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アポロ印刷、様々な要望を商品化〜企画開発力で顧客の販促を支援

 「膨大な数のお客様を『ニーズ』で結ぶ」を掲げるアポロ印刷(株)(東京都墨田区、飯島恵蔵社長)は、デザイン、企画、販売戦略の提供、ノベルティ制作から、それらを有効活用するための新商品開発に至るまで、「印刷」という枠にとらわれない事業活動を実践している。その活動の中から開発されたのが、「ポスペタ」や「アットマーニ」などの販促支援商品だ。今回、同社・取締役 営業部部長の濱中慎一氏に、これら商品を開発した経緯や、その特徴などについて伺った。


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濱中 氏

 同社は1964年2月、伝票印刷などを主軸とした印刷会社として創業。その後、時代の変化に伴い、カラー印刷分野にも進出し、業容を拡大してきた。

 その同社は約20年前、ある重大な経営戦略を打ち出すこととなる。それは、自社の生産拠点である印刷工場を廃止し、営業部門に特化したビジネスモデルへの転身だ。その理由について濱中氏は、創業者の経営理念である「お客さまのお役に立つこと」を実践していくためだったと説明する。

 「当社の創業者は、直販にこだわったビジネスを柱としていた。このビジネスモデルを追求していくと、お客様は印刷物以外にも様々な分野において支援を求めていることが確認できた。お客様のこれらの要望すべてを実現していくためには、自社生産にこだわらない商品提供が最適であるとの判断に至った」

 以降、同社は自社生産をやめ、受注した印刷物はすべて、全国の印刷会社での委託生産を行っている。そして顧客の課題を解決するための商品提供・開発を加速していった。

ポスターを何度でも貼って剥がせるアイデア商品

 同社の人気商品「ポスペタ」(特許取得済)は、「お客様のお役に立つこと」を追求していく中で生まれたアイテムだ。

 数年前に印刷を含め、あるイベントの運営すべてを受注した同社は、イベント会場で使用するポスターの貼り付け作業を行った。その作業は、大きなガラス面にセロテープをポスターの四隅に貼るという一般的なものだ。しかし、これに対し、イベント主催者から苦情が寄せられたという。それは「セロテープに指紋が付着し、美観を損ねる」という内容だった。このクレームを真摯に受け同社は、ポスターをきれいに貼るためのグッズを探したが見つかることはなかった。結果として、ポスターを再作成し、貼り付け時には手袋をつけて作業をすることで解決した。しかし、ポスターを貼る作業においては、今後も起こりうる事象であり、すべてのイベントに共通する課題であることから同社は、その解決策を模索。その集大成として開発されたのがポスペタだ。


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ポスターを簡単に貼って、剥がせる「ポスペタ」

 このポスペタは、ポスターを誰でも簡単に、きれいに貼って剥がせる商品。L字型のアタッチメントをポスターの四隅に取り付け、ガラス面に貼り付けるだけで作業が完了する。粘着面には、TGシートという水洗い可能な特殊粘着シートを採用。この特殊シートは、粘着力が弱くなっても水洗いすることで再利用が可能。これにより何度でもポスターを貼って、剥がすことができる。

 また、セロテープで貼ったときの汚れや見栄えの悪さを解消し、さらに剥がした際の糊残りがないので、清掃作業の負担を軽減する。4つのアタッチメントをポスターの四隅に取り付けるサイズフリー仕様のため、サイズに関係なく使用することが可能。また、背合わせにしたポスターを2枚1度に貼ることもできるので、窓ガラスの内側と外側の2面を有効活用したプロモーション効果を演出できる。

 「どこの角を触っても怪我をしないようにコーナーを丸くしている。また、ポスターを貼るための商品なので、ポスターの絵柄・デザインの魅力を損なわないように透明素材を採用している」

 なお、ポスペタは、その機能が評価され、大手コンビニチェーンや大手ピザショップで採用されるなど、多くの店舗の販促を支援している。

店頭バナー交換作業の負担を大幅に軽減

 店頭バナーは、リアルタイムによる訴求で、その店舗の売上を大きく左右する重要な販促ツールだ。飲食店であれば、午前のモーニング、昼時のランチ、そして夕方からのディナーなど、時間によって変わる提供商品を告知する役割を担っている。そのため多くの店舗では、1日に数回のバナー交換を行っているが、この交換作業が、多くの店舗の従業員を悩ませている。

 濱中氏も同社の顧客である大手外食チェーンから店頭バナー交換の最適化について相談を受けた。この大手外食チェーンでは、それまで店頭バナーの交換作業に約40分を要していたという。そのため顧客からは、「素早く簡単に交換できる」「店舗をきれいに見せる」「2つ、3つのバナーを簡単に変えられる」などの要望が挙げられた。この要望を受け開発されたのが、「アットマーニ」だ。

 「アットマーニ」は、「2連スライド式交換バナー」(特許取得済)と「3連交換式バナー」(特許新案取得済)があり、「2連スライド式交換バナー」は、バナー上下のスライド棒についているナスカン(固定金具)を片側だけ外し、外したナスカンを持ちスライドしながらバナーを裏返し、再度固定するだけで完了する。この交換に要する時間は、約30秒。


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「アットマーニ」採用事例

 「3連交換式バナー」は、あらかじめ3種のバナーを重ねて設置し、必要に応じて固定金具を外して表示するバナーを交換するもの。例えるならば、のれんの掛け替えのような仕組みだ。

 両商品ともに作業負担を大幅軽減するとともに、店頭バナーによる、リアルタイムな訴求が可能となる。また、店舗営業時は、商品プロモーション用、閉店後は求人告知用に交換するなど、使い方次第で伝えたい情報を自由に選択することができる。

 現在、「アットマーニ」は、大手牛丼チェーンの「吉野家」とその新業態店舗である、牛かるび丼・スンドゥブ専門店「かるびのとりこ」で採用され、集客に貢献している。

 これら商品の開発・販売に注力している同社であるが、濱中氏は、「ポスペタやアットマーニは、それぞれ特徴を持った商品ではあるが、当社は、これらの商品販売を印刷物受注につなげていくことを目的としている。デジタル化の進展により、印刷物が店頭から姿を消していく中、このポスペタやアットマーニを市場投入していくことで、再び印刷物の存在価値をアピールすることができると確信している」と、印刷需要の活性化を見据えた取り組みであることを強調する。

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