富士フイルム、「Discover the difference」テーマに過去最大規模で出展
総合力が導く新たな付加価値を提示
富士フイルムグループは、5月28日からドイツ・デュッセルドルフで開催される世界最大の印刷・メディア産業展「drupa2024」において、過去最大規模となる2,420平方メートルのブーススペース(ホール8b)を構え、「Discover the difference」をスローガンに、「富士フイルムグループだからこそ提供できる価値とその未来」を提示する。
富士フイルム(株)と富士フイルムビジネスイノベーション(株)は2023年4月1日、両社が展開していたグラフィックコミュニケーション領域の事業を統合し、製品や技術力、顧客基盤や製造・サービス供給体制などを一体化した。これにより、アナログのオフセット印刷から、インクジェットとドライトナーの両方式によるデジタル印刷、さらには印刷ワークフローに関するDXソリューションまでを、ワールドワイドに包括的に届けることができる総合ベンダーとしての歩みを始めている。
新たな富士フイルムグループとして臨む今回のdrupa2024では、過去最大となる2,420平方メートルのブーススペースを構え、ホール8bに出展。幅広いポートフォリオを一堂に展示し、多様な顧客の多様な生産工程やビジネスモデル変革のニーズに応える製品やソリューション、またそれらを支える技術まで、総合力とそれが導く新たな付加価値の「違い」に触れてもらうコンテンツを紹介する。
主な展示エリア
【コマーシャルエリア】
Jet Press 750SとRevoria Press GC12500というB2サイズカット紙デジタルプレスの2機種に加え、世界初展示となる商業印刷向け連帳インクジェットプリンター「Jet Press 1160CFG」を公開する。さらに、特殊色による多彩な印刷表現を生み出すRevoria Press PC1120の流れを汲む新製品となるミッドレンジのプロダクションプリンターも世界初展示する。
また、最新の無処理版によるオフセット印刷の生産工程や印刷ワークフローの自動化・効率化を図るDXソリューションまでも包含する製品ラインアップの展示に加え、フォト商材に関するソリューションやパートナー企業の後加工機と連携したデモも実施する。
【インダストリアルエリア】
軟包装印刷の工程に革新をもたらす水性インクジェットデジタルプレスの新製品「Jet Press FP790」と、さらなる高生産を実現するワイドフォーマット機の新オートメーションオプションを展示。サイネージやパッケージなどへのアプリケーションの拡がりを紹介する。
標準プリンターで対応できないユーザーの要望に対しては、カスタマイズした印刷装置とインクを提供するFUJIFILM Integrated Inkjet Solutionsを提案。ダイレクトメール、トランザクション、ラベル、加飾などの事例を交え、幅広いアプリケーションでの実績を紹介する。
一方、コア技術としては、安全や環境に配慮した新インクとして「AQUAFUZE技術」を発表。水性インクながらUVや溶剤の持つ機能を広く網羅した新しいインク技術で、ジョブ拡大や作業環境改善に貢献する。
また、デジタル化の促進とともに多様化するインク処方において高い安定性を有する顔料分散液「RxDシリーズ」を出展。さらに高まるインクジェットシステムの高速化や基材汎用性拡大のニーズを満たすインクの処方設計をサポートする。プリントヘッドについても新製品を発表する。
今回のdrupaでは、デジタル印刷による小ロット化やオンデマンド対応による省資源・省電力の効果や、オフセット印刷での無処理版による環境負荷軽減や作業環境改善、生産設備のカーボンニュートラルやリサイクルに関する取り組みについても紹介する。
商印向け連帳IJプリンター「Jet Press 1160CFG」
同社は、1970年代後半よりインクジェット技術の開発に着手し、2011年に世界初のシングルパス枚葉インクジェットプリンター「Jet Press 720」を発売。ワールドワイドの商業印刷市場で累計300台以上の販売実績がある。同じく2011年には、連帳インクジェットプリンターを日本・アジアパシフィックのトランザクション市場に、2019年には日本の商業印刷市場に向けて販売を開始し、これまでに累計150セット以上というトップクラスの販売シェアを獲得してきた。
今回、これらのインクジェット事業で長年培った経験と技術力を結集し、ユーザーニーズに対応するために開発した商業印刷向け連帳インクジェットプリンター「Jet Press 1160CFG」を初出展する。新開発の水性顔料インクの採用により、非コート紙・インクジェット専用紙に加え、オフセットコート紙への高画質な印刷を実現している。
富士フイルムグループ独自の新技術「ペーパースタビライザー」を採用し、インクジェット前に用紙コンディションを制御する新たなコンセプトを採用することで、「厚紙でのインク定着性」「薄紙での波打ち」「環境や季節による品質変動」といったこれまで連帳インクジェットプリンターが抱えていた生産課題を解決。ダイレクトメールやパンフレットをはじめとする商業印刷の幅広い用途で活用できる。drupaでは、この新技術をデモンストレーションで初披露する。
軟包装印刷向け水性IJデジタルプレス「Jet Press FP790」
水性インクジェットプレス「Jet Press FP790」は、食品や日用品などの軟包装の多品種・小ロット印刷に対応し、高い生産性を実現するもの。同社が軟包装印刷向け水性インクジェットプレスを市場投入するのは今回が初めて。商業印刷市場で培ったインクジェットの知見や機器の販売ノウハウなどを生かし、新たに軟包装印刷向けに「Jet Press FP790」を市場導入する。
1,200dpi×1,200dpiのプリントヘッドで最大790ミリ幅のフィルム基材に対して毎分50mでの高速印刷を可能とし、高い生産性を発揮。また、CMYK各色のプリントヘッドに加え、2組の白色プリントヘッドを搭載している。これにより、パッケージの見た目を大きく左右する、カラー印刷の下地色となる白色の濃度を向上させ、カラーインクの発色性を高めることが可能で、色鮮やかな印刷を実現する。さらに、印刷前の基材に処理液を塗布する機構を搭載し、撥水性のあるフィルム基材に対しても高いインク密着性を付与する。