富士フイルム、印刷工場全工程の稼働状況を可視化・一元管理[Revoria One Production Cockpit]
スマートファクトリー化で最適生産〜「コンセプト」から「リアル」へ
乾式トナー技術採用のB2デジタルプレスに期待高まる
IGAS2022の富士フイルムブースでは、5つのデモが行われた。
まず、「Production Cockpit」による自動化生産ラインのデモ。1パス6色のデジタルプレス「Revoria Press PC1120」で出力した印刷物をAGVでホリゾンの無線綴じ機へ搬送。製本加工から人協働ロボットによる仕分けまでの自動化ラインが実演された。
IGAS2022全体の目玉として注目を集めたのが、乾式トナー技術を採用した世界初のB2サイズ枚葉デジタルプレス「Revoria Press B2(仮称)」(技術展示)である。
最大B2XL(750×662ミリ)の用紙に対応し、A4の6面付けやはがき28面付けなどの効率的な多面付けと2,500枚/時の印刷速度との相乗効果で、高い生産性を発揮。また、給紙、排紙を含むあらゆる印刷操作のワークポジションを集約することでオペレータの動線を大幅に削減。ワンマンオペレーションを意識した構造になっている。
同プレスには、トナー転写ムラの課題を克服する「高密度磁気ブラシ現像技術」、低温低圧の二段階定着で紙シワなどのダメージを回避しながら高いメディア汎用性を実現する「遠赤外線低ストレス定着機構」、用紙の収縮を測長し、リアルタイムに表裏レジを補正する「用紙測長レジ補正システム」といった新開発技術が投入されており、これまで困難とされてきたトナー機による安定したB2出力を実現している。
同社では、「64〜450gsm、特殊紙といった高い用紙汎用性、B2XLの最大用紙サイズ、プロ市場で認知されたRevoria Pressの高品質(出力解像度2,400×2,400)は、対応するアプリケーションの幅を拡大し、新規ビジネスへの挑戦を後押しする」としている。
なお会場では、出力した印刷物をAGVでホリゾンブースまで搬送、無線綴じ製本を行うフォトブックの自動化ラインの実演が行われていた。
一方、インクジェットデジタルプレス「JetPress750S」は、高速化モデルが国内初公開された。3,600回転の標準モードに加え、B2インクジェットプレスとしては世界最速となる5,400回転の高速モードを実装。会場では、実機による両モードでのデモを通じて、オフセット印刷の代替が可能な唯一無二のデジタル印刷機として訴求していた。
デジタル印刷分野では、さらに「Revoria Press PC1120」による圧着ハガキの自動化デモも行われた。世界初となる圧着トナー(仮称)を技術展示し、ダイレクトメールの作成工程の変革をデモとサンプルで紹介した。
さらに、ユニークな展示実演として注目を集めたのが、「印刷用紙ハンドリングロボットシステム」だ。印刷準備や後加工準備などで欠かせない「紙捌き」作業は、熟練技術と経験が必要になるだけでなく、用紙サイズが大判になると紙束も重く、重労働になる。このような人手に依存した紙捌き作業の省人化を実現すべく、最新のロボットハンド技術を活用した業界初のハンドリングロボットシステムを提案した。

「急遽、デモとして披露することが決まったシステム。これも『Production Cockpit』で管理している。『人的リソースをもっとクリエイティブな仕事に振り分け、新しい仕事を作る』。そういうひとつのメッセージを込めた提案である」(鈴木部長)
FFGS 安田庄司技術本部長
「スモールスタート」で実績へ
我々は、page2022、IGAS2022、そしてpage2023という流れの中で、スマートファクトリー化による「最適な生産環境」の提案を行っている。
まず、page2022では、最適生産に向けたジョブ分析を訴求。そしてIGAS2022では、近未来を想定した構想を提案した。今回、我々としても様々なソリューションが整備でき、さらに、そのリアリティも増したと自負している。今回の来場者は、我々の提案を、非常に関心を持って見ていると感じた。コロナ禍は、良い意味でデジタル化をかなり前倒しした。この関心の高さは、お客様が「変化」の必要性を感じ始めた兆しだと捉えている。
今後は、これをお客様1社1社にあわせた「スモールスタート」によって実績を出していくフェーズに入る。この1年は非常に大事になる。「スモールスタート」とは、いま持っている機械や技術、人的リソースを活かしながら、その弱点を補完する形から始めるということ。その一歩によって生産性を高め、利益、そして新たな人的リソースを生み出し、そこで新たな成長戦略に向けて動き出す。我々はこのように、お客様に「染み出す」ような持続成長を促すことを目指し、2023年を「リアル」「実績」の年にしたい。
そこでpage2023では、ひとつの実績としてお客様の事例を紹介していく企画を進めている。これをきっかけとし、2023年は現場で、その「リアル」の実現を加速させていきたい。
