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昭和堂、小児患者と家族に希望を - 子どもの絵画をデジタル印刷で作品化

チルドレンズアートの活動を支援〜IPA2023で「マルチピース部門」第2位獲得

特殊トナーで子どもたちの絵画を鮮やかに色再現

 同社がRevoria Pressによる生産に切り替えて制作したのは、カレンダー、身長測定ポスター、トランプの3アイテムだ。


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「マルチピース部門」第2位に選出された昭和堂の作品

 カレンダーは、作品すべてがメインビジュアルとなるため、Revoria Pressの強みの1つである特殊トナーのピンクとシルバーを活用し、作品の魅力を引き出している。

 鈴木氏は「女の子などはピンクを好んで使うため、ピンクで描いた絵が多くあった。オフセット印刷では色が出にくいが、Revoria Pressでは、鮮やかなピンクを印刷することができた」とRevoria Pressを評価している。

 渡部氏も「原画をスキャンし、デザインを施して印刷しているが、子どもたちの絵は蛍光色など明るい色が多いので、メタリックカラーやピンクトナーとの相性が非常によかったと実感している」と、特殊トナーを活用した新たな表現手法に手応えを感じている。

 入社3年目で参加した池邉氏は「ピンクトナーなど普段の仕事ではあまり手掛けたことがない色だったため、データ制作は苦労したが満足のいく作品に仕上げることができた」と、今回の作品制作について振り返る。

 ポスターは、Revoria Pressで対応可能な長尺用紙(1,200mm)への印刷を活用し、子どもの成長記録として身長を測定できるデザインにしている。また用紙には、不織布のシータスを使用している。長尺用紙への印刷を活用し、身長測定用ポスターとして仕上げたことには、ある目的があると横尾氏は説明する。

 「多くの小児科で、このポスターを貼ってもらい、診察の待ち時間などに使用してもらいたい。そうなれば必ず親御さんの目に留まり、この活動を知ってもらえるはず。また、耐久性のあるシータスを採用したことで多くのお子さんが見て、触っても長く使用してもらえるはず」


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視覚的な効果と子どもたちの絵画を融合

 このポスターでは、ホログラムで波を表現したデザインをシルバートナーで印刷している。これにより見る角度によって変化する視覚的な効果を演出し、より多くの人の目に留まるように工夫している。

チルドレンズアートの認知普及へ〜IPAに出品

 同社が今回、IPAにエントリーした最大の目的は、チルドレンズアートの認知普及の拡大だという。

 チルドレンズアートの活動は、久留米大学病院の医師を中心に運営されている。当然、医療従事者として日々、忙しい中での活動となるため、なかなか普及拡大を図っていくことは難しい。そこでIPAにエントリーすることで、この活動がより多くの人に知ってもらえれば、という思いから出品を決断した。

 そして第三者による厳正な審査の結果、同社の作品は、IPAとAPAの両アワードにおいて入賞を果たした。この朗報を受け、渡部氏は、「普段は裏方的な存在であるが今回、デザインが認められ表彰を受けたことに喜びを感じるとともに、我々のチームとして大きな自信になった」と、また池邉氏は「今回の制作を通じて発色性を高めるためのピンクトナーの使用など、多くのことを学ぶことができ、私自身も表現の幅が広がったと思う。また、チルドレンズアートの活動は、素晴らしいものであることから、その活動自体も評価されたことが何よりもうれしい。そして最終的には、この活動が医療関係者だけでなく、幅広い分野の人たちに認知してもらい、支援の輪が広がっていくことに期待している」と、デザイン制作の視点から今回の入賞についての感想とともにチルドレンズアートへの想いを語る。


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若い世代の想像力が今回の入賞を牽引した

 実際に審査員からは、子どもの持つカラフルな色彩表現やマルチピース展開したアイデアだけではなく、闘病中の子どもたちを支援する活動についても高く評価されたという。

Webサイト構築で周知活動を強化

 同社では、難病と闘う子どもたちとその家族、そして小児医療関係者以外の新たな層との接点を強化するために、この活動の情報発信源となるプラットフォームとしてチルドレンズアートのWebサイト構築を目指している。さらに同サイトでは、Web受注システム機能の搭載も視野に入れているという。

 鈴木氏は、「より多くの人にチルドレンズアートの取り組みを知ってもらうだけでなく、子どもたちが描いた作品を自由に選択し、カレンダーやポスターなどの商品を必要な部数だけ、受注生産するプリントオンデマンドを活用したビジネスモデルが構築できれば、余剰在庫の問題を一気に解決できる」と、Webサイト構築の狙いと活用方法について説明した上で、その構想を実現できる生産設備として、Revoria Pressに期待を寄せている。

 これらの取り組みを通じて同社は、全国の難病に苦しむ子どもたちと、その家族に向け「同じ仲間に希望と元気を与える」コミュニケーションツールの形成と支援活動をこれからも積極的に推進していく方針だ。

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