コニカミノルタジャパン、攻めと守りの両軸で訴求
印刷会社のDXを強力サポート〜自動化・省力化で持続的成長と事業拡大を
生産工程の可視化で「守りのDX」を支援
印刷会社のDXを支援する取り組みの中で、同社・重野直和氏(プロフェッショナルプリント事業部 ビジネスDX商品統括部DX商品企画開発部 部長)は、ある変化を感じたと説明する。それは、「創注」をはじめとする「攻めのDX」へのニーズの一方で、顧客企業の多くが業務の効率化、つまり「守りのDX」の方に、より潜在的なニーズを抱えていることだ。
その潜在ニーズを物語るように中小企業基盤整備機構が実施した「中小企業のDX推進に関する調査」では、DXに期待する効果・成果として「業務の効率化」「コストの削減」「新規顧客の開拓」「データに基づく意思決定」などが上位を占めている。また、情報処理推進機構が発表した「DX動向2024」では、「アナログ・物理的データのデジタル化」「業務の効率化による生産性の向上」がDX推進の成果として挙げられている。
これまでも「守りのDX」支援を展開してきた同社であるが、これらの調査結果から、より取り組みやすく効果までを確認しやすい「守りのDX」を求めていることを再確認し、その取り組みを加速させている。
重野氏は、実際に印刷会社とのヒアリングを踏まえた上で「攻めのDXと守りのDXの両軸で印刷会社のDXを支援していく体制は変わることはないが、顧客の生産現場からは、守りのDXに対する要望が多いことがわかった。そのため当社としても若干軸足を守りのDXにシフトして提案を行っている」と説明する。
その「守りのDX」を支援する新たなソリューションとして同社は今年4月、印刷工程全体の業務進捗状況を「見える化」するWebアプリケーション「AccurioPro(アキュリオプロ)Dashboard JobManager」を発表している。
「AccurioPro Dashboard JobManager」は、印刷データ入稿から梱包・出荷まで工程全体進捗をリアルタイムで見える化し、効率的な生産計画の作成や修正を可能とするクラウドベースのWebアプリケーション。多くの印刷会社では、現場への業務指示や進捗管理をエクセルファイル等と紙で行っているため、転記作業や記入ミス発生による時間のロスが課題であり、管理間接業務時間の改善が求められている。AccurioPro Dashboard JobManagerは、各現場のオペレーターが進捗状況を適宜入力し、管理者がリアルタイムで確認、業務の指示を更新することで、双方向で確認を要する時間や作業の抜け漏れ発生を削減し、生産効率を向上させることができる。
「アナログデータをデジタル化することで、自動化プロセスが構築できるようになる。もちろん、これだけではDXを実現したとは言えないが、この自動化プロセスの構築こそが、自社のDXの第一歩となる」(重野氏)
DXを後押しする新たな提案
DXの必要性は理解しているが「何から始めればいいのかわからない」といった声がよく聞かれる。そこで同社では現在、印刷会社のDXの取り組みを支援するための新たなサービス提供を検討・予定しているという。その1つが「デジタル人材の育成支援」だ。
長年培ってきた「ものづくり」の技術で高品質な印刷物を顧客企業に提供してきた印刷会社であるが、紙メディアからデジタルメディアへの移行が加速する現在の市場において「印刷」だけのビジネスモデルでは、もはや限界がある。今後は、デジタルマーケティングをはじめとするデジタル領域に積極的に進出し、需要を創出していくことが急務と言える。しかし、デジタル領域を苦手とする印刷会社も多いのが現実だ。同社では、この課題への対応策も検討している。さらに現在新たな取り組みとして「デザイン制作支援生成AIソリューション」の開発を進めている。すでに今年開催された「JP2024 印刷・DX展」でも参考出展し、紹介している。
デザイン制作支援生成AIソリューションは、クライアントからのデザイン要望をシステムにインプットすることでイメージの候補が表示される。デザインの受注時の意思疎通に画像生成AIを活用することでクライアントおよびデザイナーとのより早く正確なイメージ共有が可能となりデザイン制作工程の効率化に寄与する。クライアントとの打ち合わせ時に「デザイン制作支援生成AIソリューション」でイメージを作成し、その場で確認でき、さらにそのイメージをデザイナーに視覚的に正確に伝えることができるためデザイン工程の工数を減らすことで効率化を実現する。
「デザイン制作の効率化という点で守りのDXを支援するものだが、やり方次第で攻めのDXに応用できるサービスであると確信している」(重野氏)
同社では、デザイン部門の人員不足により、デザインを含むトータル受注を諦めていた印刷会社にとってデザイン制作工程のDXを実現するコミュニケーションツールとしての提供を予定している。