FFGS、圧倒的な組版機能と高生産性 - バリアブル印刷ソフト「FormMagic」
紙DM制作の効率化機能強化
富士フイルムグラフィックソリューションズ(株)(山田周一郎社長、FFGS)は、高度な自動組版機能を持つバリアブル印刷ソフト「FormMagic」を、POD事業を強化する印刷会社に対し、新たな小ロット需要、あるいはバリアブル需要を喚起して受注獲得につなげるためのツールとして提案している。30年以上の開発実績に裏付けられる圧倒的な組版機能に加え、最新バージョンでは、紙DM(ダイレクトメール)制作の効率化を実現する新たな機能を追加し、バリアブルDM制作のフロントエンジンとして注目を集めている。
郵便料金の値上げで加速する紙DMのスリム化
「デジタル(ネットビジネス)との親和性」を理由に、デジタルマーケティング業界からもその販促効果が注目されている紙DM。これらを背景に印刷会社は、デジタルと連携した効果的な紙DMの提案を行うことで、クライアントのビジネス拡大に貢献し、新たな印刷事業領域の商機を得ることができる。その紙DM制作のフロント側で、印刷会社の事業として成立させるだけの生産処理能力と多彩な機能による汎用性を提供するのがバリアブル印刷ソフト「FormMagic」だ。
一方で、10月に実施された郵便料金の値上げは、この市場動向を左右する大きな懸念材料となっている。ただ、値上げ前後の段階では、DM全体の数という意味ではそれほど影響は出ていないようだ。FFGSシンプルプロダクツ事業部 営業部の小林隆弘担当課長は、「印刷会社では、クライアントが販促において封書からはがきに、あるいは大判から圧着はがきにシフトするなど『DMのスリム化』が進むと仮説を立てている」と説明する。
また、FFGSシンプルプロダクツ事業部 営業部の佐々木健至部長は、「紙DMで多くの情報を送る時代から、データ分析を絡めた『より刺さるDM』の時代へと移行しつつある。そこでDMのスリム化やダウンサイジングが進み、よりパーソナライズされたOne to Oneへの流れが加速するのではないかと市場を分析しているようだ」とし、そこでFormMagicの活用シーンが広がるとみている。
当初、同社でも郵便料金の値上げはDMの減少をもたらし、FormMagicの販売本数にも影響すると考えていた。しかし実際は落ちることなく、逆に前年を上回る販売実績をあげているという。
「郵便料金の値上げを控えた8〜9月にもFormMagicの新規、あるいは増設の相談が多く、我々の想定とは違うものだった。そこには、DMという市場が広く認知され、一定の効果があるという認識が根底にあるように思う。当然そこにはコストダウンや効率化が必須で、結果、DMのスリム化、軽量化、One to Oneで投資効果を高める努力が行われている」(佐々木部長)
1万件のPDFデータを5分以内に生成
FormMagicは、単なる宛名書き・差し換えソフトの領域を超え、宣伝効果の高いバリアブルプリントデータを作成できるプロフェッショナル向けソフトウェア。流し込む項目ごとにデータの有無やフラグを判断してレイアウトを可変させる「自動判断組」や、グラフ作成、イメージバリアブルなどにも対応。顧客情報に合わせて商品や表現を変えるOne to Oneの分野において、もともと自動組版ソフトとして開発されたFormMagicは、リッチデザインが求められる印刷物の制作に適している。
FormMagicが他製品に比べて秀でている最大の特徴は、高生産性(処理スピード)にある。小林課長は、「DMは検品や後加工に時間がかかるため、前工程であるデータ生成には正確性とスピードが求められる。印刷会社にとって、早くデータが生成できるということは、その後の作業が効率的に行える」と指摘する。
この高生産性は、PDFを生成するエンジンの性能に起因する。FormMagicは独自のフォーマットでバリアブル処理を高速にシミュレートし、アドビ社のPDFライブラリーを採用することでPDFを一発生成する仕組みを持つ。例えば、ハガキの宛名の場合、1万件のPDFデータを5分以内に生成できるという。
前記の通り、FormMagicの販売本数は堅調に推移している。その背景には、POD事業を強化する同社のRevoriaユーザーが、新たな小ロット需要を喚起し、受注獲得につなげるために「バリアブルは欠かせない」と考え始めていることがある。同社では、具体的なジョブを想定したソリューションを展開し、販売が好調なPOD機との同時採用を促している。
もうひとつの理由として、この市場で大きなシェアを持つ可変印刷ソフトウェアの保守契約・サポートが11月末をもって終了したことを受け、それに変わるシステムとして採用が進んでいることが挙げられる。この有力ソフトのサポート終了にともない、その置き換えにおいてユーザーにはいくつかの選択肢があるわけだが、そこでFormMagicが選ばれる理由はどこにあるのか。
「サポートが終了したソフトは、組版の機能が相当充実している。その機能をフルに活用していたユーザーにとって、代替システムはそのすべての機能を網羅したソフトでなければ差分を埋める投資や作業負担が生じる。その機能をすべてカバーし、数十万件という処理ボリュームに対応するのは、現在のところFormMagicしかないと自負している」(佐々木部長)
可変QRコード、DataMatrixに対応
同社によると、紙DMのスリム化が進む中で、Webに誘導する可変QRコードに関する問い合わせが増えているという。
「FormMagicは、ミリアドの『キュリア』のような販促キャンペーンの仕組みと連携できるため、紙DMのスリム化をWeb連動型バリアブルDMなどのダイレクトマーケティング手法を絡めた形で実現できる。最近のトレンドとしては、DMに掲載する情報は絞り、詳細をQRコードからWebサイトに飛ばすものが増えている。また、Webサイト側を可変にする例もあった」(小林課長)
FormMagicは、QRコードはもちろん配送工程管理に使用されるNW7や郵便カスタマーコードなどDMに使用される各種バーコードに対応している。最新バージョンでは、限られたスペースで必要情報を格納できるDataMatrixにも対応したという。
「サポートが終了したソフトとの置き換えにおいて焦点となるのは、やはり文字組版である。その面で、そのまま置き換えられる日本製ソフトはFormMagicしかない」と断言する小林課長。旧シンプルプロダクツ時代から30年以上にわたって自動組版の技術開発を手掛け、「文字組みやバーコード、画像など、端面の処理技術は完成の域に達している」(小林課長)とし、近年の技術開発のベクトルは、組版の前後の効率化に向けられている。