ミマキ、アームロボで作業時間90%削減 - プリント自動化パッケージ「M2COA」
DX化で人手不足解決
(株)ミマキエンジニアリング(本社/長野県東御市、池田和明社長)は、2023年12月に日本で先行発表したプリント工程自動化システム「M2COA(エムツーコア)」をdrupa2024で公開し、大きな注目を集めた。
コロナ禍を経た現在も多くの産業において人手不足は大きな問題となっており、とくに製造業における労働人口の減少は年々深刻化している。この人手不足の解消や省人化を進める有効な手段としてDX(デジタルランスフォーメーション)化が期待されているが、産業用プリンタメーカーのミマキが、このDX化をサポートするソリューションとして業界に先駆けて市場投入したのが「M2COA」である。

同システムは、同社製UVプリンタ製品と連動してオーダーグッズや工業製品のプリント工程を自動化するパッケージシステム。リスクアセスメントを実施することにより、安全柵で隔離せずに稼働できる「協働ロボット」を採用したアームロボ1台が最大3台のプリンタと連動し、自動的にメディアを供給・配置・印刷指示・回収する。この一連の作業を自動化することで、人的ミスの低減や品質の定量化を実現するとともに、プリンタ3台のメディアの配置・回収を手作業で1日8時間行っていた従来と比べ、M2COAは供給ストッカへのメディアセット(1回当たり30分、1日当たり1時間)のみの手作業を必要とすることから、プリント工程におけるオペレーターの作業時間を約90%削減できる。その余剰労働力を自動化が困難な後加工や品質検査工程に分配することで、人手不足を解決するというものだ。
また、無人運転にも対応し、プリンタ3台でA3シート2面付けのプリント工程を、手作業では8時間稼働時268枚/日の生産に対し、M2COAは11時間連続運転で320枚/日の生産が可能(供給ストッカへのメディアセットは作業者が労働時間内に行う必要がある)であることから、同社では1日当たりの生産量を約20%増加させることができると試算している。
パッケージ化で低価格、短期間導入
さらに、IT人材の不足に備え、「M2COA」はSIer(システムインテグレータ)などの専門業者を必要とせず、ティーチング設定をユーザーがカスタマイズすることで導入・移設ができる。
また、システムをパッケージ化したことで、特注機やシステムインテグレータによるカスタマイズ製品に比べて低価格を実現し、導入までの仕様検討や開発、評価の時間を圧縮することで短期間での導入が可能である。さらに、自前で自動化システムを組むとロボットはシステムインテグレーター、プリンタやRIPはミマキと、サポート先が変わるが、M2COA導入でサポート窓口が一本化され、課題解決時間も短縮できる。導入からオペレーターのトレーニングおよび定期点検や導入後の移設まで、同社のサービスネットワークにより場所を問わず一貫したサポートを提供するとともに、システム操作は専用制御ソフト「M2COA PROCESS」ひとつで指示でき、プリンタ・ロボット・RIPが連携して動作するため、高度なソフトの知識がなくても効率的に運用できる。
一方、事業者はロボットを操作するオペレータに対して、労働安全衛生規則第36条の31に基づく安全または衛生のための特別教育を行う必要があり、同社ではロボットメーカーのスクール斡旋などを含め、リスクアセスメントに関するサポートも行っていく。
価格は、ロボットテーブル、スタッカテーブル、A3/A4サイズ用ハンドがセットで1台935万円(税込、プリンタは別売)。対象プリンタは現在、UJF-7151 plus/plusⅡのみ(UJF-3042MkⅡ/MkⅡe、UJF-6042MkⅡ/MkⅡeは後日対応)。供給メディアの形状は、板形状もしくは治具上材料で、サイズは最大710×510ミリ、最大重量は5kgまで。プリンタテーブル上に1〜4面付け配置が可能である。
同社では「UJF-7151からスタートし、その優位性を業界に浸透させながら、他の機種についても自動化が提案できる体制をとっていきたい」としている。
