IGAS2022|エックスライト社、進化したeXactの第2世代モデル発表
分光測色計「eXact 2」-「使いやすさ」を追求
エックスライト社(東京都江東区、南文輝社長)は今年9月、新たな分光濃度・測色計「eXact(イグザクト)」の第2世代モデル「eXact 2」の市場投入を開始した。IGAS2022では、使いやすさを追求して新たに開発された「eXact 2」を中心に出展し、実演を通じて、その機能を紹介していく(小間番号2-18)。今回、同社・セールス&マーケティング部担当営業部長の川守田孝治氏に「eXact 2」に搭載された新たな機能などについて聞いた。
「eXact 2」は、印刷、インク、パッケージング業界におけるカラープロフェッショナル向けに設計された次世代型のカラーメジャメント機器。「eXact 2」を使用することにより、素早く、正確かつ使いやすく、複数基材の印刷物を測定することが可能となる。さらにワークフローを合理化することにより、無駄を省き、収益力の向上を支援する。
川守田氏は、「かつての職人気質の高い印刷現場では、測色計がなくても印刷物を生産することはできた。しかし、若手オペレーターの育成を考えた場合、その職人技を継承させるには膨大な時間が必要となる。また近年では、クライアントの品質要求も高度になり、その対応として数値化された色の情報を共有することが求められている。それら課題を解決する機器として当社は、これまで測色計を市場に提供してきた。eXact 2は、eXactシリーズとしては、第2世代、測色計全体では4世代目となり、これまでの導入実績を踏まえ、より使いやすさを追求して開発された」と、印刷業界における測色計の役割について改めて説明するとともに、今回、発売された「eXact 2」の最大の特徴として「使いやすさの追求」を挙げている。
使いやすさを追求した新機能を多数搭載
「eXact 2」は、前モデルの機能を踏襲するとともに、ユーザーから寄せられたニーズを反映した新たな機能を多数搭載している。今回、「eXact 2」では、高解像度カメラと市場初のビデオターゲティングテクノロジー「Mantis」を搭載している。ビデオターゲットで測定位置に素早くセットすることでターゲットサークルが測定したいカラーを正確に設定・測定することができる。
さらに、従来の押し込み方式(ホッチキスタイプ)測定ではなく、ビデオアシストによるダイレクトセットでの測色方式を採用。これにより測定時の微妙なズレを防止し、正確なターゲティングを実現する。加えて非接触による光学設計により、ウェットインクの測定時にも測定サンプルの汚れを極力抑えることが可能。油性インキによる刷り上がり直後でも印刷物を汚すことなく測定することができる。
「前モデルでは、印刷物を挟み込んで測色するホチキスタイプであったがeXact 2では、新たにビデオターゲティングという機能を搭載し、印刷物の上からディスプレイ越しにターゲット位置を確認し、測色することができる。また、油性インキの場合、完全に乾燥していないこともあるので測定時にカラーバーを汚してしまう可能性がある。そのため正確な測定数値に影響を及ぼす可能性があった。しかし、eXact 2は、非接触測定が可能なので汚れなどを気にせず正確な測定ができる」(川守田氏)
また、フィルムなどのコシのない測定物に対しては、専用のガイドを使用することで対象物を固定し、安定した測色を行うことができる。
ディスプレイの改良で作業性の向上を支援
また、ちょっとしたアイデアの採用で、より使いやすさを向上させている。それは45度まで傾けることができるチルドディスプレイの採用だ。ディスプレイだけを傾けることができるので、測定のたびに、装置を引き寄せて確認する必要がない。さらにディスプレイも従来から約30%の大型化を図っており、視認性も格段に向上している。
通信機能においては、従来のBluetoothからWifi対応に変更。これにより、デバイス最適化のためのネットプロファイラー、インクフォーミュレーション、印刷品質管理「カラーサート」、デジタルカラーコミュニケーション「パントンライブ」、デバイスパフォーマンス管理サービス「エックスライト リンク」など豊富なソフトウェアやライブラリと同時に利用できる。また、Japan Color、G7やPSOをサポートしており、品質基準を従来比で17%速く達成することができる。
印刷立ち合いの効率化やBCP対策にも効果
コロナ禍では、感染拡大防止の観点から印刷立ち合いなど、クライアントと印刷会社における色に関する情報共有の場が失われていったという。しかし、「eXact 2」を活用することで、クライアントと印刷会社の双方で場所や時間を気にすることなく安心・完全で正しい数値でのリモートコミュニケーションも可能となる。
川守田氏は、「印刷現場での使いやすさを追求するだけでなく、クライアントに対しても抵抗なく利用してもらえるような改善に努めている。今後は、クライアントと印刷会社がeXact 2を介してコミュニケーションをとることで、より効率的な運用が可能となるはず。日本国内においては、自然災害などにより印刷工場の生産が停止してしまうこともある。そのような場合でも色をデータとしてeXact 2で管理していれば、協力会社で委託生産してもらうことも可能となる。これによりクライアントも安心して発注することができる」と、今後は、印刷立ち合いの効率化やBCP対策のツールとしての活用を視野に提案していくという。
各社の課題解決に向けた最適運用を提案
このほかにもアミ点の形や見当を拡大表示し、確認・保存できるデジタルルーペ機能や、組み込まれたスキャニングシステムで、カラーバーのパッチを一挙に高速測定するビルトインスキャニング機能など、様々な新機能が追加搭載された「eXact 2」であるが、川守田氏は「色に関する課題は、各社によって異なる。そのためeXact 2の運用については、どう活用するかが一番重要である」と語る。そのため4年ぶりに開催される「IGAS2022」では、新機能の特徴だけでなく、その機能でどんな問題を解決できるのか、といった観点から訴求していく方針だ。
川守田氏は、「IGAS2022では、どんな小さな課題や疑問でも遠慮なく相談してほしい」と、カタログスペックだけにとらわれず、個々の企業に最適な提案を行っていくとしている。