after drupa 2024|富士フイルム、「Discover the difference」─過去最大規模で
ワールドワイドへ包括的ソリューション展開
インダストリアルエリア
▽軟包装印刷向け水性IJデジタルプレス「Jet Press FP790」
食品や日用品などの軟包装の多品種・小ロット印刷に対応し、高い生産性を実現する水性インクジェットプレス。1,200dpi×1,200dpiのプリントヘッドで最大790ミリ幅のフィルム基材に対して毎分50mでの高速印刷が可能。また、CMYK各色のプリントヘッドに加え、2組の白色プリントヘッドを搭載し、カラー印刷の下地色となる白色の濃度を向上させ、カラーインクの発色性を高めることができる。さらに、印刷前の基材に処理液を塗布する機構を搭載し、撥水性のあるフィルム基材に対しても高いインク密着性を付与する。ブースでも非常に活況を呈し、欧米企業から数台の注文があったようだ。
▽ワイドフォーマットIJ向け「AQUAFUZE技術」
今回技術発表された「AQUAFUZE(アクアフューズ)技術」にも大きな注目が集まった。
産業用インクジェットインクは、一般的に、水性インク・溶剤インク・UV硬化性インクに分類され、各インクはインクの特性や印刷用途に応じて使用される。サイングラフィックや販促用印刷などで使用されるワイドフォーマットインクジェット印刷では、熱でインクを固める水性インクや、光の照射によるUV硬化性インクが主流だ。現在、同市場の成長にともなって印刷アプリケーションや基材が多様化する中、印刷物に付着するインクには、高い耐久性や折り曲げなどの加工時に必要となるインク膜の延伸性、吐出安定性などが求められている。また、印刷時に生じる溶剤の揮発や臭気などを防ぎ、印刷作業者がより安全で快適に使用できるインクへのニーズも高まっている。
今回開発した「AQUAFUZE技術」は、同社が持つ高機能素材の合成技術や粒子の分散技術を応用して、水性顔料インクジェットインク中に光硬化性樹脂を安定的に水分散させる独自の技術。さらに同技術をベースに、水性インクとUV硬化性インク双方の処方技術を組み合わせることで、新たに開発したのがUV硬化性水性インクだ。同インクは、これまで水性インク・溶剤インク・UV硬化性インクといった単一インクで印刷時に生じるインクの臭気などを抑える安全性に加え、高い耐擦性や延伸性を実現する膜質を有するため、多彩な印刷基材に対応する。
drupa会場では、武藤工業ブースにおいてこの技術を用いたインクで印字デモが行われていたが、UV硬化性水性インクの提供開始は2024年秋を予定している。