富士フイルム、「印刷会社の持続的成長のために」- スマートファクトリー化による最適生産環境提案
[IGAS2022出展]FFGS 安田庄司技術本部長に聞く
富士フイルムは、11月24日から東京ビッグサイトで開催される「IGAS2022」に出展する。出展コンセプトは「BELIEVING IN PRINT つながる。流れる。広がる。新たな印刷ビジネスの魅力を、ここから」。市場環境が激変する中で、印刷会社の持続的成長のためのソリューションとして、スマートファクトリー化による「最適な生産環境の構築」を提案するとともに、成長戦略の具現化に向けた道筋を提示する。そこで今回、富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(株)取締役常務執行役員の安田庄司技術本部長に、出展コンセプトや展示のみどころについて聞いた。
「持続的」な成長に必要なもの
生産人口が減少の一途を辿る中で、そのトレンドは印刷業界に大きな影響を及ぼしています。印刷物そのものの需要減少に加え、ダイバーシティ化の影響などによって消費者の考え方や嗜好が多様化するのにともない、印刷物にも小ロット多品種化という、これまでとは異なる生産方式が求められています。さらに「デジタル化の弊害」とも言える「超短納期化」が当たり前の世界になりつつあります。
加えて、新型コロナウイルス感染症拡大という未曾有の事態が、我々の生活様式や働き方を大きく変えました。このコロナ禍をポジティブに考えれば、社会の変化を5年くらい前倒ししたとも捉えることができ、その象徴的な現象としてデジタル化やオンライン化が加速したわけです。
印刷業界においては、この変化にうまく適応することで成長している会社もあれば、残念ながらそうでない会社もあります。この変化の中で印刷会社が単なる対処療法ではなく「持続的」に成長するためには何が必要なのか。その問いに対して富士フイルムは、今回のIGAS2022において「最適な生産環境の構築」と「印刷の新たな価値創出」という2つの解を提示し、そのサポート役として業界にアプローチしていくという意志を表明したいと考えています。
我々が提案する「最適な生産環境」とは、「利益を出し続けることができる生産環境」だと定義しています。この「出し続ける」ということが重要で、小ロット・多品種・短納期の時代において、いかなる印刷内容、数量、納期であっても持続的に利益を出し続けることができる生産環境が必要だと考えます。この実現により、人、設備、時間の効率的な運用を促し、そこで創出したリソースを成長戦略に投入して新たな価値を創出、そして持続的な成長に繋げる。「最適な生産環境の構築」は、その原動力となります。
3社合同で出展する意味
この「最適な生産環境の構築」の手段のひとつとして「スマートファクトリー化」があります。我々が定義する「FUJIFILM Smart Factory」は、(1)オフセット印刷とデジタル印刷の共存を前提とした統合ワークフロー、(2)入稿から出荷までの全工程を一元管理、(3)メーカーの垣根を超えたオープンプラットフォーム─の3点をコンセプトとしています。今回のIGASでは、リョービMHIグラフィックテクノロジーとホリゾンジャパンとの協業により、「絵に描いた餅」ではなく、リアリティを実感できる形で、この「FUJIFILM Smart Factory」を訴求します。
ここで誤解されがちなのは、「スマートファクトリー=自動化」ということ。そうではなく、あくまで自動化は利益を出し続けるためのツールです。今回のIGASでは、この誤解についても、しっかりと伝えていきたいと思います。
また、既存の設備、人を部分的に最適化していく「スモールスタート型」についても、リアリティのある形で訴求したいと思います。
昨年、富士フイルムと富士フイルムビジネスイノベーションの印刷関連事業が統合しました。今回のIGASは、我々FFGSを加えた3社が合同で出展するということに大きな意味があり、オフセット印刷の刷版から、インクジェット方式やトナー方式など幅広いラインアップのデジタルプレスまで、ワンストップでさまざまなソリューションを提供できる唯一無二のプロバイダーであることを訴求できる機会と考えています。
今回のIGASの最重要テーマ「最適な生産環境の構築」は、FFGSが持つ印刷リテラシーおよび顧客基盤と、富士フイルムBIが持つデジタル印刷分野でのマーケティング力・技術力を掛け合わせることではじめて実現するソリューションであり、これが協業における最大の「価値」となっています。