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ニヨド印刷、リサイクル容易な紙製ノベルティで顧客創造

「顧客は『買う理由』が必要」〜各展示会で「紙製ノベルティ3選」など提案

 「いまや安物のノベルティを大量にばらまく時代ではない」。ニヨド印刷(株)(高知県吾川郡いの町474-2)の御庄康隆社長は、業界内外の展示会に出展する中、昨今の傾向についてこのように感じているという。そのような中、同社がリサイクル対応の紙製品として各展示会で提案しているのが、「紙製ノベルティ3選」だ。「顧客は『買う理由』を探している。大義名分が必要になっている」と御庄社長は話す。エコ紙製品で創注を実践している同社の取り組みを紹介する。


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「ものメッセ KOCHI2023」のブースにて御庄社長

 同社が「エコ」に関連した紙製品への反応の強さに気づいたのは、2020年2月に幕張メッセで開催された「販促EXPO 春」のこと。間伐材を表紙にしたノートやFSC認証紙の卓上カレンダーなどを出品したが、「コロナ禍が始まったばかりで、ひときわ来場者の少ない展示会であった。そのような中、当社のエコ製品に興味を持ってくれた来場者がいた」と御庄社長は話す。

 その来場者から話を聞くと、上司から「SDGsに関連した商品を探してくるように」とのミッションを出されてきたという。このとき、御庄社長は「安物のノベルティを、大量にばらまく時代は終わったのではないか」と、強く感じたようだ。

様々なエコアイテムを用意。今はまっているのがシードペーパーの名刺・ショップカード

 それ以降、同社はIGASをはじめ、販促EXPOやP・Iショー、地元・高知県の産業展など様々な展示会に従来のオリジナルノートやメモに加えて、「環境に配慮したエコアイテム」を出品するようになった。そして現在、同社では紙製エコファイル、紙製エコファイル(窓付き)、紙製エコファイル(無地)、ペーパーリング卓上カレンダー、紙プラリング卓上カレンダー、木の卓上カレンダー、芽が出るカレンダー(花咲く和紙の卓上カレンダー)、ペーパーリングノート/メモなど、多数のエコアイテムのラインアップを取り揃えている。

 その中でも現在、御庄社長がはまっているのが、「芽が出るカレンダー」でも使用している日本国内で排出された古紙を100%使用した日本製「シードペーパー」を活用した名刺・ショップカードである。御庄社長は「1枚あたりの単価は100円強もするため、こんなものを一体誰が買うのかと思うかも知れないが、意外とそうではない。自分の名刺を埋めて、水をかけたら芽が出るという、やや自虐的なストーリーのインパクトが強いため、興味深く話を聞いてもらっている」と話す。話の中で、机の中が名刺だらけでなかなか捨てられないという裏話も出てきたようで、それを解決できる(?)ツールとして活用できることも顧客の興味を後押ししている。

売るには大義名分が必要。「紙製ノベルティ3選」として紹介

 ひと言にSDGs、環境対応といっても幅広く、それだけでは焦点を絞り切れていない感がある。そのような中、同社では各展示会において、リサイクル対応可能な紙製品を「紙製ノベルティ3選」として謳うことで、来場者を惹きつけている。

 同社は「当社ほど『リサイクル対応紙製品』にかぶれている印刷会社はない」と御庄社長が断言するほど、そこに力を入れている。またエコファイルやペーパーリングを単体でアピールするよりも「商品群を通じて会社の思いを伝える方がいい」(御庄社長)と考えているという。そのためのストラテジーとして「3選」としてアピールすることを販売戦略としているという。顧客は「社内稟議が通り買い手自らが納得する必要がある」が、販売する側も「社会課題解決の一助になるといった大義名分が必要」というのが御庄社長の考え方だ。

 現在は、「リサイクル対応型 紙製ノベルティ3選」として、ペーパーリングノート/メモ、紙プラリング/卓上カレンダー、紙製エコファイルの3つを「推し」のエコアイテムとして紹介している。同社は直近の展示会として、11月9日〜11日の3日間、高知ぢばさんセンターで開催された第12回 高知県ものづくり総合技術展「ものメッセ KOCHI2023」において、これらを地元の学生や企業に向けて紹介。御庄社長は「地元ではテレビ局のSDGs特集などで何回か取り上げられているのだが、それでもまだまだ知られておらず、逆に新鮮な気持ちで紹介することができた」と出展の感想を話していた。


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ペーパーリング/ノート/メモ、紙プラリング/卓上カレンダー、紙製エコファイルなどのラインアップを展示


創注の認識は「顧客創造」

 「創注」の定義は幅広いと思われるが、御庄社長は「創注とは月並みながら『顧客創造』であると認識している。例えばキラーアイテムを作り、それをきっかけに人格の力で顧客に少しずつ浸透していくものではないか」と考えているという。同社にとって、それが「リサイクル対応紙製品」となっている訳である。

 御庄社長は「これに大真面目に取り組んでいくことは大変なことであり、苦しいが、やりがいのあること」として、今後も地味に社会にアピールしていく考えだ。同社は来年のpage2024、京都ギフト・ショーにも出展を予定しており、さらなる認知を目指していきたいとしている。

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