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ウチダテクノ、「製品」から「商品」へ〜真の価値提供でパッケージを差別化

 「パッケージ印刷分野」を成長市場の1つとしている(株)ウチダテクノ(本社/東京都中央区)は、「新しい捉え方を創造する」というコンセプトのもと、省力化提案を通じて顧客のパッケージ印刷ビジネスを支援している。その同社が、印刷ビジネス全般に向けて発信しているコンセプトは「製品」から「商品」としての印刷物自体の価値提供だ。今回、同社・省力化機械事業部 営業推進部 商品企画課の小菅仁夫氏にパッケージ印刷ビジネスへの展望などについて聞いた。

デジタル印刷機を活かすパッケージ生産に注力

 従来パッケージの概念では、包装や箱など内包する商品保護がその大きな役割とされてきたが、近年ではパッケージ自体が商品として位置付けられていると小菅氏は説明する。

 「パッケージは、消費者に商品をPRする役割を担っている。そのため競合他社の商品が陳列されている中で、自社の商品を購入してもらうためには、パッケージ自体を差別化することが求められる。そのためブランドオーナー各社は、より消費者の目を引くデザインや形状を駆使したパッケージを求めている。つまり、そこには競争がある。競争が生まれている市場には必ず需要があり当社は、そこを成長市場と捉えている」

 その同社が成長市場とするパッケージ印刷ビジネスとは、デジタル印刷を中心としたソリューションの提案だ。

 デジタル印刷機は、在庫を持つことなく、必要部数だけを印刷できる柔軟な生産機であるため、近年の市場の傾向である多品種小ロットのパッケージ印刷ビジネスに効果を発揮する。デジタル印刷機で生産した印刷物に付加価値を提供するのが、同社のオートフィードプラテンダイカッター「AeroDieCut」だ。


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自動給紙トムソンダイカッター「AeroDieCut」

 同機は、デジタル技術でプラテンダイを活用するダイカッター。プレスユニット部には、「可動式プレスローラー」機構を採用し、静粛性に優れ、省電力化も実現。カラータッチスクリーンでわかりやすい操作を実現し、さらに最大100通りのジョブを記憶させることができる。最大5面付ができる面付機能の搭載により、ダイにかかるコストを節約することができる。

 デジタル印刷機とAeroDieCutを組み合わせることで、多品種小ロットのパッケージを効率的に生産できる。これにより季節限定やイベント限定といった商品サイクルが決まっているパッケージ印刷に効果を発揮する。

 さらに同社のフォイル&ラミネーター「DC-X Ⅲ」や「DC-395PRO」を組み合わせれば、フォイル(箔)による高級感やラミネートによる光沢感を付加したパッケージを提供できる。


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フォイル&ラミネーター「DC-XⅢ」

商品としてのパッケージの価値をブランドオーナーと共有

 これらの加工を施すことでパッケージは「製品」から「商品」となり、消費者は商品購入時の重要なポイントとして認識するようになる。

 その結果、「売上」という見えるかたちでブランドオーナーにその価値を認めてもらうことができる。このようにブランドオーナーにパッケージ自体の価値を認めてもらえれば生産コストではなく、企画・デザインを軸としたパッケージ制作を重要視するようになる。つまり「良いもの、価値のあるものは高い」という市場の原理原則が改めて作用し、印刷業界の喫緊の課題である価格下落からの脱却が可能となる。

 印刷物自体の価値を高め、消費者とその価値を共有できる「製品」から「商品」への移行は、パッケージ印刷分野だけではなく、一般商業印刷分野にも応用できると小菅氏は説明する。

 「チラシやポスターにクーポン券や二次元バーコードを印刷し、金券としての価値を付加することで消費者に価値を提供できる。つまりチラシなどの印刷物を商品として提供できる」

 同社は、ダイカッターやデジタル加飾機などでパッケージの高付加価値化を支援しているが、それらはあくまでも手段であり、真の高付加価値化とは内包する商品、売る場所、売る数量、販売するターゲットなど、様々なシーンに対して最適なものを企画・制作することが重要だと小菅氏は説明する。

 「当社は、付加価値のあるパッケージ生産を実現する様々な製品群を提供できる体制を整えているが、それらパッケージを創るのはブランドオーナー、つまり発注者と印刷会社などの製造会社である。もちろん当社も、より付加価値を提供できるパッケージ生産を支援していくが、これからのパッケージ印刷ビジネスは、ブランドオーナー、製造会社、そして我々のような機械メーカーが共創していくことが重要だと考えている」

 同社は、先頃ドイツで開催されたdrupa2024において、内田洋行グローバルに協力し、ダイカッターやデジタル加飾機などを活用した最新パッケージ印刷ソリューションを世界に向けて発信した。

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