共進ペイパー&パッケージ、厚紙専門通販サイト「imprenta」開設へ
「ハコプレ」や「ポップレ」、「ハコプレ紙袋」など、主に小ロットパッケージの通販サイトを運営してきた(株)共進ペイパー&パッケージ(本社/神戸市中央区、鍛治川和広社長)が、新たな展開に乗り出した。同社は7月下旬、印刷会社向け厚紙印刷専門通販サイト「imprenta(インプレンタ)」を開設する。1月に導入したスピードマスターXL106を活用し、薄紙印刷会社が外注している厚紙の仕事を、少ロット〜大ロットまで、高品質かつ薄紙同等の低価格で提供する。
M&Aで本機校正ビジネスを本格化
同社のビジョンは「パッケージでハピネスを生み出す」こと。より良いパッケージを考え、生み出すことを通じて顧客の商品価値と想いを正しく「届ける」ことで社会に貢献してきた。また、既成概念にとらわれることなく、パッケージの可能性を信じ、顧客の未来を変えるほどの「新しい」を生み出していくことをモットーにしている。
ウイズコロナの環境下でも、同社は様々な新たな取り組みに挑戦してきた。昨年9月には、これまでレタッチや製版の外注先として取引してきたプリプレスの(株)ファイヴツゥジャパン(東京都中央区)をM&Aした。鍛治川社長は「長期戦略として、M&Aでグループを強化していく方針を掲げている。ファイヴツゥジャパンは多数のSP系代理店を顧客に抱えているので、単なるプリプレスの内製化ではなく、当社がこれまで広げきれていなかった市場拡大を期待したい」と話す。
また、スピードマスターXL106の導入により、少ロットの段取り替えが格段に良くなったことから、さらに合理的な生産を目指し、「レタッチから本機校正まで、本機校正ビジネスを本格的に行っていく」(鍛治川社長)としており、その意味でも、ファイヴツゥジャパンをグループ企業にしたメリットは大きく、様々なシナジー効果が生まれているようだ。
SDGsを推進〜現像レスプレート採用、紙ファイル専用通販サイトを開設へ
さらに、ファイヴツゥジャパンは6月中旬、型抜きから折り、糊付けまでの工程がインラインで行えるホリゾンの「紙ファイル作成システム」を導入した。今後、紙ファイル専門の通販システムを開設して販売展開していく計画で、鍛治川社長は「脱プラスチックの流れからクリアファイルは紙に代替していきたいニーズを強く感じている。再現性もクリアファイルよりも高いし、ノベルティに適している」として、注力するSDGs戦略の1つとして展開していく。
また、共進ペイパー&パッケージとしても、新たなSDGs戦略として、アグフアのガム洗浄方式現像レスプレート「ADMAS(アダマス)」を採用した。
「今後、環境負荷をどれだけ軽減できるかが経営課題となる。完全無処理版は課題が多いので、まずはワンクッションをおいてガム洗浄方式を採用した。将来的には完全無処理タイプにも挑戦していきたい」(鍛治川社長)
XL106を最大限に活用、極小ロットはDurstフラットベッドプリンタで対応
スピードマスターXL106は、版替えから洗浄、版調整までフルオートのため、印刷機の台数は減台したが、それでも生産性は格段に向上したと鍛治川社長は強調する。「プライムファイア106でやろうとしていたことはすべて、XL106で実現できる」(鍛治川社長)。XL106にはインラインの分光光度計に加えて、後付けで5月に導入したイメージコントロール3により、より厳密に色濃度をコントロールすることができ、薄紙から厚紙まで、さらに安定した品質で印刷が可能になっているという。「4色固定もしくは7色のマルチカラーを特色の色替えをしなくても、パッケージ生産が可能になった」(鍛治川社長)。
さらに、XL106は1時間に24ジョブ可能という非常に少ない段取り替え時間を実現するため、少ロット分岐点は約150枚。それ以下の極小ロットに対しては、Durst社のフラットベッドプリンタを2台導入して対応している。
同社では、これら最新鋭の設備力を活かした新たな戦略として、通販サイト「imprenta」を開設する。imprentaとは、スペイン語で「印刷」の意味。鍛治川社長は、「パッケージではUV印刷機の使用や、特色により段取り時間がかかるため、薄紙の印刷会社が1ヵ月に2〜3件受注する厚紙の仕事を外注する場合、1.5〜2倍の外注費がかかってしまう。それをXL106の機能を活用し、商業印刷と同程度の価格で行うことで、薄紙印刷会社の外注費削減に役立てていただきたい。将来的にはG段ダイレクト印刷にも対応していきたい」と説明する。「imprenta」で売上5億円を目指すということだ。
鍛治川社長は、プロダクトアウト型のビジネスはあまり好きではないようだが、XL106に関しては別のようで、それだけXL106の機能に自信を持っている証明と言えるだろう。
100年企業、100億円企業を目指して
1948年、神戸市須磨区の地にて「鍛治川商店」として創設して74年。今年4月に社長に就任した鍛治川社長は「100年企業を目指し、身を引き締めていきたい。売上についても100億円企業を目指す」としており、歴史ある共進ペイパー&パッケージグループの次代を任された重責を感じながらも、創業者の"飽くなき挑戦"のスピリットを継承していく。
「これを実現するため、顧客、地域、社員からも選ばれる企業になっていきたい。SDGsへの取り組みも、その1つである」(鍛治川社長)
新たな体制で果敢に挑戦を続ける同社の取り組みに注目したい。
