柏村印刷、大サイズ・小ロットパッケージ市場に進出
Indigoの後加工で活用〜トヨテック自動給紙カッティングプロッタ導入
B2サイズ対応と自動給紙、ユーザビリティが導入の決め手に
同社はカッティングの設備を導入するにあたり、展示会を視察しカッティングプロッターだけでなく、レーザー加工機やダイカッターなども含めて検討した。Indigo12000の後加工機としてB2サイズに対応することは絶対条件であったが、レーザー加工機はA3ノビがカッティングできるかどうかのサイズで小さく、ダイカッターはスペースもとり、木型を作るための能力が必要になることが分かり、素人には難しいと判断。その結果、「ノウハウ不要のユーザビリティでB2サイズに対応し、さらに自動給紙という利便性により、最終的にDG-5070 II/Plusに決定した」(浜咲取締役)。
現在、DG-5070 II/Plusを操作するのは、生産管理課 係長の杵築誠氏。これまではDTPオペレーターの担当で、カッティングプロッターの操作は初めてということだが、「すぐに動かせるようになった」と簡易な操作性を評価。また、設定も数分で完了するため他の業務との兼務が可能なようで、「空いた時間に戻ってきて、ボタンを押すだけで再開できる。設定さえしておけば、誰でも作業できる」(杵築係長)と多能工化にもつながることを評価のポイントだという。
また、同社では手動のカッティングプロッタも保有しているが、「手動と比較すると3〜4倍のスピード」(杵築係長)。そしてカッティング精度についても、カメラで最大5つまでトンボを読み込むため、正確なカッティング精度を実現する。さらに振動刃が付いているため、厚い段ボールでも簡単にカッティングすることができるという。
筋入れは、クライアントからも「折りやすい」と評価
そして、カッティング精度だけでなく、クリースで強く筋入れできるため、折りやすいこともDG-5070 II/Plusの評価できるところだという。某クライアントから、サプリメントを入れるための「初回限定パッケージ」を初めて受注し、200個納品したところ、大変に喜ばれたようだ。
そのクライアントではこれまで、郵便局のクラフトボックスにサプリメントを入れて顧客に送付していただけであったが、展示会で同社のパッケージを見て、高級感のあるパッケージを作りたいということで、トントン拍子に話が進んだという。佐々木部長は「難しかったのは、箱の高さが低いので、きちんと折らないと製品にならないということ。その点、DG-5070 II/Plusはきっちりとした折り目をつけることができ、カッティングプロッターとしての威力を発揮してくれた」と評価する。このようなパッケージはシート状で納入し、素人であるクライアントが自分で折ってパッケージを組み立てるため、きちんと折れるかが重要なポイントであるという。
これにより、同社は新しいクライアントとの良好な関係を構築することができた。顧客満足度の向上により、リピートオーダーにもつながることが期待できる。
紙の高付加価値を創造し、新たな商品開発へ
同社は今後も「Indigo12000」を中心に、そこから波及する高付加価値なニッチな市場への進出に挑戦を続ける。浜咲取締役は、「紙で伝えられるものはもっとあるはず。情報伝達だけでなく、人の心を動かせる可能性が紙にも残されているということを創造し、伝えていきたい」とビジョンを話す。
「DG-5070 II/Plus」の導入は、同社にとって単なる設備投資にとどまらず、クライアントとの関係を深め、新たな価値創造のステップになったと言えるだろう。同社は今後もクライアントニーズに応えるための商品開発とサービス向上に注力し、印刷業界の新たな価値提供者としての地位を確立していく。