富塚製本、「オリジナル便箋工房」で第3の市場へ
手軽な販促・贈答品制作に
制作実績は累計500万冊以上--。「オリジナル便箋工房」は、天糊製本を得意とする富塚製本(株)(本社/大阪市生野区、富塚宗寛社長)が運営する一筆便・便箋の専門サイト。一見して分かる、すっきりとしたデザインは「分かりやすい」とユーザーから好評。このため、通販サイトに慣れていないビギナーからの注文も多い。オンデマンド印刷を利用するため、最低10部からの小ロットに対応。納期も100冊までなら最短5日納品が可能だ。今回期間限定として来年1月まで、一筆箋・便箋を注文したユーザーに「オリジナル卓上カレンダー」をプレゼントするキャンペーンを実施している。このキャンペーン企画は、次代を担う子息でもある常務取締役の康憲氏の発案として、企画から実行までを担当した。

卓上カレンダープレゼントキャンペーン実施
同サイトの開設は約7年前。便箋巻きの機械を導入し、閑散期にも便箋巻きの仕事を埋めるための方法を考えていたところ、「ホームページ制作会社の飛び込み営業が入ってきた。普段なら追い返すのだが、ベストなタイミングであったため話を聞き、オリジナル便箋・一筆箋の専門サイトを開設することになった」と富塚社長は開設経緯について説明する。
現在の年間受注は2,000〜3,000冊ほどで、まだまだ閑散期を埋めるまでには至っていないようだが、インターネットを使った通販であるため、従来の仕事ではありえなかった全国エリアから受注を獲得している。このうち、首都圏からの受注が7割を占めるという。
富塚社長は「全日本製本工業組合連合会では現在、『新製本産業ビジョン2025』による、印刷業界、出版業界に次ぐ第3の市場との取引による生き残りを提言しているが、通販サイトの開設により、全国の個人の企業やデザイナーなどに取引先を拡大することができた」とその成果について話しており、今後も「オリジナル便箋工房」を活用しながら従来の『待ち』の受注体質から脱却し、『攻め』への企業体質に変革していく考えだ。

一番人気は一筆箋。すぐに欲しい人には「名入れ便箋」も
同社は「オリジナル便箋工房」を開設する以前から、同人誌関係の製本を数多く手掛けてきた。その関係から、「昨今はコミケや同人イベントなどで安価にキャラクターをアピールできるツールとして『オリジナル便箋工房』を活用するユーザーが増えている」(富塚社長)という。その中でも、一番人気となっているのが「一筆箋」だ。
富塚社長は「受注の8割は一筆箋。一筆箋は幅広い用途に使うことができ、ちょっとしたひと言を書くのに便利なツール。販促品やお土産、記念品などに活用してもらいたい」と一筆箋の魅力について語る。
一方、社名を入れるだけで良いというユーザーに推奨しているのが「名入れ便箋」だ。サイズはA4、B5、一筆箋やその他のサイズもあるが、名入れ便箋についてはA4サイズが人気だという。
「すぐに欲しい、簡単に名入れだけしたいというユーザーにお勧めの商品。完全オリジナルの便箋よりも、低価格・短納期で制作できる」(富塚社長)
紙の素材と1冊あたりの枚数は決まっているが、名入れ部分や罫線などは数パターンの選択肢から自由にカスタマイズできるため、十分にオリジナリティーのある便箋を作ることができる。
「分かりやすさ」と「品質」で差別化
同サイトを訪問して一番に感じるのは、すっきりとしたデザインに仕上がっており、非常に「分かりやすい」ということだ。このため、印刷通販に慣れていないビギナーでもストレスなく操作することができる。これが個人の企業やデザイナーから広く受け入れられている理由の1つとなっていることは間違いない。
そして、気になる品質についてだが、まず、当然のことだが印刷方法は部数によってオンデマンドとオフセットに分けられている。「過去にオンデマンド印刷とオフセット印刷の色味の違いからクレームになったことがあった」(富塚社長)ことから、印刷方法については、事前にユーザーに分かるように伝えているという。
また、「ご希望のユーザーさんには、有償にはなるが、本紙本機色校正で実際に色見や質感を確認していただくケースも少なくない」(富塚社長)
入稿データは、データチェック後に校正をPDFにて送付している。また、印刷後の便箋巻きなどの後加工についてはもともとの得意分野であるため、クレームは一度もないようで、富塚社長は「一度注文をいただいたユーザーからはリピートが多い」と品質に自信を示す。なお、支払い方法については現在、銀行振り込みのみとなっており、入金確認後に「注文確定」となる。
様々な形状の一筆便制作を模索
今後の展開について富塚社長は、「さらに分かりやすい通販サイトを目指すとともに、将来的には様々な形状の一筆箋を制作していくことを模索してきたい」と話す。
ユーザビリティの高さと品質、豊富な商品アイテム数で競合サイトとの差別化を図っていくとともに、様々な用途に適応できるサイトを目指していくということだ。
