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Koenig&Bauer社 - Japan Media Tour(3) 紙器パッケージ向けB1判枚葉インクジェット機「VariJET」

月産70万枚規模がターゲット
Rapida - 進む自動運転制御〜枚葉機部門[ラーデボイル]

 ドイツ・Koenig&Bauer社は5月下旬、「Japan Media Tour」を企画し、デジタル&輪転印刷機部門の生産拠点であるヴュルツブルクの本社工場と、枚葉機部門の生産拠点であるドレスデン近郊のラーデボイル工場を公開した。最終回となる今回のレポートでは、ラーデボイル工場で製造されているオフセット枚葉印刷機「Rapida」シリーズと、現在ベータテスト中である紙器パッケージ向けB1判枚葉インクジェット印刷機「VariJET」について紹介する。


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菊全判機「Rapida106X」

年間300〜350のデモンストレーションが行われるCEC

 ドイツ東部ザクセン州の州都ドレスデンは、チェコ共和国との国境近くに位置する都市。第二次世界大戦の空襲で深刻な被害を受けたが、1990年前後から歴史建築が再建され、その美しい旧市街の景観は非常に情緒的で、「エルベ川のフィレンツェ」あるいは「ドイツの京都」とも言われる。

 Koenig&Bauer社の枚葉機部門の生産拠点は、そのドレスデンから車で20分ほどのラーデボイルにある。

 工場で我々メディアを現地で迎え入れてくれたのは、プロダクト担当のサーシャ・フィッシャー氏とデモセンターの責任者であるウルフガン・レイ氏。グローバルカスタマーエクスペリエンスセンター(CEC)で約1時間のプレゼンテーションの後、CECに設置されている菊全判機「Rapida106X」と倍判機「Rapida145」を見学した。


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CEC責任者のウルフガン・レイ氏

 約3,000平方メートルのフロアスペースを有するCECでは、世界中から寄せられるリクエストにより、年間300〜350ものデモやテストが行われているという。

 デモでは、まず「Rapida106X-7+LTT-1+L」で3つのUV印刷を実演。自動運転制御機能「AutoRun」による約3分のジョブ切替や用紙の自動パイル交換が見どころで、疑似エンボスの切り替えも数分で行っていた。

 一方、ダブルデリバーを装備した「Rapida145-7+LTTL」では、油性6色印刷の上にグロスUVニス、油性4色印刷の上にマットUVニスという「油性+UVニス」の2ジョブを実演。本来、油性+UVニスは、組成が異なるため難しいとされているが、絵柄部分を油性印刷することでコストを削減するとともに、2つのニスコーターを使って最初にプライマーニスを塗布することで、次のグロス/マットニスの質感を際立たせるという実演が行われた。


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倍判機「Rapida145」


高速性能支えるフィーダー構造

 「Rapida106X」は、両面印刷時でも毎時2万回転の印刷スピードを達成したモデル。この印刷スピードをさらに向上させる計画はあるのか。フィッシャー氏は「技術的には何ら問題はない。ただ、お客様にとっては、スピードが重要なのではない。生産性を考えるのならば、倍判機のRapida145は最高1万8,000回転、菊全判換算で3万6,000回転になる。ボリュームをカバーするならば、この方が圧倒的だ。本当に重要なのは『生産性』であり、物量にかかわらず『付加価値の高いアプリケーションを高速で製造する』、そのスピードではないか」と説明している。

 自動運転制御機能「AutoRun」は、約3年前から実装されている機能で、現在では標準装備となっている。事前に定義された生産パラメータに基づいたプロセスシーケンスによって、印刷ジョブを自律的に処理する機能で、自動運転による飛躍的な効率化が期待できる。「R&Dでは常に、できる限りの自動化の可能性を探っている」(フィッシャー氏)


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 一方、印刷機の高速性能を支えているのがフィーダー構造「SIS(センサーインフィードシステム)」だ。SISは、用紙の直進動作を阻害するサイドレイを不要にしたことで、高速での安定した給紙を可能にした技術。従来の引き針を使う見当装置ではなく、トランスファードラムのグリッパーが用紙を掴み、センサー制御によって高速印刷時でも用紙を正確にポジショニングできる。これにより、用紙のコンディションによる針飛びや、機械停止(ちょこ停)が起こらない。また用紙搬送を加速させても、爪抜けによる見当ズレが起きないグリッパーシステムなどの数々の機械的特徴が、品質を落とすことなく毎時2万枚での安定した印刷を可能としている。

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