Koenig&Bauer社 - Japan Media Tour(3) 紙器パッケージ向けB1判枚葉インクジェット機「VariJET」
月産70万枚規模がターゲット
Rapida - 進む自動運転制御〜枚葉機部門[ラーデボイル]
エネルギー消費量を可視化
同社では、「VisuEnergy X」というユニークなエネルギー管理システムを提供している。これは、印刷工場内の印刷機とその他接続されたすべての機器のエネルギー消費量を可視化するとともに、この消費量を生産量との関連で分析を行い、例えば「1,000枚あたりのエネルギー消費量」といったジョブ固有のパラメータを計算することができる。また、エネルギーデータだけでなく、温度や湿度などの生産に関連するパラメータを含むようにシステムをアップグレードすることも可能だ。同社では、「VisuEnergy Xによって、お客様は平均で7~10%のエネルギー削減を、しかも通常1年目から持続的に達成することができる」としている。
「環境対策は我々にとって最優先事項である」と語るフィッシャー氏。「いま、我々はすべての事業活動においてエネルギー消費量削減を徹底的に追求する一方で、生産プロセスにおけるノイズ、ダスト、臭い、CO2といった様々な面から環境にアプローチしている」
VariJET106
「VariJET」は、「Rapida106」のフレームに「SAMBA」インクジェットヘッド、そしてdurst社のインクジェット・コントロール技術を搭載した紙器パッケージ向けB1判枚葉インクジェット印刷機。ベータ1はドイツの大手パッケージ会社に設置され、5月中旬から印刷を開始しているという。またベータ2は、6月半ばにスイスのユーザーに設置され、我々は最終テスト中のこの機械を見ることができた。ベータテスト中ということもあり、撮影できなかったのが残念である。最初のシリーズ機は5月初旬に製造が開始され、第4四半期にポーランドのユーザーに納入されるという。
ベータ機は、2台ともにダブルコーター仕様となっており、これら導入ユーザーは、食品、化粧品、タバコ、そして一部の医薬品など、さまざまな用途をカバーしていることは非常に興味深い。
「VariJET」は、複数のRapida機を保有するユーザーの小ロット対応をひとつのターゲットとしており、月産70万枚規模の生産が目安になる。Landa S10あたりが競合となるだろう。
機械構成は、Rapidaフィーダーから水性プライマーを施すコーティングタワーを経由して乾燥。ここまではRapidaグリッパーで搬送されるが、ここからベルト搬送に切り替わりインクジェットユニットへ。つまりシリンダーはない。CMYK+オレンジ、バイオレット、グリーンの水性7色仕様(4色仕様も販売)で、各色24ヘッド、計168のインクジェットヘッドを搭載している。最大印刷解像度は1,200×1,200dpiで、印刷速度は5,500枚/時。最大シートサイズは740×1,060ミリ、シートの厚さは0.2〜0.8ミリ、最大印刷領域は704×1,036ミリ。
印刷後は、再び90℃で熱乾燥の後、Rapidaグリッパーで掴み直してニスコーター、そして排紙となる。インクジェットユニットの後ろに設置された検査システムで、色調コントロールや検知されたホワイトラインなどの補正が行われる。また、4時間毎または5,000シート毎に約4分のヘッドクリーニングも自動で行われる。
筐体の全長は約28mと長いが、インクジェットヘッドのメンテナンススペースを縦方向に取っているため、機械の幅はコンパクトになっている。
「VariJETはRapidaの競合ではなく、論理的に補完するもの。VariJETの導入により、セットアップの廃棄物やプレートを節約できることは、当社の環境戦略に大きく貢献する」(フィッシャー氏)