から極小文字を再現したサンプルも展示。「ルーペでしか可読できない極小文字は、富士フイルムのプリンタしか再現できない」(早川課長)としており、偽造防止的な活用事例から、「Revoria Press PC1120」の基本性能の高さをアピールする。

 一方、今回のpageでは総合カラーマネジメントソリューションを発表する。FFGSのカラーマネジメントソリューションは、「i-ColorQC」から「GA Smile Navi」、そして今回「FFGS QC Navi」(仮称)へと進化する。これは、オフセット印刷向け、POD向け、プルーフ向けといった事業別で縦軸に分かれていたソリューションを統合したものである。

 「色を合わせるという技術に関してはどのメーカーも大差はなく、オフセット印刷をターゲットに色を合わせる、これもどこのメーカーも答えは同じ。FFGSだからできることは、そのターゲットとなる印刷物が正しく再現されているかという判断や検査ができる点にある。そのジャッジを経た上で、色合わせをするので、導入ユーザーでの色のトラブルは非常に少ない」(早川課長)

 また、「Revoria Press PC1120」の新たなオプション機能として、自社開発のインライン検査マネジメントシステムも発表する。これまでできなかったバーコードの可読や、検査で発見した不良をリジェクトするオートパージ機能が追加されている。

 さらに、昨年5月にリリースした「Revoria Press PC1120」用の「圧着トナー」を使ったサンプル展示も行い、DMだけでなく、別用途でも可能性が広がる様々なサンプルを配布する予定だ。

 また、FFGSブースに隣接する形で、pageの今回のテーマ「連携」に沿った新企画ゾーンが設置される。ここでは、デザイナーやメーカー、クライアント、印刷会社などが互いに連携することで生まれた印刷製品や作品が展示され、FFGSのユーザーの製品や、国内外の富士フイルムグループの印刷機器ユーザーによるデジタル印刷作品を評価するコンテスト「Innovation Print Awards」の受賞作品も展示され、最適生産に加えて新しいビジネスのヒントを提示する。

 「最適生産ソリューションで業績数値を改善し、投資の原資を生み出す一方、新しいビジネスや商材を創造する。そしてこれらの挑戦と可能性を担保する『Revoria Press PC1120』の機械性能。pageでは、このような方程式を紹介したい」(鈴木部長)

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