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スカイロジック、AI検査と手続き型検査を同時に[汎用画像検査ソフト「EasyInspector2」]

「DIY感覚」で簡単検査

 外観検査・画像検査の(株)スカイロジック(本社/静岡県浜松市、南野真吾社長)は、汎用画像検査ソフト「EasyInspector2」にAI機能を搭載し、販売を開始した。同ソフトはこれまで、色の有無や良品画像との比較、寸法・角度測定、計数などの手続き型画像処理を低価格で実行できるものとして好評を得ていたが、新たにAI機能が加わったことにより、手続き型画像処理では難しかった複雑な製品、バラつきの大きなものも同時に検査が可能になった。


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青山 氏

費用対効果を実直に追い求める検査機メーカー

 「早期に、簡単に、確実に、安価に」。スカイロジックの製品開発コンセプトである。同社は画像に関するソフトウェアやシステムなどを開発するメーカーであるが、同社の青山洋士氏は「当社の目的はこれらを販売することではない。課題を持つ顧客がその先へ飛躍するための踏み切り板となることである。そのためには、スピード、簡便さ、検査の確実性、コストのどれもが重要になる」と説明する。

 また、同社は費用対効果を実直に追求するメーカーでもある。「大きな効果を得る一方で、費用を抑える。これには果てしない努力が求められる。だからこそ、技術やサービスという手段で費用対効果を追求し続ける価値があると考えている」(青山氏)

 そのための取り組みとして、同社ではAI、IoTなどの最新技術を研究し、ユーザーが使いやすい製品群に転換して提供する。また、経費を抑えるため、直接ユーザーのもとに行かない代わりに、メールや電話、Web会議でスピーディーにサポート。サンプルの無料テストやユーザー自身で検証できる機器類も用意している。

 「これらの体制により、検証作業の効率性と自由度を高め、同時に製品本体の価格を適正なものに維持している」(青山氏)

撮像環境に依存しない検査が可能に

 汎用画像検査ソフト「EasyInspector2」は、このような同社のメーカーとしての思いのもとに開発されたロングセラー製品。シリーズ累計でこれまでに2,000本以上を販売している。

 ソフトをインストールしてカメラを接続するだけで、「DIY」のような感覚で簡単に検査システム環境を構築できるのが特徴。手続き型画像処理により、色の有無、良品画像との比較、寸法・角度測定、計数など、さまざまな方法の検査を「低価格」で実行することができる。

 そして今回、これに「AI画像処理」の機能を追加した。手続き型の検査がマスター画像との比較で検査するのに対し、AI検査はディープラーニングによりAIに覚え込ませて検査するため、撮像環境に依存しない検査が可能になった。青山氏は「とくにフィルムなどは、光のあたる角度や明るさなどで撮像した画像結果が異なってくる。それらを覚え込ませることにより、撮像環境に依存しない検査が可能になった」と説明する。

 検査内容に合わせた設定が簡単に行えるのが特徴。AI検査では、見つけたい欠陥をマウスで囲むだけで検査できる。青山氏は「印刷用紙にラミネートを張り合わせたときに、間に虫が混入していないかなどもAIで検査できる。また、OCRや窓封筒のフィルムの噛み込み、冊子の糊のムラや印刷による気泡なども検査できる」と、手続き型検査による印刷物の検査と同時に、AI検査により後加工を含めた複雑な検査も可能になったことを強調する。

 なお、同ソフトの既存ユーザーは、AI機能のみを後付けで導入することができる。

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印刷用紙とラミネートの間に混入した虫なども検出

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窓付き封筒のフィルムの噛み込みなども検出


AI画像検査「DeepSky」なども提供

 同社は、AI機能を搭載した検査ソフトとしてこのほか、AI画像検査「DeepSky(ディープスカイ)」なども提供している。

 同ソフトは、現場ユーザーが簡単に運用できるオールインワン&シンプル操作のAI画像検査ソフト。見つけたいものをマウスで囲んで、「学習」ボタンをクリックするだけで、合否判定ができる検査機に成長する。「必要学習時間は対象によって異なるが、早いものなら5分〜10分程度で完了する」(青山氏)

 また、「DeepSky」が物体認識であるのに対し、良品学習の「DeepSky-SS」も提供している。物体認識の「DeepSky」が検出したい物体(欠陥や部品など)をあらかじめ学習させておき、撮影した画像から物体を検出するのに対して、良品学習の「DeepSky-SS」は、不良品を用意する必要がなく、物体認識で必要なアノテーション(見つけるべきものにマークを付ける作業)も不要。良品のみで学習が可能であり、撮影した画像の中から良品に存在しないものを欠陥として検出する。現場環境に合わせて適した方のソフトを提案しているという。

 青山氏は「当社の検査ソフトは汎用性があるため様々な業界で使用されているが、『EasyInspector2』にAI機能を搭載したことにより、印刷業界にもさらに貢献できる検査ソフトになった」としており、印刷業界での採用に拡がりに期待している。

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