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IGAS2022|ジェイエンタープライズ、1,000坪の自社倉庫完成 - 中古機の国内販売強化へ

印刷機投資に新たな選択肢〜中古機貸し出しサービスも

 各種印刷関連機器の中古機買い取り・輸出を専門とする(株)ジェイエンタープライズ(東京都世田谷区中町2-39-1、パラケル・スニッシュ社長)は、今ある約1,000坪の自社倉庫(埼玉県さいたま市岩槻区平林寺368)と、関西地方への倉庫拡大により幅広い需要に高いレスポンスで応えるとともに、コロナ禍で設備投資に躊躇する印刷会社向けに中古機の貸し出しサービスを開始した。IGAS2022では、これらの体制や事業に加え、国内販売の強化をアピールする(東2ホール、2-56)。

世界30ヵ国以上の貿易実績

 同社の設立は2001年。1984年にインドから日本へ移住したスニッシュ社長が富士通の子会社(電気部品商社)から独立する形で立ち上げた、中古印刷機器輸出入に関する専門商社だ。2008年の自社倉庫確保をきっかけに急成長を遂げ、さらに2015年からWebサイトを活用した販促を展開。在庫情報はもちろん、機械の詳細な仕様書を掲載するとともに、その閲覧をユーザー登録制にすることで、そこで収集した国、メールアドレス、保有機械、希望機械などの属性情報をデータベース化し、レスポンスを高めているのが大きな特徴だ。例えば、ユーザーが「油性の菊全判7色機が欲しい」と登録していれば、同社の在庫に登録された段階で自動的にメールが送られるような仕組みも構築している。現在、インドをはじめ、ベトナムやインドネシア、バングラデシュなどを中心に、そのユーザー数は世界30ヵ国、2万5,000社以上におよぶ。営業部長のスジェイ パラケル氏は、「当社の海外顧客の8割ほどがスタートアップ企業。日本国内の質の高い不要、遊休機械とスタートアップ企業の需要をマッチングすることで、SDGsへの活動の取り組みや印刷産業の活性化に貢献していると自負している」と語る。

「豊富な在庫」と「タイムリーな供給」

 同社は昨年、埼玉の自社倉庫を拡充。1,000坪以上、2階建て(エレベーター付き)の新倉庫が完成している。ここでは、自社倉庫だからできる「豊富な在庫」と「タイムリーな供給」を実現するとともに、修理やオーバーホール、さらには機械の動作確認までも行える環境が整っている。

 「自社倉庫による『コストメリット』と修理や動作確認ができる『安心感』を提供できる。今後はさらに、関西(奈良)にも800坪の自社倉庫建設を計画している」(スジェイ部長)


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拡充した自社倉庫

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スジェイ・パラケル営業部長


そのまま買い取りも可能

 一方、印刷会社の「生の声」をきっかけに生まれたのが「中古機の貸し出しサービス」だ。
 「最近は新中古といったような新品同様の中古機械が手に入ることが増えてきたことにより、コロナ禍で設備投資に躊躇する印刷会社、あるいはサプライチェーン問題や半導体の供給不足による新台の納期問題を解決する糸口になればと思い、サービスを開始した」(スジェイ部長)

 同サービスは、同社が在庫する中古機を1ヵ月、6ヵ月、1年という期間で安価に貸し出すもの。自社の生産ラインにフィットすれば、そのまま買い取ることもできるし、そうでない場合は、リース料だけで返却できる。

 さらに、返却された中古機に顕在化した課題をレポートとしてメーカーにフィードバックする取り組みもはじめている。「この情報は製品仕様や開発、新台営業の糸口になる。この部分でユーザーとメーカー間の『橋渡し役』になれれば」(スジェイ部長)

環境技術実装機は高額で買い取り

 インド人の両親をもつスジェイ部長。「外国人の私がいきなり訪問すると驚かれるが、私は日本生まれの日本育ちなので、もちろん日本語はネイティブ。ぜひ、何なりとお問い合わせ頂きたい」と話す。

 中古機のリユース促進は、まさにSDGsの要件に合致する。スジェイ部長は、「今後、企業経営においてSDGsは欠かせない視点になる。海外からもSDGs要件に合致した中古機の需要が急増している。今後は、中古機の買い取りについても環境負荷の低減や循環型社会の形成を促進していくことを目指し、環境配慮型の技術を実装するものについては、その価値を評価し、高額で買い取っていく方針である」としている。

中古機の国内販売を強化

 同社の事業はこれまで、日本国内の印刷会社から中古印刷関連機器を購入し、海外に輸出することをメインにしていたが、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢に端を発する輸出コストの高騰、一方国内においては資材の高騰や経済見通しが不透明な中で、新台購入を躊躇せざるを得ない状況がある。そこで同社では、国内の印刷産業の活性化を目的に中古機の国内向け販売を本格的に開始。商業印刷をはじめ、パッケージやラベル関連機器で実績をあげている。スジェイ部長は、「これまでもメーカーや仲介業者、修理業者経由で国内販売することはあったが、それほど重要視してこなかった。しかし、『設備をしたいが先が見えないので踏み切れない』といった印刷会社の現状に対し、市場活性化のお手伝いができるのではないかと考えた」と語る。

 埼玉の自社倉庫拡充も国内販売を加速させるためのひとつの投資であり、また、この国内販売開始をきっかけに、東京都印刷工業組合をはじめ、九州シール印刷協同組合、東京都ラベル印刷協同組合といったユーザー団体にも加盟。その交流の中で印刷会社の「生の声」を事業に反映させていく考えだ。

 今回、この国内販売事業を通じて菊全判6色印刷機「リスロンGL640」を導入した(有)プリンテル(本社/埼玉県川口市東領家)の野口茂男社長に経緯や狙いについて聞いた。

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