富士フイルムBI、ワークフローの新領域へ〜真の自動化によるDXを訴求
drupa 2024で最新技術・サービスを世界に発信
ロボティクス技術の活用で断裁工程を完全自動化
人手不足を補うための手段として近年、AGVや協業ロボットなどを活用したロボティクス技術が印刷業界でも注目されている。今回のdrupaでも同様のコンセプトをもとに多くの出展企業がロボティクスを活用した自動化ソリューションを世界に向けて発信していた。
富士フイルムビジネスイノベーションの丸林一憲氏(グラフィックコミュニケーション事業本部 DX事業部 ソリューション開発統括グループ 統括グループ長)は、「自動化は、上流のワークフローシステムでロボティクスをマネジメントすることで実現できる」と断言する。
drupaで、世界初のドライトナーB2枚葉デジタル印刷機「Revoria Press GC12500」とともに注目を集めていのが、同機の隣に展示されたポストプレス自動化ソリューションであった。
このポストプレス自動化ソリューションは、B2サイズの印刷物の紙さばき・紙揃え・断裁といった後加工工程を完全自動化するシステム。具体的には、「Revoria Press GC12500」で印刷した出力物を紙さばきロボットが取り分け、面付け情報に従ってロボットが自動的に断裁する。これにより熟練作業者への依存やオペレーターの負荷が高い作業を解消することができる。
drupaでは、会場スペースの問題からニアラインでの実演披露となったが、想定している自動化ソリューションとしては、「Revoria Press GC12500」の大容量スタッカーからAGVが出力物を自動で搬出し、ポストプレス自動化ソリューションのリフターにセットする。リフターに置かれた出力物は、ページカウンターでジョブごとに計数される。
デジタル印刷の場合、50部や100部など、ロットの異なるジョブが混在する。当然、ジョブの単位で面付け情報も変わるので、ジョブごとに仕分けて断裁する必要がある。そこでページカウンターでは、「Revoria Cloud Production」からの情報をもとに部数を認識・計数してロボットアームでジョガーに移行。ジョガーで紙揃えを行ったのち、断裁機で面付け情報に従って、ジョブごとの断裁が行われる。断裁された出力物は、次工程に搬出するための棚にロボットアームで仕分け、ストックされる。
さらにこのポストプレス自動化ソリューションはレトロフィット、つまり既設設備を活用することもできるので、設備コスト低減や自由度の高い自動化システムとして構築することも可能となっている。
面付け情報をロボットが認識し作業を実行
このポストプレス自動化ソリューションのポイントについて高橋孝典氏(グラフィックコミュニケーション事業本部 DX事業部 ソリューション開発統括グループ DX2グループ グループ長)は、「Revoria XMF PressReadyから送られてきたジョブごとに異なる面付け情報を印刷機とロボティクス側でも認識し、印刷、後加工を実行していること」と説明する。
断裁機の自動化については他社メーカーも提案しているが、丸林氏は「それらの自動化は断裁機側でも面付け情報を理解しているが、操作を行うのはあくまでも人である。しかし、今回、提案したポストプレス自動化ソリューションでは、ロボットが面付け情報を理解し、断裁作業を行っており、自動化のレベルは格段に向上している。さらにロボットの作業情報についても「Smart Flow」側にデータとして共有されているので断裁後の次工程への移行も自動で実行される」とポストプレス工程の自動化が新たな局面に突入したことを強調する。
さらに「Smart Flow」側に記録されるこれらのデータを活用し、作業ボトルネックの抽出、改善につなげることもできる。
ポストプレス工程は、プリプレスやプレスと比べ人的負荷がかかる作業が多い。さらに技術革新により、印刷機側の生産速度が飛躍的に向上している生産現場では、後工程待ちとなるケースが多々ある。
高橋氏は「ロボティクスを活用することで待機人員や無駄な待ち時間をなくし、その余剰分を最適な人員配置することができる。また、負荷の高い作業をロボティクスに託すことで生産の自動化だけでなくオペレーターの労働安全衛生にも役立つはず」と生産面だけでなく、作業環境の改善をもたらす効果があると説明する。
drupaで紹介された、このポストプレス自動化ソリューションは、来場者の関心を集めただけではなく、「すぐにでも導入したい」といった声が数多く寄せられたという。