after drupa 2024|富士フイルム、「Discover the difference」─過去最大規模で
ワールドワイドへ包括的ソリューション展開
富士フイルムグループは、5月28日からドイツ・デュッセルドルフで開催された世界最大の印刷・メディア産業展「drupa2024」において、過去最大規模となる2,420平方メートルのブーススペース(ホール8b)を構え、「Discover the difference」をコンセプトに、「富士フイルムグループだからこそ提供できる価値とその未来」を提示した。今回、富士フイルムグラフィックソリューションズ(株)が6月26・27日に開催した「drupa2024報告会」の内容を参考に、富士フイルムの主な出展製品を紹介する。
富士フイルム(株)と富士フイルムビジネスイノベーション(株)は2023年4月、グラフィックコミュニケーション領域の事業を統合し、製品や技術力、顧客基盤や製造・サービス供給体制などを一体化。これにより、アナログのオフセット印刷から、インクジェットとドライトナーの両方式によるデジタル印刷、さらには印刷ワークフローに関するDXソリューションまでを、ワールドワイドへ包括的に提供できる総合ベンダーとなった。
今回、新たな富士フイルムグループとして臨んだdrupa2024では、この「総合ベンダー」としての立ち位置を明確に打ち出し、過去最大となる2,420平方メートルのブーススペースを構えた。「コマーシャルエリア」と「インダストリアルエリア」にそれぞれ幅広いポートフォリオを一堂に展示し、多様な顧客の生産工程やビジネスモデル変革のニーズに応える製品やソリューション、またそれらを支える技術まで、総合力とそれが導く新たな付加価値を提示した。
コマーシャルエリア
▽商業印刷向け枚葉インクジェットデジタルプレス「Jet Press 750S」
Sambaヘッドを搭載した最大5,400枚/時の枚葉インクジェットデジタルプレス。今回は、Kompac社のオンラインニスコーター、Kama社の抜き・フォイル、ホリゾンの製本・後加工機と連携させ、紙器やフォルダー、カレンダーなどの製作デモを実施。高品質かつインラインニス(水性・UV)加工ができる点を訴求した。
▽世界初 乾式トナーB2枚葉デジタルプレス「Revoria Press GC12500」(参考出品)
欧州の展示会で初展示。デジタルB2機市場で最大となるB2XLサイズ(750×662ミリ)用紙に対応し、用紙坪量も64g/平方メートルから450g/平方メートルまで自動両面に対応。A4サイズを最大6面付け、A4で250ppmの生産性を誇る。
給紙/排紙を含むあらゆる印刷操作のワークポジションを集約することでオペレータの動線を1/3程度に削減。ワンマンオペレーションを意識した構造となっている。
同プレスには、トナー転写ムラの課題を克服する「高密度磁気ブラシ現像技術」、低温低圧の二段階定着で紙シワなどのダメージを回避しながら高いメディア汎用性を実現する「遠赤外線低ストレス定着機構」、用紙の収縮を測長し、リアルタイムに表裏レジを補正する「用紙測長レジ補正システム」といった新開発技術が投入されており、これまで困難とされてきたトナー機による安定したB2出力を実現している。
▽プロダクションカラープリンター「Revoria Press PC1120」
国内でも多くの納入実績を誇るPOD機。今回は2つのラインが展示された。
まず、Plockmatic社の中綴じ機をインライン接続して展示。A4横長の製本や30枚を超える綴じ枚数での製本などを実演した。
そこで大きな注目を集めたのが「グリーントナー」だ。CMYKにピンクとグリーンを加えた6色で、95%をカバーする広色域による色再現性、モニターのRGB色に近い表現が可能になることを比較展示でアピールした。会場では、RGB再現による同人誌での活用や、小ロット特色ジョブの負荷からの開放などに期待の声があがった。
もうひとつのラインは圧着トナー仕様。会場では圧着機能とトナーの簡便性による様々な商材への応用に注目が集まった。
▽プロダクションカラープリンター「Revoria Press EC2100S/SC285S」(参考出品)
drupa初日にRevoria Pressブランドから新たに発表された、特殊色技術を搭載したミッドレンジPOD機。プリントエンジンを刷新した5色機(CMYK+特殊色)で、コンパクトな筐体でありながら、高画質・高生産性、かつ安定性に優れたプロダクションカラープリンターだ。EC2100Sが100枚機、SC285Sは85枚機。
融点が低くシャープメルトな特性を持つ「Super EA Ecoトナー」を採用し、会場ではピンクトナーを使用した5色印刷の色域拡大をアピール。EC2100Sは検査装置(技術展示)のデモも実施した。
2機種ともに「スマートモニタリングゲートD1」を接続し、リアルタイム検知と補正機能のデモを実施した。
▽商業印刷向け連帳IJプリンター「Jet Press 1160CFG」
新開発の水性顔料インクの採用により、非コート紙・インクジェット専用紙に加え、オフセットコート紙への高画質な印刷を実現。独自の新技術「ペーパースタビライザー」を採用し、インクジェット前に用紙コンディションを制御する新たなコンセプトの採用で、「厚紙でのインク定着性」「薄紙での波打ち」「環境や季節による品質変動」といった連帳インクジェットプリンターの生産課題を解決。商業印刷の幅広い用途で活用できる。drupaでは、この新技術をデモで初披露した。
▽DXインフォメーションブース
オフセット印刷の生産工程や印刷ワークフローの自動化・効率化を図るDXソリューションまでも包含する製品ラインアップを展示した。
・Revoria XMF PressReady(新バージョン)...Revoria Pressに加え、JetPressシリーズをサポート。富士フイルムのデジタルプレス全体を一元管理し、またW2P/後加工連携によるEnd to Endの自動化を提案。
・Revoria Cloud Marketing(参考出品)...オンライン、オフライン媒体のデータをAIで分析し、効果的な広告集客からWebサイト改善までを支援するプラットフォーム。
・Revoria Cloud SmartFlow(仮称、参考出品)...MIS/MES/生産ワークフローの工程間連携にAIを活用し、受注〜工程設計〜スケジュール管理までの自動化・最適化を提案する顧客ビジネスのDX推進プラットフォーム。
・Revoria One Remote CMS(参考出品)...デバイスの状態を診断し、簡単かつスピーディに出力品質を安定化。クラウドで複数デバイスの状態の一元管理も。