IGAS2022|シリウスビジョン、「専門性×汎用性」製品開発の裾野を拡大
人手不足の問題を解決〜汎用性の高い検査システム新製品を紹介
「より多くの方のお役に立っていきたい」。画像検査システムのシリウスビジョン(株)(本社/横浜市港北区、辻谷潤一社長)はIGAS2022において、このコンセプトのもと、汎用性の高い3つの新製品を中心に紹介する。同社ではこれまで、多様化する検査ニーズに応える専門性の高い検査システムを開発してきたが、昨今の人手不足で検査システムを求める印刷会社が増えていく中、今後は汎用性の高い検査システムにも製品開発の裾野を広げていく方針だ。9小間の展示ブース(小間番号2-17)はジャンル別にゾーン分けされており、今回、紹介する汎用検査システムは「FlexVision」ゾーンに展示されている。
「オンリーワンの画像検査技術で、目視検査をゼロに」。これは、同社の検査システムの開発ポリシーである。「過検出・誤検出」を抑制し、人の目に近い検査を行う検査アルゴリズムは、幅広い企業に受け入れられており、その結果、同社の検査ソフトは2011年の設立からわずか11年で納入1,700台を突破するまでに広がっている。
さらに昨今は、人手不足の深刻化により「検査システムの話をすると印刷会社の目が変わるようになってきた」と企画制作本部の宇野慶太氏は語る。これまでは検査システムに見向きもしなかった印刷会社でさえ、興味を持ち始めているようだ。
そのような中、同社は「より多くの方のお役に立っていきたい」という思いから、検査システムを初めて導入する「初心者」でも安心して使用できる、使い勝手と汎用性に優れた検査装置を開発した。IGAS2022では、3つの新製品を紹介する。
一体型高速可変読み取りシート検査装置「Smaco」
page2022で参考出品した「Smaco(スマコ)」は、コンパクトサイズの一体型シート検査装置。筐体サイズは検査ソフトと搬送部を含めても1メートル程度。検査本部・検査第1チームの佐々木啓安担当部長は「検査ソフトもライト版となっており、1つの画面で設定から結果までが終了する」と簡易な操作性をアピールする。複雑な操作は一切ないため、検査装置の初心者はもちろん、「パソコンすら苦手という高齢者の方でも簡単に操作できる」(佐々木担当部長)という優れものだ。
「スマコ」の名称の由来は「スマートコンベアコンパクト」。使い勝手を重視し、キャスター付きで簡単に移動ができる利便性がユーザーに喜ばれているという。佐々木担当部長は「これまでは、印刷対象物を検査装置の場所に持っていくのが常識であったが、スマコの場合は印刷対象物のある場所に検査装置を持っていくことができる」と、新しい発想の検査システムであることを強調する。
はがき、DM、商品券やチケットなどの可変情報の読み取りに適しているが、インクの汚れなども同時に検査することができる。佐々木担当部長は「このくらいのスペックの検査装置の場合、通常はどちらかしかできない。可変情報の検査と同時に印刷の汚れも検査できるのがポイント」とアピールする。さらに、製袋後、ビニールに入った封入封緘後でも検査が可能である。
ボトムフィーダータイプ(吸引ベルト)で、最大搬送サイズは角2封筒サイズ。搬送速度は往復はがきで6万通/時(英数OCR)、角2封筒縦で8,000通/時(内容物入り)を実現。目視やハンディリーダーでの手作業と比べ、オペレーターの負担を大幅に軽減できる。CSVやエクセルとのデータ照合も可能であり、「コンパクトで機能限定」と謳いながらも、多様化する検査ニーズに十分に対応する検査装置と言えるだろう。
一体型品質検査装置「S-ComSmart」
一体型品質検査装置「S-ComSmart」は、主に全面の品質検査をするもので、A4サイズで表裏ワンパスの検査が可能である。
さらに高精度な検査が可能になっており、バーコード・QR・OCRの検査に対応(各CSV比較可)する。汚れ(良品マスターとの比較)、オプションでPDFマスターとの比較もできる。
検査処理として、NG停止・定数区分け(インターバル)、結果CSV保存・欠陥画像保存・全画像保存などが可能。「スマコ」と同様、キャスター付きとなっており、検査対象物の場所に持っていくことができる。
卓上ロール検査装置「S-Lab Combi」
卓上ロールラベル検査装置「S-Lab Combi」は、卓上プリンターと連動して検査できる新製品。「ラベルに追い刷りした可変情報の検査などに適している」と佐々木担当部長は話す。もちろん、オフラインでも検査できる。
カメラは照明一体型CIS。読取幅は4インチである。「S-ComSmart」と同様に、バーコード・QR・OCRの検査に対応(各CSV比較可)。汚れ(良品マスターとの比較)、オプションでPDFマスターとの比較もできる。
また、検査処理は、NG停止(NGラベルはステージ上で停止)、結果CSV保存・欠陥画像保存・全画像保存などが可能である。
IGAS展でこれまでになかった概念を注入
IGAS2022でシリウスビジョンは、これまでにはなかった様々な概念を注入する。宇野氏は「IGASは4年に一度の国際展示会。目立たせるため、ブースの構成もこれまでとは違ったイメージにしている」と話す。久しぶりの大型展示会に向けて、強い意気込みの感じられる言葉だ。
ブースは3×3小間の正方形の「島小間」となっており、3方向から入ることができる。「屋根や側壁などがあると、圧迫感があり狭く感じてしまう」(宇野氏)からである。全体に解放感を持たせたオープンなブースにすることで、同社を目指してきた来場者だけでなく、通りすがりの来場者の集客につなげる。また外見も、従来のポールを立てるタイプから木工装飾タイプにデザインを一新する。これまでのシリウスビジョンのブースとは、良い意味でかなりイメージの異なるものとなりそうだ。
さらに、自社製品を際立たせるため、ジャンルの異なる検査ソフト別にゾーンを分け、ソフト導入事例として実機を展示する。「スマコ」などが展示されている「FlexVision」ゾーンのほか、「AsmilVision」ゾーン、「PolarVision」ゾーンの3つのゾーンに分けられている。
佐々木担当部長は「これまでのシリウスビジョンから脱皮する展示会を目指したい。オリジナリティのある当社の検査システムで深刻化する人手不足の社会問題を解決するきっかけを見つけていただきたい」として、多数のブース参加を呼びかけている。