太陽機械製作所、新型凸版輪転ラベル印刷機2機種実演
ラベル業界に新たなイノベーション〜従来のイメージを秀逸
凸版輪転機の最終形「TUR-250 Tutti+」に驚愕
続いて、IGAS2022に合わせて開発を進めてきた、同社が凸版輪転機の「最終形」と標榜するハイエンド印刷機「TUR-250 Tutti+(トゥッティプラス)」のデモに移った。
Tutti+は、Tuttiの長所を踏襲し、最大紙幅を250ミリまで拡張。最高ライン速度は毎分120m。従来型の凸版輪転機で生産されていた、すべてのアイテムに対応できるよう考慮された。越智営業部長は「従来機では基本設計が古いため、自動化やスキルレス化を試みようとしても大きく変えることができなかった。そこでTuttiの経験を基に、新たなフラッグシップモデルとして開発を進めてきた」と開発経緯を説明した。

来場者の反応としては、「従来機の版胴などの付属品がそのまま使用でき、かつギヤレスであることや、自社開発ソフトでの各部サーボ化による高い見当精度、ショートパスによるロス軽減、ラインタイプ構造での作業の利便性など、特徴のすべての項目において高い評価を得ることができた」と振り返る。会期中に数社から今後のテスト依頼があったほど、反響は大きかったようだ。
デモンストレーションにおいて、ナレーターの社員は「従来型のサテライト凸版輪転機とは異なり、ラインタイプ構造にしたことで、無理な姿勢での作業はなく、また可能な限り数値化された操作により、オペレーターの負担を軽減し、大幅なロスの削減も実現いたしました」と、操作性の利点を説明した上で、各部の説明に入った。
まず、給紙部はパワーリフターにより、最大直径800φまでの用紙が装着可能。用紙はパウダーブレーキによるテンションコントロールとサーボモーター駆動のインフィードロールにより、安定搬送される。そして凸版印刷部はドライブ3軸、アジャスト7軸でフルサーボ化されており、天地左右の印刷見当はもちろん、付けロールタッチ圧、印圧までもが数値制御可能。また、版胴軸をサーボモーターでダイレクトドライブするため、版胴ギヤは一切必要ない。効果的に配列された3本の揺動ローラーと9本の練りローラーにより、高精細印刷を可能とし、印刷ゴーストも抑制する。
ここまで説明したあと、「Tutti+にもイニシャルポジションコントロールが標準装備されており、用紙を搬送することなく、サイズ入力するだけで、それぞれの版胴が初期見当位置に移動し、わずか1ミリ以内の見当誤差からスタートすることができ、色間パスを短縮したことでロスの削減を実現した」と、自動化による利便性をアピールした。
また、フレキソ印刷部も凸版印刷部同様にサーボ化されており、版胴はギヤレスとなっている。アニ圧、印圧調整は数値制御により、スキルレスの操作が可能。インキ供給には、インキ飛散を抑制し、洗浄作業も簡便なオープンチャンバー方式を採用。デモ機では、オプションとして波長385ナノメートル、ピーク強度20W/平方センチメートル相当のハイパワー空冷LEDUV装置を全色に搭載。LEDUV装置は排気ダクトが不要で、消費電力も従来の3分の1以下、CO2排出量も少なく、環境に配慮したこれからのインキ乾燥システム。また、コールド箔・ラミネート兼用のユニットは最大直径/380φまでの原反が装着可能で、パウダーブレーキによるテンションコントロールで安定搬送される。
さらに、ロータリーダイカット部では、従来クレーンを用いて吊り上げ交換していたものを見直し、専用台車による横からの挿入で、近年増加傾向の女性オペレーターにも簡単・安全に交換作業が行える機構となっている。オプションのバリアブルダイカット部は、177.8ミリから381ミリまでのレンジで、ダイカットロールを交換することなく、最高で毎分200ショットの加工が可能である。
ここまで説明したあと、Tutti+は50m/分にスピードアップ。
粕巻き取り部はタッチスライド式を採用しており、剥離から巻取りまでのパスを最短にしたことで、粕切れトラブルを抑制する。その他に裏スリッター、ラベル移行、シヤスリッターなど、これ以外にも豊富な加工ユニットを用意しており、様々なラベル生産に対応している。
また、メインタッチパネルからは、印刷機の運転状態をモニターし、天地左右の見当調整はもちろん、LEDUV装置の出力変更や各部の詳細設定、アラーム表示などの情報を一目で確認可能であることを説明。
このあと、版胴装着の簡便性を来場者に実感してもらうため、ジョブチェンジを実施。本機を一旦停止し、バリアブルダイカットからロータリーダイカットへ変更、3色目からフレキソまで印刷OFF、2色目に版胴を装着し、1、2色目を使用し、25m/分の速度で印刷するという一連の流れをデモした。
そして、印刷が安定したところでTutti+は100m/分までスピードアップ。来場者は輪転機ながらのスピードと臨場感に引き込まれた。
「当社は現在、社内外・アイテムに関わらず、社長の岡倉を中心として様々な『改革・イノベーション』に取り組んでいる。印刷機械メーカーのため、機械を販売することが目的であるが、それ以上にお客様に新たな価値を提供し、利益を創造していただくことで共に成長できる環境をつくっていきたいと考えている。そのような意味で、IGAS2022では、業界に新たな風を吹き込み小さな"イノベーション"が起こせたのではないかと思っている」(越智営業部長)
同社はIGAS2022で収集した来場者の声をベースに、ユーザーとともにさらに成長していくため、2023年も飽くなき挑戦を続けていく考えだ。
