[寄稿]モリサワ、16のオンラインセミナーをライブ配信
クラウド型の新フォントサービスリリース〜写研書体改刻フォント、2024年提供開始
(株)モリサワ(森澤彰彦社長)はIGAS2022において、同社の中核を担うフォントビジネスを中心としたソリューションと、昨今求められる社会貢献活動を行う企業の紹介を、会場に来られない人も参加できるオンラインセミナー形式でライブ配信した(各セミナーはアーカイブ動画として文末QRコードより視聴できる)。また、2019年1月に写研書体の共同開発について発表したが、その進捗について「写研書体の開発プロジェクト『至誠通天』受け継がれる石井書体」と題したセミナーで、開発に携わるタイプデザイナーから多くの参加者へ伝えた詳細も紹介する。
クラウドフォントサービス「Morisawa Fonts」と2022年新書体
2022年10月にモリサワの新たなクラウド型フォントサービス、「Morisawa Fonts」をリリースした。みなさまに広くご愛用いただいている、「MORISAWA PASSPORT」の後継サービスとなるため、印刷業界の方々へ直接サービスをお伝えできる機会として、IGAS2022の場をお借りした。「Morisawa Fonts」と「MORISAWA PASSPORT」は、どちらもフォントをPCに提供するサービスではあるものの、ライセンス形態やインストール方法、といった機能面に大きな変更がある。会場では、常日頃フォントをお使いのみなさまより多くのフィードバックをいただくことができた。今後のサービス開発に盛り込み、印刷業界のみなさまに使いやすいサービスとして、アップデートしていきたい。
ブランディングとフォント
当社がフォントという領域で長年活動を続ける中で、近年ニーズの高まりを感じているのがブランディング(ブランド形成)でのフォントの活用である。
フォントはツールのひとつとして、グラフィックデザインの中でお使いいただくことを前提にこれまで提供してきたが、「文字の形そのもの」をフィーチャーし、ブランド表現のひとつとして活用する例が増えてきたと考えている。
IGAS2022では、「『コーポレートフォント』のすゝめ~企業ブランディングをフォントから考える~」と題し、セミナー形式でフォントの新たな活用方法を紹介した。
具体的には、それぞれの企業が持っている「らしさ」(=ブランド)を表現できるフォントを選び、さまざまなタッチポイント(企業とお客様の接点)で統一して使用することで、ブランド想起の機会を最大化できるのではないか、という提案である。
日本に比べ、欧米圏ではコーポレートフォントの活用例は多く見られる。今後日本においても、デザイン経営やブランディングというキーワードの注目度が高まるにつれ、ニーズが増えると考えられる。今後もフォントの新たな価値をお伝えしていきたい。
SDGs
今回のIGASでは、モリサワで取り組むSDGsの事例、また印刷の視点で配慮できるSDGsにフォーカスした情報提供を行った。
モリサワでは「UDフォント」や「MC Catalog+」といった開発製品を利用いただくことで、SDGs活動を実践できる製品提供を実践しているが、企業活動の中でもSDGsに取り組んでいる。「社会課題をビジネスで解決する〜NPO法人AlonAlonのストーリー〜」と題したセッションを開催し、AlonAlon様が生産する胡蝶蘭の購入を通じた、障害者雇用の創出、社会参画への支援について紹介した。
また、印刷業の視点においては、当社で提供しているオンデマンドプリンティングシステム「RISAPRESS」の活用をベースに、バナナペーパー(山櫻)を使用した環境に配慮した用紙の活用例などを提案。無駄のない印刷と環境への配慮、そしてフェアトレードへの寄与といった複数の観点に貢献できる可能性をお伝えした。
SDGsは、印刷業界として取り組むべき目標であると同時に、印刷物を利活用するクライアント側も考えていくべき目標である。取り分け紙というサステイナブルなメディアを活用されているプロフェッショナルとして提案できる視点は多く、今後もより良い情報提供を続けていきたい。
石井明朝・石井ゴシック改刻フォント開発を発表
2021年1月に発表した、写研書体のOpenTypeフォント開発プロジェクトについて続報を公開。昨年の発表から「どのような書体が開発されているのか」「開発はどうなっているのか」といったお問い合わせを多数いただいていたが、その進捗を公表する運びとなった。

開発プロジェクトは、「写研書体の開発プロジェクト『至誠通天』受け継がれる石井書体」と題したセミナー形式にて詳細が語られた。現在開発中の写研書体は、モリサワと、石井書体を保有する写研、モリサワのグループ会社である字游工房の3社が共同体制で取り組んでいること、開発中の写研書体が「石井明朝 ニュースタイル大がな・オールドスタイル大がな」「石井ゴシック」であることを発表した。また、書体デザインを公開し、過去の写研書体の使用例や開発中の改刻フォントにおいて調整した点を紹介しながら、開発コンセプトや改刻にあたる想いをお伝えした。写研書体ラインナップは、2024年にクラウド型の新フォントサービスフォントサービス「Morisawa Fonts」にて提供を開始する予定である。今後の続報にご期待いただきたい。
本セミナーはIGAS2022終了後も16のプログラムをアーカイブ動画で公開している。今回紹介したセミナーも動画で視聴できるので、ご興味のあるプログラムをご覧ください。
