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柏村印刷、大サイズ・小ロットパッケージ市場に進出

Indigoの後加工で活用〜トヨテック自動給紙カッティングプロッタ導入

 アナログからデジタルへのビジネスモデル転換により新市場への進出を目指す柏村印刷(株)(本社/島根県浜田市、柏村英男社長)が新たな挑戦を開始した。同社は2023年11月、デジタル印刷機「Indigo12000」の後加工機として、トヨテック製の自動給紙カッティングプロッタ「DG-5070 II/Plus」ほか、PP加工ラミネーター、デジタルスポットニス加工機など、デジタル印刷対応の後加工機を一挙に導入し、大サイズ・小ロットのオリジナルパッケージというニッチな市場への進出に乗り出した。


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DG-5070II/Plus(手前)とIndigo12000(奥)


 同社は1912年に創業し、今年で112周年を迎える老舗の印刷会社。商業印刷を中心とした総合印刷会社としてクライアントの信頼を築いてきたが、2020年6月にB2サイズのデジタル印刷機「Indigo12000」を導入し、従来のアナログからデジタルへのビジネスモデル転換を図った。しかし、「コロナ禍により、思うように動けなかった」(D.D事業部 取締役 事業開発部長の浜咲幸司氏)という中、アフターコロナの戦略として2023年初頭に打ち出したのが、Indigo12000を活用した大サイズ・小ロットオリジナルパッケージへの取り組みだ。

 今回の新市場参入について、浜咲取締役は「デジタル印刷市場にA3サイズは溢れている中、当社が強みとできるのはB2という大判サイズに対応できることだ。そしてそれをメインに考えた時、厚紙も通るIndigoにより、小ロットオリジナルパッケージを作ることが当社の競争力を最大限に発揮できる戦略だと考えた」と説明する。

 そして、同社は2023年11月に一連のデジタル印刷対応の後加工機を導入。現在は、Indigo12000で印刷後、PP加工、スポットニス加工、最後にカッティングプロッタ「DG-5070Ⅱ/Plus」でカッティングと筋入れを行うことで、大判サイズ小ロットオリジナルパッケージの制作を実現している。

 同社では、このサービスで300〜500部のパッケージを制作しているが、D.D事業部の佐々木智子部長は「地方であるので、そのロット数が最適という引き合いも多い」と話す。すでに20〜30件の実績が出ているようだ。昨年11月に米子のビジネスマッチング商談会に出展、今年2月には広島のビジネスフェアに出展したところ、昔のように大量に作り、大量に売れる時代ではないため、浜咲取締役は「実感として、周知していけばニーズは多いということが分かった。このサービスを広げていくことで、クライアントのビジネスを成功に導いていきたい」と今後の受注拡大に自信を示す。同サービスの最大の特徴は「高付加価値」であり、スポットニスを塗ったり、金や銀をワンポイントで入れたり、組み箱や貼り箱も協力会社と連携して制作することが可能である。消耗品として商品を傷めずに消費者に届けるための箱ではなく、「もらって嬉しい箱」であることがコンセプトだ。浜咲取締役は「包装紙材としてでなく、箱だけで喜んでもらえるパッケージを作っていきたい」と話している。


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オリジナルパッケージをPRする浜咲取締役(右)と佐々木部長

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