ページの先頭です

コーセイカン、KP-コネクト プロを活用して印刷DXに着手

他社製機械も一元管理〜全工程の予定・進捗状況を「見える化」

 創業85周年を迎えた(株)コーセイカン(本社/岡山県倉敷市、内田正男社長)。同社は、百貨店「天満屋」と1969年に業務提携し、現在は(株)天満屋100%出資のグループ企業として、企画・デザイン制作・印刷・Web制作を主たる事業としている。2021年からは、KP-コネクト プロを活用して印刷DXに着手し、生産管理の効率化や社員の意識変革などに大きな成果を上げている。同社が進める印刷DXとKP-コネクト プロの導入効果について、内田社長、取締役 管理本部長の岩井馨氏、管理チーム 部長の頼實一晃氏、製造チーム 部長の小田幸市氏、管理チーム 工程管理グループ 課長の柳原育子氏に聞いた。


koseikan_dx_2.jpg
スケジューラーを操作する柳原課長


koseikan_dx_1.jpg
​ ​

KP-コネクト プロ導入前の「管理」と「現場」

 同社では従来、MISからデータを抽出して、Excel上で生産機ごとの計画を編集・リスト化・紙出力し、昼と夕方の1日2回、各現場の代表者が集まって会議をしていた。その後も、現場の担当者から案件ごとの進捗報告に応じて対応していたが、「最新の情報はどれか?」というやりとりが頻繁に生じていた。同様の確認作業は、営業やデザイナー、製版担当者間などでも頻発していたという。着手する案件の優先順位が目まぐるしく変わる中で、人力に頼った運営は、情報伝達のズレ(タイミング遅れ)による中断や無駄を生み、工程管理の有効性を著しく低下させていた。

 また、同社の工場では、オフセット枚葉印刷機3台(KOMORI製1台、他社製2台)、オフセット輪転印刷機1台(KOMORI製)、POD機1台(他社製)、断裁機3台(他社製)、紙折り機1台(他社製)という、複数メーカーの機械が稼働していたため、「各機械の進捗状況を一元管理し、『見える化』することは難しい」と考えられていた。

 岩井取締役は、「営業部門と印刷現場の状況が常に共有されている先進的な会社を見学して、当社が後れを取っていることを実感していた。しかし、いざDXに取り組もうとしても、実現できずにいた」と話す。そんな中、「KP-コネクト プロ」に出会い、「MISと連携し、印刷工場全工程の管理が可能なデジタルの仕組みとしてKP-コネクト プロの存在を知り、衝撃を受けた」と語り、KP-コネクト プロの導入を決めた。

KP-コネクト プロがもたらした改善効果

 KP-コネクト プロの導入により、全工程の予定・進捗状況の「見える化」が実現し、多くの改善効果が生まれた。

 一つ目は「印刷の予定組をする担当者1名減」。スケジューラにて各ジョブの負荷が標準時間をもとに自動で計算されるため、専属で予定組をしていたスタッフが不要になり、多忙な他の部署へシフトして活躍している。二つ目は、「工程会議の廃止及びそれにともなう、会議資料作成時間の削減」、「問い合わせ対応時間の削減」といった効果だ。下版から加工まで予定・進捗の最新情報は常にKP-コネクト プロで確認できるため、進捗状況に対する問い合わせが激減した。1日2回の工程会議がなくなり、時間を有効活用できるようになった。三つ目は 「現場の作業日報入力時間の短縮」だ。タブレット端末による日報入力は、手間の削減と情報のリアルタイム化に役立っている。


koseikan_dx_3.jpg

メーカー問わずタブレッドで日報管理

 また、同社ではこのような「見える化」された情報をさまざまな方法で活用している。頼實部長は、「各機械の負荷状況が見えることで、業務の負荷分散もしやすくなり、仕事を外注することがほぼなくなった」「前日の下版状況などをもとに午前中に仕事がない場合は、時差出勤を行うなどの取り組みを行えるようになり、無駄な時間外労働の削減ができている」など、その効果を語る。工程管理を担当する柳原課長は 「各部門で進捗状況が見えることによりスケジュールに対する意識が変わった」と語る。営業・制作と製造現場は異なる拠点で活動しており、情報共有に課題を抱えていたが、入稿・下版状況の見える化を実現したことで、営業の意識も変わり、従来の課題であった入稿遅れが無くなったという。


koseikan_dx_4.jpg

15名のオペレーターが多能工化に取り組んでいる

MISとの連携〜KP-コネクト プロがもたらした改善効果

 KP-コネクト プロで取得した各機械の稼働状況はMISにも連携され、そのデータを用いた原価管理も行われている。

 2021年後半には、「数字で語れる組織になっていこう」と、社員に呼び掛け業務改革に乗り出した。「差益率改善」というタスクフォースを立ち上げ、業務改善を進めた。

 「各チームの部長とメンバー1名をそれぞれ選出して、全社横断で差益率改善に取り組み、運用の仕組みや仕事の流れなどにも、KP-コネクト プロのデータを活用して各部署が改善を図っている」(岩井取締役)。

 その範囲は、無駄の排除やボトルネックの解消、生産性向上による無駄な時間外労働の削減、材料費・外注委託費の価格交渉など多岐にわたる。

社員の意識が高まり「数字で語れる組織」に

 KP-コネクト プロの投資効果を岩井取締役は、「年間で約600万円以上の間接作業のコスト削減効果に加え、見える化による生産性向上・時間外労働の削減などの効果が生まれている」と語る。

 導入からわずか2年、KP-コネクト プロはすでに必要不可欠な存在になっている。「データを見ながら、前工程や後工程とコミュニケーションをとっている。全員が、自ら考えて仕事に取り組むことで意見を持つようになり、組織風土もよくなっている」と小田部長。

 最後に、内田社長は「デジタルとアナログによるシナジーの最大化をお客様へ提供できるよう、また、しっかりと地に足をつけて成長する企業でありたいと考えている」と語った。

※KOMORI機関紙「ON PRESS」 219号より転載

注目コンテンツ