IGAS2022レポート(2)
RMGT、「自動連続運転」と「工程間連携」でスマートファクトリー体感
リョービMHIグラフィックテクノロジー(株)(RMGT、広川勝士社長)は、菊全判ジャストサイズのオフセット枚葉印刷機「RMGT970PF-8+LED-UV+PQS-D」による「自動連続運転+環境印刷」と「工程間連携」という2つのスマートファクトリー提案をデモで紹介した。
RMGT970PFモデルは、最大紙寸法650×965ミリで、天地650ミリの用紙を使った両面印刷に対応でき、市場でポピュラーな菊全判用紙(636×939ミリ)をフルカバーする片面・両面兼用印刷機。ワンタッチ操作で複数ジョブの連続印刷を自動で行えるスマートアシストプリンティング機能を搭載している。
まず、「自動連続運転+環境印刷」では、A4表裏16ページのジョブを3台、計48ページのカタログを自動連続印刷するデモを実施。MISからワークフロー経由で印刷指示を受け取り、印刷機を自動でプリセット。刷版交換するだけの操作で、3台の仕事をおよそ15分で完了した。
また、刷了紙は自動搬送ロボット(AGV)の「Nipper」で隣接するホリゾンブースに搬送され、中綴じ製本を行った。この印刷された用紙には、印刷中にすべて給紙部で個体認証用のデータマトリクスコードが全数に印刷されており、印刷品質管理システム「PQS-D」で品質検査したデータをホリゾンの製本システムが取得し、製本システムのコードリーダーで読み取った印刷物のデータマトリクスコードと照合することで、NGを自動でイジェクトする連携ワークフローを紹介した。
同時にこのデモでは、バイオマスインキと無処理プレートが使用され、「環境負荷低減印刷」も併せて訴求していた。
2つ目のデモ「工程間連携」では、RMGT970PF-8とパートナー企業の印刷前後工程機器を連携したスマートファクトリー工場のモデルケースを披露した。
デモでは、MISから統合ワークフローソフト経由で印刷機がジョブ情報を受け取り、紙積みした用紙を自動搬送ロボットが給紙部へ搬送。一方、出力した刷版は、刷版自動仕分け装置によってジョブ単位で仕分けされ、自動搬送ロボットで搬送。印刷機側では搬送されてきた刷版を「刷版供給システム」(参考出品)によって7色目、8色目ユニットに自動装填されていた。スマートアシストプリンティング機能で自動運転印刷された用紙は、紙揃え後、断裁加工が施された。
これら一連のデモは毎回、通路を埋めるほど多くの来場者が押し寄せ、RMGTによる次世代のスマートファクトリーコンセプトへの関心の高さがうかがえた。
富士フイルム、全方位に進化した完全無処理版
富士フイルムは、全方位的に性能を進化させた完全無処理CTPプレート「SUPERIA ZX」を展示した。
昨年国内先行発売した「SUPERIA ZD-III」のさらなる性能アップを図り、製品名をグローバルブランド「SUPERIA ZX」に統一したもの。「SUPERIA Zシリーズ」の優れた基本性能を継承しながら、版面の視認性や機上現像性(刷り出しの早さ)、耐刷性、耐キズ汚れ性などを向上させている。
とくに、今回最大の開発項目となっているのは「視認性」。それぞれの性能はトレードオフの関係にあり、それをブレイクスルーしたのが今回の技術だ。「SUPERIA ZX」では、4つの新たな技術投入で、他の性能を劣化させることなく視認性を向上させることに成功している。
FFGS取締役常務執行役員の安田庄司技術本部長は、「完全無処理プレートの開発において我々は『有処理版と同等の使い勝手と性能』を目指してきた。その意味で今回のSUPERIA ZXは非常に完成度が高い」と述べている。
理想科学工業、新製品「VALEZUS T2200」公開
理想科学工業(株)(本社/東京都港区、羽山明社長)は、トランザクションプリント市場向けに、従来の常識を覆す画期的なプロダクションプリンター「VALEZUS(バレザス)T2200」を公開。連日ブース前は多くの来場者で賑わった。
同機はカット紙領域で圧倒的なA4フルカラー・両面毎分330ページの生産性を実現。2段給紙ユニットにより、機械を止めることなく高速連続プリントが可能。油性顔料インクによる安定した印字品質と用紙変形のない仕上がりにより、後処理加工への移行がスムーズにでき、乾燥機も不要のため省スペース。また、環境に配慮した省エネ設計で100V電源に対応する。さらに、検査装置ユニットによる安心の品質保証で、トランザクションプリントにおける1ロットあたり5千枚〜5万枚の小~中ロットで効率的な生産性を実現する。
また、同機はホリゾンブースにおいても展示されており、T2200で出力後、ロボットハンドにより人手を介さずに無線綴機にセッティングされるデモが行われた。
ホリゾン、21システムを展示し実演披露
ホリゾン・インターナショナルは、過去最大の展示スペースに、他社連携で実現する様々なプロダクションプリンターと後加工機器を接続したインラインシステムなど全21システムを展示し、実演を披露した。
ホリゾンブースでは、2021年10月に開催されたファクトリーオートメーションを体感できるイベント「Horizon Smart Factory 2021」で紹介した各種インラインシステムを、さらにグレードアップして展示。また、AGVを活用し、他社ブースとの実演連携なども実施した。

