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サクラグループ、オフセット/デジタル共存運用〜枚葉機に余力、内製化推進

[最適生産ソリューション採用事例]現場の意識改革、部門間の協力体制強化

 名古屋を拠点に、印刷を中心とした販促支援ビジネスを展開するサクラグループ(本社/愛知県名古屋市南区千竈通6-35、野々村昌彦社長)は、富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(FFGS)、富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)のサポートのもと、オフセット印刷とデジタル印刷の最適な運用体制を確立し、内製化率向上、利益アップを果たしたほか、現場の意識改革や部門間のコミュニケーション改善などの社内改革も実現している。最適生産環境の構築に着手した背景や具体的な取り組み内容、現時点での効果などについて、(株)サクラホールディングスの小鹿晃義専務取締役、製造部生産管理課の鈴木秋弘課長、(株)サクラアルカス制作部グループリーダー ディレクターの大西征二氏に聞いた。


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左から、小鹿専務、鈴木課長、大西氏


オフセット機のオペレーター確保が喫緊の課題だった

 サクラグループは、製造(刷版・オフセット印刷・加工)および生産管理を担う「サクラホールディングス」、デザイン・制作および営業をメインとする「サクラアルカス」、デジタルメディアを活用したプロモーションの企画・制作を手がける「ボーダー・アンド・ポーター」の3社から成り、企業の販促活動を多角的にサポートしている。

 同グループの強みの一つである制作部門は、約60名のスタッフを擁し、スピードが求められるチラシの制作や紙メディアとデジタルメディアを組み合わせた販促施策などにも柔軟に対応。撮影スタジオも完備する。印刷部門には、オフセット輪転機(B2両面4色機)2台と枚葉機(菊半裁4色機)1台、フルカラーデジタル印刷機(Iridesse Production Press=2021年導入)2台を持ち、チラシやPOP、カタログなどの商業印刷物から、封筒・帳票類まで幅広く手がけている。

 そんなサクラグループが、印刷工程を中心とした生産改革に着手したのは2019年。人材確保の難しさや作業の属人化などにより印刷設備を柔軟に活用できていないという課題が背景にあった。

 「オフセット機については、輪転機・枚葉機ともオペレータの高年齢化が進んでおり、一方で新しい人材を募集してもなかなか応募が集まらず、人材の確保が困難な状況だった。加えて、枚葉機については1ジョブあたりの平均通し枚数が3,000弱になっており、生産効率の面からもデジタル印刷への移行が必要だと感じていた」(小鹿専務)

 しかし、当時(Iridesse導入前)使用していたデジタル印刷機は、POP出力の専用機として経済性優先で導入したものだったため、他の用途で生産機として使うには安定性などの面で課題があった。さらに、大西氏は「デジタル印刷機の運用体制も見直す必要があった」と語る。

 「デジタル機によるPOP出力は、ひとりのオペレータが専任で行っていたため、小ロットジョブをデジタル機に移行するにもその余裕がなかった。そのため、もっと柔軟にオペレーションできる体制をつくり、属人化を解消する必要があった」

 こうした課題を解消するため、同グループでは、オフセットと同等の生産機として使えるデジタル印刷機を新たに導入することで小ロットジョブのデジタル移行を進め、オフセット機(枚葉機)とデジタル機のより効率的な運用環境を整えようと考えた。


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「Iridesse Production Press」を2台運用


ジョブ分析に基づくオフセット/デジタルの分岐点は2,000通し

 オフセット/デジタル共存運用の構築にあたっては、枚葉機のジョブ内容や運用状況などの現状分析、デジタル移行による効果のシミュレーションなどを、富士フイルムBI(当時の富士ゼロックス)・FFGSと共に実施。印刷工程の課題を改めて明確にするとともに、どれだけのジョブをオフセット印刷からデジタル印刷に移行できるかを検証した。

 「当時Excelで管理していた枚葉機の稼働実績データを4ヵ月分、富士ゼロックスに渡し、分析してもらった。結果、計500件あまりのジョブのうち、2,000通し以下のジョブが3割以上を占め、そうした小ロットのジョブや両面印刷のジョブが集中すると残業時間が発生していることなどが改めて把握できた。以前から、各日の通し数・ジョブ数・版数などは日報上で確認しており、1ジョブあたりの平均通し数が3,000弱まで下がっていることなど、大まかな傾向はわかっていたが、この分析によって現状の課題をより正確に認識し、社内共有することができた」(小鹿専務)

 枚葉機のジョブ分析結果をもとにサクラグループでは、枚葉機とデジタル機の新たな運用方針について検討。当時POP専用機として使用していたデジタル印刷機3台の代わりに、より汎用的に使用できる生産機として「Iridesse Production Press」を2台導入し、枚葉機で非効率になっていた小ロットジョブをIridesseに移行する形で印刷工程の最適化を図ることにした。

 「富士ゼロックスから提案いただいた『オフセット印刷とデジタル印刷の振り分け基準』は約2,000通しだった。それまで私どもは1,000通し前後と考えていたので、意外と分岐点が高いなという印象だったが、時間やコストのシミュレーション結果を見せてもらうと『なるほど』と。明確な根拠となるデータを示してもらったことで、現場も『これならデジタル印刷に切り替えた方がいい』と納得感を持つことができた」(鈴木課長)

 新規のデジタル印刷機としてIridesseを選んだのは、「品質・生産性・稼働安定性を高いレベルで兼ね備えていると判断したから」と大西氏は語る。

 「実は以前、同じ富士ゼロックスさんの『Color800Press』を使用していたことがあり、品質安定性や堅牢性の高さはそこで実証済みだった。その後継機であるIridesseなら、無駄な機械停止時間が抑えられ、オペレータの負荷も減り、デジタル印刷機ならではのメリットが最大限に得られると考えた」(大西氏)

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