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富士フイルム、印刷工場全工程の稼働状況を可視化・一元管理[Revoria One Production Cockpit]

スマートファクトリー化で最適生産〜「コンセプト」から「リアル」へ

 富士フイルムは、昨年11月開催の「IGAS2022」において、「BELIEVING IN PRINT つながる。流れる。広がる。新たな印刷ビジネスの魅力を、ここから」を出展コンセプトに、印刷会社の持続的成長のためのソリューションとして、スマートファクトリー化による「最適な生産環境の構築」を提案し、大きな注目を集めた。そこで今回、富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(株)(FFGS)取締役常務執行役員の安田庄司技術本部長に、IGAS2022出展を振り返って総括してもらうとともに、富士フイルムビジネスイノベーション(株)DX事業推進部の鈴木孝義部長に、「FUJIFILM Smart Factory」の中核を担う「Revoria One Production Cockpit」を中心としたソリューションについてうかがった。


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Revoria One Production Cockpit


AGVやロボットで各工程間をスマート化

 富士フイルムは、前回のIGAS2018において統合型ワークフローソフト「Production Cockpit」を発表。当時は「デジタルプレスと連携したワークフロー管理」という段階のものだったが、4年の歳月を経て、今回のIGAS2022では、工場全体をマネージメントし、同社が提唱する「FUJIFILM Smart Factory」の中核を担うソリューションとして成長を遂げて登場した。

 同社が定義する「FUJIFILM Smart Factory」のコンセプトは、(1)オフセット印刷とデジタル印刷の共存環境(2)入稿から出荷までの全工程の統合ワークフロー管理(3)メーカーの垣根を超えた自動化技術活用によるオープンプラットフォーム─の3点。生産性の向上だけでなく、「業務品質を担保した人協働による運用」「柔軟性と可用性を考慮した工程設計」により、「顧客提供価値の最大化」と「利益最大化」を両立できる実践的な「スマートファクトリー」である。

 今回のIGASで、とくに強調されたのは、各工程間のスマート化だ。これについて鈴木部長は、「プリプレス、プレス、後加工という各工程単位では20年以上前から自動化、デジタル化が進められてきた。ただ、その工程間に最も人手を要し、そこに印刷物が滞留、しかも進捗が見えない。ここに課題がある」と説明。この課題に対し、IGAS会場では実際にAGV搬送や仕分けロボットを使った「各工程間のスマート化」を、コンセプトだけではなくリアルな形として初めて提示した。

 「Production Cockpit」は、ジョブそのものを管理するのではなく、工程をマネージメントするもの。MISに欠けている機能、とくに生産工程管理にフォーカスしたソリューションである。MISから受け取ったジョブ情報からスケジューリングし、各工程に分散指示を行う。その工程の進捗のモニタリング、次工程へ受け渡す時間的なマネージメントを全工程に対して行う。


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 当初はデジタル機器だけが対象だったが、オフセット、そして後加工の管理機能などが付加され、現在のバージョン4.1まで進化している。また、今回のようなロボットやAGV、さらにはピッキングやGAS(ゲートアソートシステム)、最終梱包ラインのパッケージング、ラベリングなどの機器にも連携して管理できるようになり、まさに「スマートファクトリー」の中核となっている。

 今回のIGASでは、リョービMHIグラフィックテクノロジー(印刷)、ホリゾンジャパン(後加工)のブースと連携し、ひとつの大きな印刷会社に見立てたスマートファクトリーの実践的なデモを披露した。これらを一元管理していたのも「Production Cockpit」だ。「FUJIFILM Smart Factory」の3つ目のコンセプト「メーカーの垣根を超えた自動化技術活用によるオープンプラットフォーム」を具現化している。

 「オフセットとデジタルが共存する最適生産を一元管理するデモをリアルにお見せできたのも今回が初めて。この背景にあるのは、FFGSがもつ顧客基盤とお客様との関係性や課題提案力という強みがあることも付け加えておきたい」(鈴木部長)


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FFGSの安田庄司技術本部長(左)と富士フイルムBIの鈴木孝義部長


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