ジャグラ、「創注」をキーにコンパクトDX推進
4委員会を中心に運営
一般社団法人日本グラフィックサービス工業会(=ジャグラ、岡本泰会長)は、6月に開催したジャグラ文化典 愛知大会において、「ジャグラコンパクトDX〜みんなでレボリューション」の概要を全国のジャグリストに向けて発信した。
同事業は、小規模のジャグラ会員でもDXを実現していくための取り組みを推進していくもので、岡本会長はジャグラコンパクトDXの特徴について、「『創注』がキーとなっている。お金も人もない状態で何ができるか。ここにターゲットを当て、非常に現実的に第一歩はコンパクトでいこうというのが根底にある考え方である」としている。
運営を担うのは、「生産性向上委員会」「MIS研究委員会」「業態進化委員会」「地域活性化委員会」の4委員会。
社内環境をDXする生産性向上委員会(宮﨑真委員長)は、ジャグラ会員が取り組みやすいように、PODに特化した形でワークフローを構築し、リーズナブルに会員に提供することを目指しているもの。
「生産設備などの道具をデジタル化するだけでなく、働き方や業務、組織、プロセス、企業文化をICTで変革し、進化させていく。作業指示書を見ながら操作するのではなく、デジタル印刷機によりDXにおける生産性向上を計画する。狙いは損益分析の見極めである。また、RPAなど少ない投資でDX化し、効果を確認する。ポイントとなるのは、ロボットによりスキルレスオペレーションを実行し、社員は付加価値の高い仕事に戦力集中するということ。人手不足やうっかりミスなど、ロボットに置き換えることで問題を解決することができる。また、印刷ワークフローシステムを導入し、スマートファクトリー化。繁忙期の問題や技能継承の属人性の問題を解決できる」(宮﨑委員長)
また、同じく社内環境をDXするMIS研究委員会(稲満信祐委員長)は、10人以下でもできる「単品損益管理」の研究を行い、会員企業にとって安定的な経営をもたらす情報を提供していくもの。
「一言でいうと『単品損益管理』。人とお金のリソースを確保し、攻めのDXを進めていくのがジャグラDXであるので、足元の生産性向上とMISの土台がしっかりしていなければ、攻めに転じられない。営業と現場がお互いに信頼関係を持って仕事をするためにも単品損益管理は大切。まずはモデル企業で実施していくプロセスをジャグラBBや機関紙などで共有していく」(稲満信祐委員長)
そして、しっかりとした土台の上に、対顧客接点をDXする地域活性化委員会(齋藤秀勝委員長)は、地域活性、地域創生に向けて取り組みを推進するもの。
「地域活性、地域創生のための印刷会社の取り組みを画一化することは難しいが、それをどこか一部分でも仕組み化できるように研究、提供していきたい。(株)クイックスの健診Assistのエンジンを活用し、これを健保以外の業界に対してのDM発送の仕組みなどに活用していく。また、それに適した業界も探しながらカスタマイズしていく」(齋藤委員長)
また、同様にしっかりとした土台の上に対顧客接点をDXしていく業態進化委員会(中村盟委員長)は、販売戦略を誘引するマーケティングオートメーションや自動検品システムなど、人材不足解消にもつながる様々な自動化を提案していくもので、ドローンなども活用しながら、最先端のデジタルツールを会員が取り組める形にして提案していく。
「業界全体としてみた業態進化『グラフィックサービス業への転換』というものと、一企業としての『業態の進化』という2つのテーマに基づき、会員の皆様に活用していただけるシステムやツールの情報を提供していく。印刷業という概念から進化したグラフィックサービス業を目指していく中、まずは仲間がすでに挑戦している業態や、パートナー企業が開発して実用化しているシステムなどを中心に検証し、会員限定の月額サービスやクラウドサービスの共同利用によるボリュームディスカウントの実現を目指し、必要であればカスタマイズや開発も視野に、紹介していく。基本方針は1社だけでなく、少なくとも2社以上でできる普遍性のあるソリューションや、ハードルが低く、多くの企業が導入しやすいソフトを使って何ができるかを訴求していく。また、ツール紹介だけでなく、顧客へのアプローチ方法や、自社で使いこなしていくためのオペレーションや人員配置、展開方法、成功事例のノウハウを提供していく」(中村委員長)
